●「持てるもの」ロシアの制裁への報復
他方、ロシアに制裁をかけている国というのは、必ず返り血を浴びることになるわけですが、返り血を浴びている国にとってみれば、われわれは痛い思いをしているのに、ロシアには響いていない。これはなんたることか。もうウクライナ支援なんてやめたほうがいいのではないかということで、ウクライナ支援疲れを促進してしまうということにもなるわけなのです。
そういう中で、ロシアはハイブリッド戦争の制裁の報復措置として、世界に大きな揺さぶりをかけております。ロシアは「持てるもの」の強みとして、エネルギーと食糧を武器にしているのです。
まずエネルギーですけれど、そもそもこのエネルギー価格はウクライナ戦争の始まる前から少し高い傾向があったわけなのですけれど、さらにこれが深刻になっています。
特にロシアは、史上初のエネルギーの武器化をやっているのです。それでエネルギー価格がどんどん高くなっておりまして、さらにそれに乗っかるような形で、例えばサウジアラビアのような産油国もこの流れに乗っかって、錬金術をやっているという状況です。
例えば、サウジアラビアは産油国なので、ロシアのエネルギーを買うような状況にはまったくないのですけれど、この戦争が始まってから大量にロシアの安いエネルギーを買っているのです。どうしてかというと、安いロシア産を自国消費に回すのです。そして自国の生産はかなり抑えて、そして高くヨーロッパに売るということをやっているのです。生産を抑えれば抑えるほど価格が高くなるということで、錬金術をやっています。
そして、このような産油国とロシアとの関係も強まっていまして、サウジアラビアとUAEは今年(2024年)BRICSにも入っています。こういうところで、ロシアのお友達(関係)は今後ますます深まっていくわけです。
このような流れに対して、ロシアに儲けさせてはいけないということで、欧米は2022年12月以降、石油と石油製品の取引価格の上限設定をやっていますけれど、ロシアは手を変え品を変え、例えば闇の船団を作って売るなどをやっておりまして、ロシアには響いていないのです。
●ロシアの原発を扱う「ロスアトム」の存在
他方...