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ブレーキなき極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視

第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?

柿埜真吾
経済学者/思想史家
概要・テキスト
「第二次トランプ政権は、第一次政権とは全く別の政権である」――そう見たほうが良いのだと、柿埜氏は語る。ついつい「第1次は経済重視の政権だった」と考えてしまいがちだが、実は第2次政権では「経済」の優先順位は低いのだという。代わりに重視されているのが、「文化的マルクス主義」や「ポリティカル・コレクトネス」などへの「文化戦争」なのだ。さらに、陰謀論的な世界観に傾きがちな「極右ポピュリズム」に、ブレーキもなくのめり込んでいるというのだが……。世界を混乱に陥れている第二次トランプ政権の内実とその本質に迫る。(全8話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:14:09
収録日:2025/04/07
追加日:2025/05/10
≪全文≫

●第一次政権とは別物と考えたほうがいい第二次トランプ政権


―― 皆様、こんにちは。本日は柿埜真吾先生に、トランプ政策の影響がいかなるものかと、その本質についてお聞きしてまいりたいと思います。柿埜先生、本日もどうぞよろしくお願いいたします。

柿埜 よろしくお願いいたします。

―― トランプ政権がこの2025年の1月に発足しまして、非常に矢継ぎ早にさまざまな政策を繰り出しているということと、想像を上回る規模でのドラスティックな政策展開をしているというところで、かなり今後影響が大きく出そうです。まずはその経済政策についてどのように見ておられますか。

柿埜 第一次政権のときのトランプ政権といったら、基本的に経済重視の政権だと、どちらかというとそのイメージがあったと思うのです。

 「なんかすごいことを言っているけれど、どうせ脅しなのだ。これから取引をするためにこう言っているのだ」とみんなが思っていたら、「ええ?」というような政策をどんどんやっているということで、これは一体どういうことだと、皆さん非常に混乱しておられるところだと思うのです。第一次トランプ政権と第二次トランプ政権というのは、全然別の政権である。

―― もう、そう思ってしまったほうがいいわけですか。

柿埜 そう考えたほうがいいというのが、私の今の時点の認識なのです。トランプ政権のまず経済政策からなのですが、一言でいってしまうと第二次トランプ政権の経済政策は、いいところがないとは言わないのですけれど、基本的に2025年4月時点では大混乱になっていて、非常に保護主義的な政策を、第一次政権のとき以上に、経済合理性をもう完全に無視した形で打ち出しているという状態です。

 金融政策や財政政策に関しても、かなり不透明性が高い。非正規移民の史上最大の強制送還作戦を行うというようなことを言っています。これもはっきりいって、経済的にはプラスというより明らかにマイナスの影響のほうが大きい。経済合理性が全然ない政策を今のところはやっているというところです。

 こういった政策を打ち出していくと、基本的には移民の方がアメリカ経済を支えている部分がありますから、特に農業とか建設業とかでそういう人が強制送還されてしまうと人手が足りなくなって物価が上...
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