悪化する日韓関係
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
GSOMIAの突然の破棄が日韓関係にもたらした影響
悪化する日韓関係(4)GSOMIA破棄の衝撃と戦後の日韓関係
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
悪化する日韓関係は、安全保障分野にまで影響を与え始めた。安全保障上の要地である東アジアにおいて、日韓の協力体制が果たす役割は小さくなかったが、GSOMIA破棄によって協力体制の前途に暗雲が垂れ込め始めた。アメリカの仲介も効果をあげず、安全保障上のリスクは高まり続けている。こうした日韓関係の急激な展開を理解するためには、その根底にある日韓関係の歴史を正しく知る必要がある。(全6話中第4話)
時間:9分36秒
収録日:2019年9月9日
追加日:2019年10月23日
カテゴリー:
≪全文≫

●GSOMIA破棄が与えた衝撃


 それから1週間後の2019年8月23日、韓国政府は日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA:General Security of Military Information Agreement)の破棄を日本政府に通告しました。協定は毎年更新することになっており、8月24日までにどちらかが破棄を通告しなければ、自動延長されることになっていました。それを韓国政府は一方的に破棄通告することで協力体制を終了させたのです。

 この協定は、日韓両国が暗号情報や戦術データなどの防衛機密を共有するもので、当初は2012年に締結の予定でしたが、韓国からの申し入れで2016年に締結されました。2016年は北朝鮮が長距離ミサイルの発射と核実験を加速させていた時期に当たります。日米と米韓はそれぞれ安全保障条約を締結していますが、日韓両国の間ではこの協定が唯一の安全保障関連の条約です。いわばアメリカを頂点とする二等辺三角形の底辺を日本と韓国が構成しているのですが、この構造を支える重要な装置なのです。

 この情報共有体制は、例えば、北朝鮮のミサイルの軌跡を分析したり予測したりする時に役に立ちます。韓国国防省はミサイル発射直後の情報をいち早く入手できる立場にありますが、着弾点近くの情報は日本のイージス艦などの情報収集がより精確であるとされています。日米韓の情報を迅速に総合することで、この地域の防衛体制の運営がより的確になる効果があります。

 日韓の対立が、元徴用工問題から輸出管理の強化問題へと発展する中で、韓国はGSOMIAを更新するかどうか検討するとして、日本から譲歩を勝ち取る材料としてきた経緯があります。日本政府は安全保障問題を取引に使うべきものでないとして、更新を要請し続けてきました。


●アメリカの必死の仲介もGSOMIAの継続に結実しなかった


 最近になって、韓国の態度に懸念を深めたアメリカはスティーブン・ビーガン北朝鮮担当特別代表を、7月下旬にはジョン・ボルトン大統領安全保障担当補佐官、8月上旬にはマーク・エスパー国防長官を派遣して、韓国に慎重な対応を促してきました。韓国政府内でも国防省筋はGSOMIAの継続を望んでいましたが、大統領府の強硬派の意見に押し切られたとされています。

 8月23日にGSOMIAの破棄を発表した韓国当局者は「事前に米国の理解を得ていた」と主張しましたが、マイク・ポンペイオ国務大臣はじめ米国政府の高官は異口同音に...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
躍進するインドIT産業の可能性と課題(1)下請けから世界の中心へ
インドが世界有数のIT産業の拠点へと発展した理由
島田晴雄
紛争が絶えない世界~私たちは何ができるか(1)「戦争の世紀」から再び戦争の時代へ
再び戦争の時代へ――私たちは何を考え、どう動くべきか
小原雅博
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
米国派経済学の礎…ハミルトンとクレイ(1)ハミルトンの経済プログラム
フェデラリスト・ハミルトンの経済プログラム「4つの柱」
東秀敏
プーチンのロシア―その思想と戦略―(1)プーチン政治の特徴
ロシア皇帝のように悪者を叱る人…プーチンの思想と歴史観
山添博史

人気の講義ランキングTOP10
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(3)全皇帝の4分の3は「非漢族」
6000万人の漢人が、三国志の戦乱後に400万人台に…衝撃の人口変動
宮脇淳子
編集部ラジオ2026(22)「中国古代史」特集紹介!
【10min解説】「中国古代史という知の宝庫」特集の各話紹介
テンミニッツ・アカデミー編集部
日本の財政の真実を検証する(3)金利上昇の深刻な影響
金利が上昇した未来を10年スパンで見てみると…何が起きるか?
宮本弘曉
老子の神髄(6)無為と矛盾のススメ
無為とは緊張感を持って見つめること…なぜ矛盾を大歓迎すべきか
田口佳史
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(4)情報と教養の違い
教養がおろそかな人の限界…「教養は頭の中に、情報は頭の外に」
橋爪大三郎
中国春秋戦国時代と始皇帝(1)東方大平原と殷周革命
中国古代史の舞台を知る――東方大平原と渭水盆地そして殷周革命
鶴間和幸
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(3)3つの一神教、それぞれの物語
信じる神は同じだが…ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の異同点
鶴見太郎
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純