深刻な中東情勢
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
一貫性と戦略性を欠くトランプの中東戦略
深刻な中東情勢(3)トランプ大統領の戦略と反発
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
トランプ大統領による中東政策では、何が重要で何が重要でないかが目くらましされているようだが、これは英語の"wag the dog"、日本語でいうところの「本末転倒」だと山内昌之氏は指摘する。確固たる政治戦略と軍事作戦をもつロシアやイランを相手に、トランプ外交はこの先どんな道を歩むのだろうか。(全3話中第3話)
時間:12分01秒
収録日:2018年11月29日
追加日:2019年2月5日
カテゴリー:
≪全文≫

●オバマ氏の「逆」を行くのがトランプ政権の道?


 皆さん、こんにちは。

 「トランプ大統領と中東」と述べた場合、トランプ氏の中東政策は、"wag the dog"という英語の言い回しを思い出させるところがあります。日本語では「本末転倒」とでも言いましょうか。重要でないことを重要だと見せかけ、重要なことをさも重要でないように見せるようなときに"wag the dog"という言葉が使われます。そのレトリックは、まさにドナルド・トランプ大統領特有のものです。

 シリアにおける中東の複合危機の本質は、ロシアやイランと比べて、アメリカが曲がりなりにも公平な調停者として民主的に振る舞ってきたことにゆえんします。ロシアやイランが持つ政略と作戦は、その内容な本質において決していいものではないとはいえ、彼らはそれなりの政治戦略と軍事作戦を結合させて中東の再編政策を練っています。プーチン大統領にいたっては妥協の余地なく、まっすぐにインテグリティ(誠意)を持って取り組んでいるのです。

 アメリカの場合、トランプ大統領にはバラク・オバマ大統領との政策の不一致があり、今日、オバマ大統領のデザインをそのまま継承しているわけではありません。むしろトランプ大統領の特徴は、一つの頭文字で言うならば「R」、"reversal(あべこべ)"。すなわちオバマ大統領となんでもあべこべのことをするのが特徴でした。

 しかし、トランプ大統領のこうした方向は、アメリカ国内において必ずしも批判ばかりされているとは限らず、この間の中間選挙においても下院では敗色濃厚でしたが、上院ではそれなりに彼の言うところの「勝利」により過半数を占めることになったわけです。


●トランプ大統領の強い支持基盤「宗教右派」


 これはトランプ大統領が、とりわけ「宗教右派」に強い基盤を持っているためです。市民に根強いプロテスタントの中でも、キリスト教福音派はアメリカ国民の約4分の1を占めているとされます。彼らがいわゆる宗教右派で、聖書に書かれていることは、伝承や神話にさかのぼる余地なく、さまざまな奇跡やイエスの言行もすべて歴史的事実と解釈しなければならないという立場で信仰を深めています。

 トランプ大統領は、彼らを強い基盤としています。キリスト教福音派は、今のイスラエルを支配する連立政権の中でも強い影響力を持つユダヤ教原理主義派(本質的な正統派)とされる人...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ(1)二人の思想家
モンテスキューとルソー…二人の思想家の共通の敵とは?
川出良枝
独立と在野を支える中間団体(1)「中間団体」とは何か
国家の中で個人が楽しく生きるために、なぜ「中間団体」が重要か
片山杜秀
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾

人気の講義ランキングTOP10
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(2)教義の宗教と覚りの宗教
キリスト教は教義の宗教、仏教は覚りの宗教…仏教はなぜ普遍宗教か
橋爪大三郎
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
編集部ラジオ2026(28)自由喪失の危機に考えるハイエク-1
斎藤幸平氏に物申す…自由喪失の危機に読みたい自由主義の近現代史
テンミニッツ・アカデミー編集部
デカルトの存在論に学ぶ(1) 「我思う、ゆえに我在り」
「我思う、ゆえに我在り」はデカルトの専売特許ではない
津崎良典
原因と結果の迷宮~因果関係と哲学(6)不在因果の問題
不作為(◯◯しなかったこと)の原因は無限に拡散する
一ノ瀬正樹
資本主義の再定義…哲学で考える(6)「学ぶ」ことの本質と道徳の問題
「一人で悟るのは危険だ」…学ぶことの本質と日本の役割とは?
中島隆博
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
日本の財政の真実を検証する(7)AIと長寿化&質疑応答
AI時代にこそ「熟達者の経験」が生きる&現状の日本経済の実情は
宮本弘曉