『孫子』を読む:行軍篇
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ベテランと新人の違い…小さな情報への対応に大きな差が
『孫子』を読む:行軍篇(4)危険な場所での戦い方と情報の意味
田口佳史(東洋思想研究家)
断崖絶壁や草木の密生地など厳しい地形や危険が潜んでいる場所では、どのように警戒すればいいのか。また、そうした場所には「伏姦」という待ち伏せの兵が潜んでいるかもしれない。そうなると、敵の動きを、林の揺れ、鳥獣の動き、砂塵の立ち方などの自然現象から読み取ることが重要になる。このことは、現代ビジネスにも通じることで、些細な情報の変化から現状を読み取り、慎重に対応することの大切さを説いている。(全6話中第4話)
時間:10分04秒
収録日:2020年10月9日
追加日:2025年1月26日
カテゴリー:
≪全文≫

●その状況に潜む危険は何かを考える


 次に行きます。「軍行に険阻・潢井(こうせい)・葭葦(かい)・山林・蘙薈(えいわい)有れば、必ず謹んで之を覆索せよ」です。もう1つの注意は、いろんな地形には状況があって、まず険阻というのは非常に厳しいところです。断崖絶壁であったり、それこそ細いわずかな道を行かなければいけないとか、そういう厳しい地形が険阻です。

 潢井というのは水が溜まっているような(ところです。)井(せい)というのはそもそも井戸ですから、そういう窪地がずっと続いているような、なかなか行きづらいところです。(葭葦はそのようなところに生えているアシです。)それから山林もそうですね。山の林の中というのは身動きが取りにくいものです。

 それから、蘙薈というのは草木の密生地で、とかく足を取られやすいというようなところです。そして、こういうところでは必ず何をしなければいけないのかということで、覆索という言葉が出てきます。これは探索をしろということです。では何を探索しなければいけないのかというのが、次にあります。

「此れ伏姦(ふくかん)の處(お)る所」なのです。伏姦は何かというと、待ち伏せの兵ということです。ですから、誘い込まれているのかもしれないと、こういうところに出会ったら注意すべきで、自分で自主的に行っているつもりが、敵の思う壺になっているのかもしれないと考えたらいいと思います。このように、まず伏姦がいるかもしれないわけです。

 これを経営孫子からいえば、まず競合がマーケットのシェアをもっと取りたいというので、競合している自社に向けていろんな戦略を仕掛けてくることの1つなのかもしれないと、そのように考えてもいいでしょう。それから人生でいえば、これは自分の人生を破滅のほうへ向かわせるような、そういう悪の誘いかもしれないと考えることも大切で、人生はいろいろあります。そういうものかどうかをよく見定めたほうがいいということです。


●不確実な要素で勝敗が決する場合は回避する


 そして、「敵近くして静かなるは」ですが、これは、敵が近いという情報が間者からどんどん来ているにもかかわらず、先行きを見るとシーンとしているということです。さらに、「其の険を恃むなり」で、要するに厳しい地形だから敵もにっちもさっちも行かず、ただシーン...

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