イスラエルの現況と日本
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
日本とユダヤの関係…才能が結合すると世界は変わる?
イスラエルの現況と日本(6)両国の協力による可能性
政治と経済
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
イスラエルと日本の協力に可能性を感じる人は多い。両国の特徴を比較すると、面白いのはイスラエルが「0から1」を生むチャレンジに長け、日本は「1を100にする」組織力を持つ点だ。かつて“Japan as No.1”と称したのはアメリカへの危機感だったが、両国の組み合わせは世界にメリットをもたらすのではないか。(全6話中第6話)
時間:11分51秒
収録日:2019年6月11日
追加日:2019年9月20日
カテゴリー:
≪全文≫

●「失われた20年」。その前の日本を振り返る


 イスラエルという国は、とんでもない危機感を背景に、周囲の国にいきなりつぶされないよう緊張感を持って頑張ってきました。そのためには優秀な人は技術で世界に雄飛する以外ないということが、彼らにとってモメンタム(勢い、はずみ)になっているようです。

 そういう国であることを念頭に置いて、皆さんと考えてみたいのは日本のことです。日本では、よくご存じのように「失われた20年」といわれますが、これは何かというと、1990年代と2000年代は失われたということです。平均成長率は、1パーセントに届くか届かないかというほど世界でも最低ラインを続けました。

 1989年が平成元年で、2019年が平成の終わりですが、この30年間の時代を多くの論者が「大失敗の時代」だと捉えています。なぜなのかを知るために、1989年の日本を振り返ってみましょう。

 実は1985年に、日本は1人当たりGDPに関するデータでアメリカを抜くということもありました。きっとアメリカは、けしからんと感じたのでしょう。プラザ合意によって日本を徹底的に叩いたのがその頃です。それ以来というもの、日本は腰骨を砕かれた状態になり、立ち上がれないまま20年を失ったわけです。すなわち凋落したのです。

 1980年代後半の日本企業がどんな様子だったかというと、工作機械、電子、金融などで断然世界を席巻していました。電機・電子産業では、が世界の売上の8割を占めていたこともありました。しかし、そういう時代はすでに昔の昔となっています。


●“Japan as No.1”と呼ばれた理由とバブルの後遺症


 日本がなぜそれほど成功したかについて、エズラ・ヴォーゲルというハーバード大学の教授が1979年に『Japan as No.1(ジャパン・アズ・ナンバーワン)』という本を出しています。日本人は“Japan is No.1(ジャパン・イズ・ナンバーワン)”だと思っているけれども、日本が現実にナンバーワンというのではなく、「もし日本がトップだったら、アメリカはどうする?」という警鐘を鳴らした本なので、仮定法の“as”が使われています。

 なぜ日本がそこまで行けたのかについては、どの企業も軒並み技術革新と人材育成に力を入れていることが大きいのです。日本型の企業モデルには何か秘密があるのではないかといわれました。それから、品質管理と勤労意欲が最高で、末端の従業員が社長のよ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプの動きを止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
「新しい資本主義」の本質と課題(1)新自由主義と『21世紀の資本』
新自由主義からの時代背景から「新しい資本主義」を問う
柳川範之
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(1)国際秩序の転換点と既存秩序の崩壊
経済秩序や普遍的価値観を破壊し、軍事力行使も辞さぬ米国
佐橋亮
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博

人気の講義ランキングTOP10
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(1)各国の財政と国民負担
日本と各国の比較…税負担は低いが社会保障の負担は高い
養田功一郎
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
松尾睦
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子
数学と音楽の不思議な関係(4)STEAM教育でつくる喜びを全ての人に
世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由
中島さち子
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査
「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味
川口淳一郎
第2の人生を明るくする労働市場改革(1)日本の労働市場が抱える問題
シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題
宮本弘曉
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(4)百年後の日本人のために
百年後の日本人のために、共に玉砕する仲間たちのために
門田隆将
「アカデメイア」から考える学びの意義(2)プラトンの学園アカデメイア
プラトン「アカデメイア」の本質は自由な議論と哲学的探究
納富信留