ドンロー・ドクトリンの台頭
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モンロー・ドクトリン進化の歴史…始まりは「ただ乗り」!?
ドンロー・ドクトリンの台頭(2)モンロー・ドクトリンの系譜
東秀敏(米国大統領制兼議会制研究所(CSPC)上級フェロー)
モンロー・ドクトリンは米国がまだ建国直後の弱体期、欧州勢力の排除をめざす教義として現れた。モンローからオルニー、ルーズベルトへ、海軍力・工業力が増強されるのと並行して、その系論は強化され、米国は世界の警察になっていく。冷戦後、国力が停滞するにつれ、モンロー・ドクトリンは否定されていくことになる。今回は、モンロー・ドクトリンの誕生からその血統としてドンロー・ドクトリンへと進化するまでの経緯を、歴代大統領と関連させながら解説する。(全3話中第2話)
時間:14分17秒
収録日:2026年1月20日
追加日:2026年3月6日
カテゴリー:
≪全文≫

●モンロー・ドクトリンという教義


 さて、この流れ(ドンロー・ドクトリンの台頭)は、「西半球を再度アメリカの影響圏に設定し直す」という命題から始まっているわけですが、ここでNSSがどういう方向性を打ち出したかというと、「モンロー・ドクトリンを復活させる」ということでした。

 実は、このモンロー・ドクトリンがNSSという国家安全保障戦略文書に登場するのは、今回が初めてです。1987年以来ずっと刊行されているNSS文書の中でモンロー・ドクトリンに言及したのは、歴代の政権中、今回の第二次トランプ政権が初めてということです。

 モンロー・ドクトリンは、日本語ではよく「モンロー主義」と和訳されるのですが、私はそれを誤訳と思っています。イデオロギー的な「主義」ではなく、どちらかというとキリスト教神学における「教義」の意味に近い。つまり、米国連邦政府を教会とみなすと、「ドクトリン」の訳としては、「主義」ではなく「教義」のほうがふさわしいと思います。米国連邦政府が発する公式宣言としての戦略論として、モンロー・ドクトリンというものが歴史的に存在していたわけです。

 つまり、本質は不変すなわち予定済みである。なぜなら神の予定がある(からです)。本質は不変だが、時代の変化とともに必然なる帰結が生まれる。これが「系論(Corollary)」です。コロラリーは実は数学用語で、「系、帰結」という意味を持ちます。ですから、もう一度繰り返すと、本質は不変(予定済み)ですが、時代の変化とともに違う現象が生まれても、それは当然の帰結である(ということです)。

 さて、モンロー・ドクトリンの進化は、各時代のアメリカのパワーを反映しています。アメリカのパワーの基礎は国内工業力と海軍力で、最近ではプラス宇宙軍力と表現することができると思います。

 建国当時のアメリカは借金まみれの発展途上国でした。しかも戦争で焼け野原になっていて、国内工業も海軍力も未熟だったわけです。しかし、欧州列強は西半球に植民地を有し、新興国アメリカの解体を常に目論んでいました。

 アメリカにとって西半球からの欧州列強排除は死活問題でした。つまり、モンロー・ドクトリンは対ヨーロッパ・ゲリラ戦論だったのですが、世界大国を目指す「百年の計」としての戦略論でもあったのです。


●ハミルトンとジェ...


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