豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
公武統一政権を作った秀吉の狙いとその歴史的意味
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(9)秀吉が作った公武統一政権と歴史のif
黒田基樹(駿河台大学法学部教授/日本史学博士)
秀吉は室町時代までとは全く違う武家政権を作ってしまったという黒田氏。それが「公武統一政権」で、これは江戸時代にも受け継がれなかったため、日本史の中で唯一のことである。いったいどういうことなのか。また、なぜ江戸幕府はそれを受け継がれなかったのか。最終話では、公武統一政権について、武家と公家との関係性とともに解説する。(全10話中第10話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:8分14秒
収録日:2025年10月20日
追加日:2026年2月1日
≪全文≫

●公武統一政権と「官位制」の導入


―― 少し話が変わりますが、冒頭に羽柴と豊臣の話をお聞きしましたが、「豊臣」(の氏)が必要だったというのは、例えば関白などに任官するときに必要だということですか。

黒田 関白に任官できるのは、その段階では藤原氏だけなので、近衛家の猶子になって「藤原秀吉」という形で関白になりました。ただ、そうすると藤原の一族になって、「藤氏長者」(藤原氏の代表)として藤原氏一族全体の面倒を見なければいけない。

 また、秀吉が何かの都合で誰かに関白を譲った場合、その人が藤氏長者になるので、その結果、羽柴家が藤原氏一族の配下に入ってしまう。そのような不都合が生じるので、(関白就任の)2か月後には天皇から豊臣の氏を与えられるという体裁を取っています。それは既定路線だったのではないでしょうか。

―― 今の話は、秀吉(豊臣)政権の日本史的な意義ということにもなろうかと思います。日本史においては、いわゆる「征夷大将軍になれるのは『源』でございます」とか、「関白になれるのは『藤原』でございます」といった非常に固まったもの、歴史上積み上げられてきたものの中で、特に京都を中心とした政治が動いてきたところがあると思います。戦国の最後という局面であの二人、羽柴兄弟が出てきたことの意味を先生はどのようにお感じになりますか。

黒田 室町時代までの武家政権とは全く違う武家政権を、秀吉は作ってしまったわけですね。

―― どう違うのですか。

黒田 室町時代は、あくまでも朝廷があって幕府があるような形になっていた。ところが、公家の最高位に秀吉が就いてしまったことで、公家も秀吉の配下に入ってしまうわけです。本当の公武統一政権というものができてしまう。これは江戸幕府には受け継がれていないので、唯一の状況です。公家と武家が全く同居して政権を構築するという形が、たまたま秀吉が関白になってしまったことで生じてしまったわけです。

 あとは、武家の序列も官位制による秩序を作られていて、江戸幕府の段階で家康は当初それを否定しようとするのですが…。

―― そうなのですか。

黒田 官位昇進をさせないのです。けれど、やはり序列は残っているので、結局秀忠の段階で全面的に官位制に基づく序列作りに舵を切るわけです。

―― 「従三位」とかという(ものですね)。

黒田 そうですね。侍従や参議な...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
昭和の名将・樋口季一郎…キスカ・占守島編(1)キスカ島撤退作戦
5200人の将兵を救え…米軍も称賛した「キスカ島撤退作戦」の奇跡
門田隆将
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国大名と民衆の過酷な課題…飢饉の常態化をどう生き延びるか
黒田基樹
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
織田信長の「天下」とは…最新研究で激変する人物像・時代像
柴裕之
独裁の世界史~ギリシア編(1)世界史の始まり
「独裁政から始まる」という世界史の諸相に迫る
本村凌二

人気の講義ランキングTOP10
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
ウェルビーイングを高めるDE&I(2)人と組織を取り巻く環境変化:後編
なぜ日本の幸福度は低すぎるのか?会社任せで失われる自律性
青島未佳
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国大名と民衆の過酷な課題…飢饉の常態化をどう生き延びるか
黒田基樹
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
三日坊主、部屋が片付かない…なぜできないか行動分析学で考える
島宗理
イラン戦争と終末論(1)イラン戦争の戦略的背景と米国の政策
なぜイラン戦争がこのタイミングなのか?戦略的背景に迫る
東秀敏
昭和の名将・樋口季一郎…ユダヤ人救出編(5)陸軍悪玉論の中の名将たち
武力を持ったエリート官僚たち…陸軍悪玉論と個々人の決断
門田隆将
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
織田家中一の武略者…『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の知られざる実像
黒田基樹