第2次トランプ政権の危険性と本質
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
トランプ関税はアダム・スミス以前の重商主義より原始的
第2話へ進む
ブレーキなき極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
柿埜真吾(経済学者/思想史家)
「第二次トランプ政権は、第一次政権とは全く別の政権である」――そう見たほうが良いのだと、柿埜氏は語る。ついつい「第1次は経済重視の政権だった」と考えてしまいがちだが、実は第2次政権では「経済」の優先順位は低いのだという。代わりに重視されているのが、「文化的マルクス主義」や「ポリティカル・コレクトネス」などへの「文化戦争」なのだ。さらに、陰謀論的な世界観に傾きがちな「極右ポピュリズム」に、ブレーキもなくのめり込んでいるというのだが……。世界を混乱に陥れている第二次トランプ政権の内実とその本質に迫る。(全8話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:14分09秒
収録日:2025年4月7日
追加日:2025年5月10日
≪全文≫

●第一次政権とは別物と考えたほうがいい第二次トランプ政権


―― 皆様、こんにちは。本日は柿埜真吾先生に、トランプ政策の影響がいかなるものかと、その本質についてお聞きしてまいりたいと思います。柿埜先生、本日もどうぞよろしくお願いいたします。

柿埜 よろしくお願いいたします。

―― トランプ政権がこの2025年の1月に発足しまして、非常に矢継ぎ早にさまざまな政策を繰り出しているということと、想像を上回る規模でのドラスティックな政策展開をしているというところで、かなり今後影響が大きく出そうです。まずはその経済政策についてどのように見ておられますか。

柿埜 第一次政権のときのトランプ政権といったら、基本的に経済重視の政権だと、どちらかというとそのイメージがあったと思うのです。

 「なんかすごいことを言っているけれど、どうせ脅しなのだ。これから取引をするためにこう言っているのだ」とみんなが思っていたら、「ええ?」というような政策をどんどんやっているということで、これは一体どういうことだと、皆さん非常に混乱しておられるところだと思うのです。第一次トランプ政権と第二次トランプ政権というのは、全然別の政権である。

―― もう、そう思ってしまったほうがいいわけですか。

柿埜 そう考えたほうがいいというのが、私の今の時点の認識なのです。トランプ政権のまず経済政策からなのですが、一言でいってしまうと第二次トランプ政権の経済政策は、いいところがないとは言わないのですけれど、基本的に2025年4月時点では大混乱になっていて、非常に保護主義的な政策を、第一次政権のとき以上に、経済合理性をもう完全に無視した形で打ち出しているという状態です。

 金融政策や財政政策に関しても、かなり不透明性が高い。非正規移民の史上最大の強制送還作戦を行うというようなことを言っています。これもはっきりいって、経済的にはプラスというより明らかにマイナスの影響のほうが大きい。経済合理性が全然ない政策を今のところはやっているというところです。

 こういった政策を打ち出していくと、基本的には移民の方がアメリカ経済を支えている部分がありますから、特に農業とか建設業とかでそういう人が強制送還されてしまうと人手が足りなくなって物価が上...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
中国の「なぜ」(1)なぜ「中国は一つの国なのか」
武力で負けても文化で勝つ? 恐るべし「中原」の同化力
石川好
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(2)運命・世界・他者
「私をお母さんと呼ばないで」…突然訪れた逆境の意味
津崎良典
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
宗教で読み解く世界(1)キリスト教の世界
キリスト教とは?…他の一神教との違いは神様と法律の関係
橋爪大三郎
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政