知られざる「脳」の仕組み~脳研究の最前線
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人間の脳の中はホムンクルス…再発見の「機能局在」とは
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脳が生きている、死んでいるとは?最新研究で迫る脳の秘密
知られざる「脳」の仕組み~脳研究の最前線(1)脳科学と「ミクロのマクロの隔たり」
毛内拡(お茶の水女子大学 基幹研究院自然科学系 助教)
脳科学は医学のみならず、教育や経済にもその知見が応用される注目の分野である。その最前線ではいったいどのような研究成果が生み出されているのだろうか。まずは四つの次元に分けられる脳科学という学問を概説。続いて、無数の細胞による回路が詰まっている脳の解説を進めながら、最近の脳科学のニュースから死の定義を揺るがす脳の蘇生の事例を取り上げて、脳の電気活動の研究だけでは乗り越えられない「ミクロとマクロの隔たり」について伝えていく。第37回講談社科学出版賞受賞作『脳を司る脳』の著者が解説する脳科学研究の最前線。(全8話中第1話)
時間:14分44秒
収録日:2022年10月21日
追加日:2023年7月3日
≪全文≫

●脳科学の四次元:ミクロとマクロ、実験と理論


 皆さん、こんにちは。毛内と申します。私は、都内の大学で生物学を教える傍ら、執筆活動も精力的に行っております。私の専門は神経生理学なのですが、平たくいうと、「脳科学」です。

 皆さんがご想像する脳科学というのは、心理学とか行動学みたいなものだと思うのですが、私がやっているのは脳細胞とか脳内物質とか、より細かいことで、どちらかというと脳のハードウエアとしての側面について研究を行っています。むしろ、心の働きというのは脳のソフトウエア、これは「心理学」と呼ばれているものです。脳科学も心理学という大きな学問の一部にすぎないわけですが、私はむしろ脳細胞とか脳内物質がどのように心の働きを生み出すのかということを知りたくて研究をしています。

 最近では、医学だけではなく教育や経済学にも脳科学の知見が応用されているわけで、言ってしまえば、人がなすことは全て脳の仕業なのです。文学もそうです。なので、脳科学というのは全ての人が学ぶ必要があると思いますが、学んでみたいという気持ちはあるけれど、どこから手をつけていいか分からないという人が多いのではないかと思います。この講義では、そのような人たちに向けて、基本的な知見から脳科学の最新の研究成果まで、なるべく簡単にお伝えしたいと思っております。

 では早速、脳科学とはまずどういう学問なのかということについて簡単に触れていきたいのですが、脳科学というのは四つの次元に分けられると考えていまして、私がやっているような小さなミクロレベルから、行動のようなマクロのレベルにまず分けられると思います。マクロのレベルの研究をしている脳科学というのは一般的に知られていると思いますが、私がやっている細胞レベルの研究は一般的には「神経科学」と呼ばれています。

 この神経科学と脳科学というのは、もちろん、本当は一つの学問になるはずなのですが、ここに大きな溝がありまして、どうして細胞は行動のような複雑な機能を生み出すのかというのはまだよく分かっていません。

 それから、脳の研究のアプローチとして、実験的なアプローチ、生の生き物を扱う学問や、数式を使ったりコンピュータを使ったりして理論的に脳を研究するとか、脳の動作原理を...

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