ロシア「内政・経済・外交」の真実
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ポスト・プーチンは誰なのか?鍵を握る2つの人事に注目
ロシア「内政・経済・外交」の真実(3)プーチン政権の長期化と日本の対応
上月豊久(元駐ロシア日本国特命全権大使)
2024年5月、第5期となる任期をスタートさせたプーチン。最長で2036年まで続くことになったプーチン政権は、国内の経済や軍事を強化し、排外主義のさらなる加速をにらんでいるようだ。その状況を分析した上で、今後日本はロシアに対してどのような対応を取るべきなのか、大事な問題提起をして本講義を締めくくる。(全3話中第3話)
時間:7分46秒
収録日:2024年7月8日
追加日:2024年10月12日
カテゴリー:
≪全文≫

●長期政権を見据えたプーチン…軍需産業の強化への布石


 それを申し上げた上で、(2024年)5月以降の動きを一言いいますと、プーチン大統領が(2024年3月に)再選されて、投票率77パーセント、得票率87パーセントと、高いパーセント値になりました。

 憲法が改正されていて、これから新しい憲法の下で2期というカウントになって、(最長の任期が)12年になります。現在71歳のプーチンは、12年たつと83歳になります。

 2024年5月7日に大統領の就任式がありましたけれど、その中のプーチン大統領の演説の表現で注目したのは、「国内の不安定と障害によって巨大な対価を払ったことを忘れてはならない」という(表現です)。最近、プーチンは歴史のことに立って国民に訴えかけるのが得意なのですけれど、この中で「国内の不安定と障害」といっているのは、国内の引き締めを強化していくということを示唆しているところだろうと思います。

 2036年までの発展計画を、もう就任式の翌々日に発表しています。2036年というのは(大統領をあと)2期続けたらということですので、非常に長期の目標を立てています。平均寿命を2036年までに73.4歳から80歳まで伸ばすというようなこともいっているところになります。

 それを受けての内閣改造がありまして、基本的に外務大臣などは変わりませんでした。ただ、大きく注目されたのは、国防大臣の交代でした。ベラウーソフという第一副首相が国防大臣になったことです。それからもう1つ、今まで第一副首相だったベラウーソフのあとに、チェメゾフ(軍需産業国有企業・ロステックの経営者)に近いマントゥロフという副首相を第一副首相にしたという点が目のつくところですけれど、この2つともに共通している話が何かというと、軍需産業の強化です。

 経済学者(であったベラウーソフ)を国防大臣に据えることに対して、なぜそうしたのだと、一部ではずいぶんと話題になっておりましたけれど、プーチン自身が言った表現を使えば、「ベラウーソフは、軍需産業を国民経済に組み込むことをいちばんよく知っている人だからだ」ということです。すなわち、軍需産業を国民経済の中に組み込んで、国民経済全体の力をして軍需生産を上げていくということを意図した人事だと、プーチン自身が説明しました。

 もう1つ。マントゥロフを第一副首...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
日本の財政と金融問題の現状(1)財政赤字の何が問題か
日本の財政は本当に悪いのか?将来世代と金利の問題に迫る
木下康司
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
戦史に見る意思決定プロセス~日本海軍の決断(1)日本海海戦・東郷平八郎
なぜ東郷平八郎はバルチック艦隊を対馬で迎え撃ったのか?
山下万喜