ロシア「内政・経済・外交」の真実
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ウクライナ侵攻も支持率対策か…プーチン政治の実態に迫る
ロシア「内政・経済・外交」の真実(1)国民の支持を意識するプーチン政治
上月豊久(元駐ロシア日本国特命全権大使)
ロシアの政治・経済は今どのような状況なのだろうか。2022年2月に始まったウクライナへの侵攻だが、いまなおその戦闘は続いている。今後も予断を許さない状況だが、このことがロシア国内に与えた影響も気になるところだ。そこで本シリーズでは、今回から3話にわたってロシアの内政・経済・外交の現在と日本のこれからについて前ロシア大使が語る。第1話の今回はまずプーチンの来歴を振り返りつつ、彼の目指す政治、保守性を強める内政と経済について見ていく。(全3話中第1話)
時間:13分06秒
収録日:2024年7月8日
追加日:2024年9月28日
カテゴリー:
≪全文≫

●プーチンの政治は国民の支持を意識して成り立っている


 こんにちは。上月です。今回、私はロシアの話をしたいと思います。私はロシアに全部で17年、4回の勤務をしました。直近では昨年(2023年)12月までの8年間、ロシアの大使をしておりました。

 そういうことの中で、自分が見聞きしたことを合わせながら、全体として、プーチン大統領の下でロシアがどう変わってきたのか、内政、経済、外交について、そして、特にウクライナで2年数か月前から始まった戦争は、それにどういう影響を与えて、ロシアがそれでどう変わってきたかということについてお話ししたいと思います。

 ウクライナの戦争は、まだ出口がどうなるかは分かりませんけれど、その問題について少し触れた上で、今年(2024年)5月にプーチン大統領が再選されまして、新しく内閣もできましたので、それについても触れ、さらに将来の見通し、日本の政策などについてもお話ししたいと思います。

 最初に、プーチン大統領の目指す政治の中で、内政の話をしたいと思います。

 まず、皆さんのイメージとして、プーチン大統領は専制君主だから、なんでも自分の好きなようにやっているのだろうと思われるかもしれませんけれど、実はプーチン大統領の政治は、意外と国民の支持のことを意識して成り立っているというところから、話を始めたいと思います。

 プーチンは大統領府の第一副長官、そして首相を経て、エリツィン大統領の退任に伴って、2000年に大統領選挙で選ばれることになります。エリツィンは1996年の選挙ではようやく当選したのですが、そのときに世話になったのが、いわゆるオリガルヒという金持ちたちと地方の知事でした。この知事によって、エリツィン大統領は共産党の候補を破って当選できたのですけれども、当選後、プーチンが大統領府の第一副長官に就任した1998年ぐらいになりますと、彼(エリツィン)自身の健康が悪かったこともあり、さらには選挙でお世話になったオリガルヒと地方の知事たちがずいぶん勝手なことをし始めたため、政治がそうとう混乱しました。

 それを見ていたプーチンは2000年、大統領になったとき、オリガルヒを集め、「皆さん、仕事を続けてもいい。ただ、政治には口を出さないでください」としたので、その中からベレゾフスキーとかグシンスキーは、海外に結局...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
経験学習を促すリーダーシップ(3)成功の再現性と教え上手の指導法
教え上手の指導法に学ぶ!成功の再現性を高める4ステップ
松尾睦
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一