眠る環境は各家庭の状況や個人の好みによって大きく異なるが、一般的に「良い睡眠」のために望ましい環境はどのようなものだろうか。布団や枕などの寝具、エアコンなどの室温コントロールを含めた寝室の環境、また寝つきの良くなるお風呂の入り方など、良い睡眠をとるためのちょっとしたコツや工夫を紹介する。(全4話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
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●睡眠にいい布団や枕の選び方
―― 続きまして、寝具(布団や枕など)の話に入りたいと思います。これは人によって、高い枕がいい、低い枕がいい、掛けるものなど、いろいろと好みがあると思います。一般的、平均的に何がいいかというところでお聞きできればと思います。どういった寝具が寝やすいということになるのでしょうか。
西野 寝具ということで、寝室で利用することになります。この場合、大事なことは、寝室の条件によってもずいぶん変わってくるということです。
―― 寝室の条件とは気温などですか。
西野 室温、湿度です。今は、睡眠だけではなく、年間を通じて快適な温度で過ごすことが健康には良いと分かっています。でも、皆が皆、なかなかそれはできません。その原因の1つは、やはり光熱費の問題です。
冬場は内外の気温の差が大きければヒートショックが起こるので、冬場の室内はできるなら19度以上がよく、21度、22度くらいならば快適です。でも、なかなかそこまで上げられない。夏は冷房を入れて、本当は24度や25度にしたいのだけれど、26度、27度であってもすごく蒸し暑いところに比べたら快適だということになります。
室温を調節した部屋であるということになると、できるだけ通気性のいい部屋が望ましい。例えば私たちは、ホテルに泊まると電気代を払わなくていいので、夏でも冬でも24度や23度にします。なぜそんなことをするかというと、快適だからです(多少、冬と夏は違いますが)。その条件下では、寝具もできるだけ重くないような、通気性のよい寝具がいい。
なぜそういったことが必要か。例えば睡眠に関しては、体温変化が非常に大事です。寝ているときには体の中の体温が下がらなければいけない。そのときには皮膚(体表)から熱が出ていっているのです。特に手足の毛細血管とか、動静脈吻合が表面にあって、ラジエターのように熱が出ていくのです。そういったところから自然に熱を逃がしていくので、それを妨げず、できるだけ自然な変化を保つようなものがいいということになる。だから掛け布団でも、マットでも、熱がこもるのではなく、通気性がよく、体温の自然な変化が保たれるようなものがいい。これが基本です。
枕はどうか。これはあまりよく知られていないのですが、頭の中の温度は体の中の温度と一緒です。だから、寝ているときに温度が下がらなければいけない。...