●訪以5回で感じるイスラエルと日本の同質性と相違点
今日は皆さんと一緒に、イスラエルと日本のことを考えたいと思います。最初のテーマは「イスラエルと日本 危機感と技術開発」でいきたいと考えています。
実はつい最近、若い事業家たちと一緒にイスラエルを訪問しました。私はこれまでにイスラエルを5回ほど訪ねていますが、今回皆さんと一緒に考えたいのは、次のようなことです。イスラエルは非常に技術革新の進んでいる国ですが、その背景には強烈な危機感があります。日本も、技術革新に関しては相当頑張っていますが、危機感はほとんどない国です。ただ、非常にまじめな国民性は似ていますし、世界のアウトサイダーという意味でも似ています。とはいえ、危機感と安全保障の意識、さらに技術革新の在り方がまったく違うので、そのあたりを皆さんと一緒に勉強したいと思います。
まず、危機感の根底にはイスラエルの歴史がありますので、これを素早く理解したいと思います。そうすると、彼らが切迫した危機感を持たざるを得ない理由が分かると思います。現在のイスラエルがめざましいイノベーションの道を驀進しているバネが、その危機感です。
「世界最強のスタートアップ・ネーション」とまでいわれるようになったイスラエルと日本。同質的な面もあれば、非常に違った面もある両国が組むとなれば、お互いにメリットがあるのではないだろうかということを、シリーズの最後に言及してみたいと考えています。
●ネタニヤフ政権の再選挙という正念場
最近のイスラエルについて話題になっているのは、ベンヤミン・ネタニヤフという剛腕の首相がいて、2019年4月に選挙を行った経緯です。ネタニヤフ氏の率いる党は「リクード」、対抗勢力は「青と白」という中道野党連合ですが、どちらも35議席を獲得しました。イスラエルには小党派がたくさんあるため、連立政権を組まないと政権はつくれませんが、連立を組めば勝てると見込んで、ネタニヤフ氏は早々と勝利宣言を行っています。
ところが、組閣期限の5月30日になっても、連立協議ははかばかしくいきませんでした。そのため、議会は解散となり、9月の再選挙で仕切り直すことになりました。これは実にイスラエルが1948年に建国して以来初めてのことなので、大事件です。
この先は、どうなっていくのでしょうか。秋の総選挙でやり直しが予定される中...