『孫子』を読む:行軍篇
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ベテランと新人の違い…小さな情報への対応に大きな差が
『孫子』を読む:行軍篇(4)危険な場所での戦い方と情報の意味
田口佳史(東洋思想研究家)
断崖絶壁や草木の密生地など厳しい地形や危険が潜んでいる場所では、どのように警戒すればいいのか。また、そうした場所には「伏姦」という待ち伏せの兵が潜んでいるかもしれない。そうなると、敵の動きを、林の揺れ、鳥獣の動き、砂塵の立ち方などの自然現象から読み取ることが重要になる。このことは、現代ビジネスにも通じることで、些細な情報の変化から現状を読み取り、慎重に対応することの大切さを説いている。(全6話中第4話)
時間:10分04秒
収録日:2020年10月9日
追加日:2025年1月26日
カテゴリー:
≪全文≫

●その状況に潜む危険は何かを考える


 次に行きます。「軍行に険阻・潢井(こうせい)・葭葦(かい)・山林・蘙薈(えいわい)有れば、必ず謹んで之を覆索せよ」です。もう1つの注意は、いろんな地形には状況があって、まず険阻というのは非常に厳しいところです。断崖絶壁であったり、それこそ細いわずかな道を行かなければいけないとか、そういう厳しい地形が険阻です。

 潢井というのは水が溜まっているような(ところです。)井(せい)というのはそもそも井戸ですから、そういう窪地がずっと続いているような、なかなか行きづらいところです。(葭葦はそのようなところに生えているアシです。)それから山林もそうですね。山の林の中というのは身動きが取りにくいものです。

 それから、蘙薈というのは草木の密生地で、とかく足を取られやすいというようなところです。そして、こういうところでは必ず何をしなければいけないのかということで、覆索という言葉が出てきます。これは探索をしろということです。では何を探索しなければいけないのかというのが、次にあります。

「此れ伏姦(ふくかん)の處(お)る所」なのです。伏姦は何かというと、待ち伏せの兵ということです。ですから、誘い込まれているのかもしれないと、こういうところに出会ったら注意すべきで、自分で自主的に行っているつもりが、敵の思う壺になっているのかもしれないと考えたらいいと思います。このように、まず伏姦がいるかもしれないわけです。

 これを経営孫子からいえば、まず競合がマーケットのシェアをもっと取りたいというので、競合している自社に向けていろんな戦略を仕掛けてくることの1つなのかもしれないと、そのように考えてもいいでしょう。それから人生でいえば、これは自分の人生を破滅のほうへ向かわせるような、そういう悪の誘いかもしれないと考えることも大切で、人生はいろいろあります。そういうものかどうかをよく見定めたほうがいいということです。


●不確実な要素で勝敗が決する場合は回避する


 そして、「敵近くして静かなるは」ですが、これは、敵が近いという情報が間者からどんどん来ているにもかかわらず、先行きを見るとシーンとしているということです。さらに、「其の険を恃むなり」で、要するに厳しい地形だから敵もにっちもさっちも行かず、ただシーン...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
おもしろき『法華経』の世界(1)法華経はSFだ!
法華経はSFだ!…心を元気にしてくれる法華経入門
鎌田東二
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
キケロ『老年について』を読む(1)キケロの評価と「老年の心構え」
幸福な老年への智恵をキケロに学ぶ…惨めな老年の4つの理由とは
本村凌二
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
世界の語り方、日本の語り方(1)なぜ「語り方」なのか
今後身に付けるべき知性として「新しい語り方」を考える
中島隆博

人気の講義ランキングTOP10
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(3)全皇帝の4分の3は「非漢族」
6000万人の漢人が、三国志の戦乱後に400万人台に…衝撃の人口変動
宮脇淳子
編集部ラジオ2026(22)「中国古代史」特集紹介!
【10min解説】「中国古代史という知の宝庫」特集の各話紹介
テンミニッツ・アカデミー編集部
日本の財政の真実を検証する(3)金利上昇の深刻な影響
金利が上昇した未来を10年スパンで見てみると…何が起きるか?
宮本弘曉
老子の神髄(6)無為と矛盾のススメ
無為とは緊張感を持って見つめること…なぜ矛盾を大歓迎すべきか
田口佳史
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(4)情報と教養の違い
教養がおろそかな人の限界…「教養は頭の中に、情報は頭の外に」
橋爪大三郎
中国春秋戦国時代と始皇帝(1)東方大平原と殷周革命
中国古代史の舞台を知る――東方大平原と渭水盆地そして殷周革命
鶴間和幸
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(3)3つの一神教、それぞれの物語
信じる神は同じだが…ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の異同点
鶴見太郎
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純