トランプ劇場第三幕へ
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
トランプ政権発足から14ヶ月を振り返る
トランプ劇場第三幕へ(1)混乱の船出
政治と経済
吉田正紀(元海上自衛隊佐世保地方総監/一般社団法人日本戦略研究フォーラム政策提言委員)
発足当初から続いているトランプ政権の急速な人事交代や不安定な統治は、どうして起こっているのか。元海上自衛隊佐世保地方総監で一般社団法人日本戦略研究フォーラム政策提言委員である吉田正紀氏が、政権の政治構造を分析しながら、トランプ政権について論じる。(全2話中第1話)
時間:11分41秒
収録日:2018年4月20日
追加日:2018年6月7日
≪全文≫

●トランプ政権は予測不能でショーのような面白さがある


 こんにちは、お久しぶりです。私はワシントンD.C.に住んでまもなく3年になります。この間に米国はオバマ政権からトランプ政権に変わり、そのトランプ政権も発足から14ヶ月がたちました。

 アメリカから日本の報道を見ていますと、大統領選挙期間中から大手メディアの影響を受けて、ドナルド・トランプ大統領やトランプ政権に批判的な論調が多い気がします。もちろんトランプ大統領の発言やその発言の仕方、さらには彼の行動が過去の大統領とはかなり異なっていて、ユニークであることは事実です。しかし、決して政権全体あるいは政策が無茶苦茶であったりするわけではありません。

 私が働いている事務所は、実はホワイトハウスから2ブロック、約5分のところにあります。自宅もD.C.の北西端にあります。今の仕事は過去に米国に住んだ時と異なり、公的な身分は一切なく、一介のビジネスマンです。住民ではありますが米国市民ではなく、気楽な立場でそうしたトランプ政権を見ています。

 トランプ政権の特徴は明日何が起こるか分からないという予測不可能なところですが、その面も私にとってはまるでショーを見ているような面白さがあります。予測不可能性を生む原因の一つに、閣僚やホワイトハウスのスタッフが次々と解雇されたり辞任したりして政権が安定していない、という印象があるのではないでしょうか。そこで甚だ不謹慎ではありますが、今回は「トランプシアター」という題名で、そうした主要な人事交代とトランプ政権の政治構造とリンクさせながら、トランプ政権の14ヶ月を振り返りたいと思います。


●頻繁に起きる解任劇は、トランプの一貫したやり方が原因である


 上の画像は2018年4月10日時点において、ホワイトハウスの主要スタッフがどれだけ去っていったかを示すものです。赤が去っていったスタッフです。ある調査ではホワイトハウス高官の離職率は34パーセントであり、政権発足1年では過去のどの政権に比較しても異常な高さであることには間違いありません。また、ホワイトハウス以外の閣僚の辞任・解任・交代も頻繁に起きています。

 もう1つ面白い画像をお見せしましょう。これはSNSの投稿で見つけたものを参考に...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
独立と在野を支える中間団体(1)「中間団体」とは何か
なぜ中間団体が重要か…家族も企業も学校も自治会も政党も
片山杜秀
アンチ・グローバリズムの行方を読む(1)世界情勢の転換
強まるアンチ・グローバリズムの動きをどう見ればいいか
岡本行夫
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(1)国際秩序の転換点と既存秩序の崩壊
経済秩序や普遍的価値観を破壊し、軍事力行使も辞さぬ米国
佐橋亮
自民党総裁選~その真の意味と今後の展望
「マスコミ報道」では見えない自民党総裁選の深い意味
曽根泰教

人気の講義ランキングTOP10
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
川口淳一郎
「集権と分権」から考える日本の核心(3)中央集権と六国史の時代の終焉
天平期の天然痘で国民の3割が死亡?…大仏と崩れる律令制
片山杜秀
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
DEIの重要性と企業経営(4)人口統計的DEIと女性活躍推進の効果
日本的雇用慣行の課題…女性比率を高めても業績向上は難しい
山本勲
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題
発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る
西多昌規
「アカデメイア」から考える学びの意義(1)学びを巡る3つの危機
「学びの危機」こそが現代社会と次世代への大きな危機
納富信留
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(1)イノベーションと価値創造
価値創造において重要なのは未来から現在を見るという視点
遠山亮子
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(3)これからの世界と底線思考の重要性
同盟国よもっと働け…急激に進んでいる「負担のシフト」
佐橋亮