本番に向けた「心と身体の整え方」
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
期待の構造を知って自分なりの距離感をつかんでおく
本番に向けた「心と身体の整え方」(5)期待をコントロールする
為末大(Deportare Partners代表/一般社団法人アスリートソサエティ代表理事/元陸上選手)
「周囲の期待」と「本来の自分」とのギャップが大きくなると、人は苦しくなる。周囲が勝手に期待しているだけなのに、それに応えられないことを申し訳なく思ったり、そのことで傷ついたりするからだ。そうした期待の構造を知ったうえで、自分は期待されると力を発揮するタイプなのか、そうしたタイプではないのかなど、期待に対する自分なりの距離感をつかんで、それを上手にコントロールすることが肝要である。(全8話第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分14秒
収録日:2020年9月16日
追加日:2021年2月16日
≪全文≫

●期待が高すぎるときは早めにギブアップして等身大の自分にする


―― 前回のお話の中で、開き直りの自信という話がありましたけれども、おそらく一番の大敵は周囲からの期待ですよね。

為末 はい。

―― 「メダル確実」といわれるケースもあれば、もっと身近なところでは両親の期待とか、会社の人の期待とかがあって、そういうものがどうしても開き直りをさせてくれないような局面もあると思うのですが、これはどうすればいいのでしょうか。

為末 理想として、育てる局面ではなるべく期待に応えるサイクルを回さないことですね。ある程度はいいのですが、ディテールに入らないことです。やること1個1個に対して、期待している人からほめられるというサイクルはあまり回さず、単純に自分で「こうなったら、どうやったらいいのだろう」というときに、「こうやってやろう」というようなものを作れれば、期待が強くても瞬間的に自分の世界に入れるので、いいと思います。

 ただ、大人になってから、これをはねのけるのはなかなか大変な話ではあります。「相手の期待に応えなくてはいけない」と思うときに、無意識に「自分はこのくらいの大きさでなくてはいけない」と思い込んでいる自分がいるわけです。

―― それはどういうことでしょうか。

為末 相手が期待をしていて、うまくいかなかったらガッカリするわけですよね。相手がガッカリすることで、なぜ自分は傷つくのかということなのです。本当は何も起きておらず、高すぎた期待が本来価値に戻ったという見方もできるわけです。でも、なぜか自分はそのことを悪いことだと思っていて、自分自身が傷つくか、または相手に申し訳ないと思っている自分がいる。その原因は、自分の大きさを過剰に膨らませていることにあります。

―― 膨らんでしまったイメージということですね。

為末 はい。会社の価値でいくと、バブルで膨らんでいたのが本来価値に戻っただけなのに、そのときの落差を見てしまっている状態ですね。だから、なるべく早めにギブアップして、思い込んでいた自分の大きさを、等身大の自分にすることが大事ですね。


●競技とは関係がない自分の居場所を用意しておく


為末 もう1つ、逆説的ではありますが、大事なことがあります。緊張してうまく弾けなくなるような方だけにカウンセリングをやっている音楽の指導者がいて、その人は学生の頃、とに...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
老荘思想に学ぶ(1)力のメカニズム
老荘思想は今の時代に人類の指針となる
田口佳史
北欧神話の基本を知る(1)世界でもっとも悲観的な神話
世界滅亡を予言!?人類史上もっとも悲観的な北欧神話とは
鎌田東二
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
小林秀雄と吉本隆明―「断絶」を乗り越える(1)「断絶」を乗り越えるという主題
小林秀雄と吉本隆明の営為とプラグマティズムの格率
浜崎洋介

人気の講義ランキングTOP10
デカルトの感情論に学ぶ(1)愛に現れる身体のメカニズム
デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム
津崎良典
内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解
偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動
島田晴雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照