●ロシア・ウクライナ戦争をとりまく各国の姿勢
そういう中で、この戦争が終わるのかということなのですけれど、なかなか難しい状況にあります。
例えばアメリカは、もともとは中国とやり合いたかったのです。なので、早くこの戦争が終わってほしいわけで、この戦争でもちろんウクライナが負けてはいけないのですけれど、ウクライナが勝ちすぎてもダメで、つまりロシアが弱体化しすぎてもダメだというところでありまして、だからこそ、少しずつ援助してきたということになります。
昨年(2023年)末から今年(2024年)にかけて、アメリカの援助が滞っていたのですけれど、(2024年)4月に支援が決定されて、再び支援が行われるようになったことはウクライナにとって非常に重要なことです。しかし、今のアメリカの最近のニュースは、もっぱらアメリカ政治になってしまっていますけれど、読めない部分が多すぎるので、不安定要因になっています。
ヨーロッパは、基本的にはウクライナ支援ということで大きくはまとまっているものの、例えば自国中心主義のハンガリーがいたり、国によってもウクライナ疲れが多く出ている国、そして非常に強くウクライナを支える、イギリス、ポーランド、バルト三国というような正義派がいたり、かなりウクライナ支援に対するスタンスはまちまちになっています。
ただ、この間、ハンガリーはかなり親ロ派で、ハンガリーのオルバン首相は就任早々に外交交渉を行ったりして、ウクライナとしては嫌なムードが出ております。
そして中国、トルコは、この状況をいかに自国にとって有利に展開するかということに必死です。特にトルコはNATO加盟問題ですとか、軍艦問題で自国の立場を強く売り、また戦争当初はトルコが和平を仲介していたということもあって、かなり今回のことで国際的なプレゼンスを高めているということがあります。
中国はそもそも侵攻を望んでいなかったわけなのですけれど、ロシアとは対米ということで常にタッグを組んできましたので、ロシアを見捨てることもできません。しかし、ロシアに与することもできないという非常に難しい立場に置かれています。
ですので、今は欧米からの制裁がないように、直接的な軍事支援はしないものの、デュアルユース品でなんとかしのいでいます。しかし、最近ではデュアルユ...