深刻な中東情勢
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
パレスチナ問題を意図的に忘却するトランプの戦略
深刻な中東情勢(2)米国のJCPOA離脱と大使館エルサレム移転
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
米国のJCPOA(協同包括的行動計画)離脱へのイランの反発が、シリアに駐屯する革命防衛隊クドゥス軍団のイスラエル攻撃を促し、シリア問題の解決をさらに複雑化させた。中東では、対立関係が頻繁に入れ替わりながら、「対立」だけは激化しつづけている。トランプ政権による中東政策は何を狙っているのだろうか。(全3話中第2話)
時間:10分59秒
収録日:2018年11月29日
追加日:2019年2月4日
カテゴリー:
≪全文≫

●米のJCPOA離脱で注目されたイランのミサイル能力


 皆さん、こんにちは。

 中東危機の中心を成すシリアにおける危機は、2018年のアメリカのJCPOA離脱によって、とりわけ鮮明になってきました。2015年7月にウィーンで結ばれたJCPOAは国連安保理の常任理事国5カ国にドイツが加わった6カ国によるもので、イランの核問題に関する「包括的共同行動計画」の略です。

 JCPOAによる西側諸国の妥協をよいことに、イランは制裁の一部解除によって得た石油収益をシリアやイエメンの内戦につぎ込んだと、トランプ氏は強く非難しています。

 これに対してイランは、そういう事実は無いと反発しています。「無い」と言いつつ、シリアに駐屯するイラン革命防衛隊のクドゥス軍団(クドゥスはエルサレムを意味)はイスラエルへの攻撃行為に出ています。

 この際、西側、特にアメリカが関心を持ち、厳しく批判しているのは、イランの「ファテフ110」と呼ばれる射程300キロに及ぶミサイルです。そのようなものをレバノンやシリア国内に配置することで、シリア問題を複雑化させ、イスラエルとイランが直接対峙する危険性が出てきている。そしてイスラエルを脅かしているという点です。

 ファテフ110は、長さが8.86メートル、射程距離は今申し上げたように300キロ。このミサイルをダマスカスの近郊やレバノン南部のスール近郊などに置くと、エルサレム、テルアビブ等々が優に射程距離に入ってくるわけです。イスラエルにとってのイランの脅威は、遠くにある危機ではなく、近くの危機になったということです。


●対立関係を組み替えて混迷を深めるシリア


 また、ドナルド・トランプ大統領やイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が強く批判するのは、イランがテヘランからベイルート(レバノンの首都)、あるいはテヘランからラタキア(シリア海岸部)まで、事実上のランドブリッジ(陸の橋)をつくったことです。

 これはシーア派の居住地域や影響圏である地域を結ぶもので、テヘランからハマダーン(かつてロシアも使用歴のある空軍基地があります)、そしてバグダードを通ってモースルの西のテル・アバルからシリアに入り、ディルアッズールへ。そこからずっとシリアを横切り、首都ダマスカスからレバノンのベイルートやシリアのラタキアに達して地中海へ出て行く。

 このような長い陸の橋が、イスラエルにとってた...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾

人気の講義ランキングTOP10
和歌のレトリック~技法と鑑賞(1)枕詞:その1
ぬばたまの、あしひきの……不思議な「枕詞」の意味は?
渡部泰明
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
「進化」への誤解…本当は何か?(9)AI時代の人間と科学の関係
科学は嫌われる!? なぜ「物語」のほうが重要視されるのか
長谷川眞理子
独裁の世界史~未来への提言編(1)国家の三つの要素
未来を洞察するために「独裁・共和政・民主政」の循環を学べ
本村凌二
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIは間違いが分からない…思考で大事なのは訂正可能性
中島隆博
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
市川團十郎の歴史…圧倒的才能の初代から六代目までの奮闘
堀口茉純
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(8)秀長の死の影響と秀吉政権の瓦解
「家康対奉行」の構図は真っ赤な嘘!? 秀吉政権瓦解の真相
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(5)『秘蔵宝鑰』が示す非二元論的世界
雄大で雄渾な生命の全体像…その中で点滅する個々の生命
鎌田東二
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦