北朝鮮の脅威と日本の国益
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
日米韓のデカップリングは「核の連鎖」を招きかねない
北朝鮮の脅威と日本の国益(5)デカップリングの可能性
小原雅博(東京大学名誉教授)
「悪人の論理」と「弱者の論理」をどのように駆使し交渉するかは、非常に難しい問題である。しかしその中で、北朝鮮は日米韓の安全保障上の国益の違いを突き、分離工作を画策する可能性がある。それゆえ北朝鮮との交渉は、より広い文脈で捉える必要がある。(全9話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(10MTVオピニオン編集長)
時間:6分48秒
収録日:2019年8月21日
追加日:2019年10月25日
カテゴリー:
≪全文≫

●日米韓の国益の違いを突かれる可能性がある


―― 今、アメリカが交渉している立場としては、北朝鮮の核ミサイルはICBM、すなわちアメリカに届く大陸間弾道弾を積める技術がないという前提に立っています。

小原 望むべくは、ですね。

―― 前提としてはですよね。しかし、前回までの「悪人の論理」からすれば、北朝鮮は絶えず他国と合意をしては破りを繰り返してきているので、ここでもし中国の言うような2つの道を歩むということになった場合、またこれが時間稼ぎに使われてしまって、完全にアメリカを攻撃できる体制が整ったらどうするんだということになります。そうしたら、アメリカとしては「そんなの絶対呑めないぞ」ということになります。「悪人の論理」的な議論からすれば、やはり制裁に行くでしょう。かたや、交渉の受け手というか、もう一方の当事者である北朝鮮からすれば、いや、しかしどうなんだという、いわゆる「弱者の論理」的なものを主張してくるでしょう。

 このせめぎ合いの中で、今後、交渉をどうやって進めていくかというところなんですけれども、ここはなかなか難しいところですね。

小原 そうですね。やはり北朝鮮からすると、どうもアメリカ、日本、韓国の核の問題をめぐる国益というものが、実は完全に一致してないんじゃないかと見ている向きもあります。そうした亀裂をうまく利用して、分断を図っているというところはあると思うのです。

 典型的なのは、いまのICBMの話ですね。アメリカからすれば、ドナルド・トランプさんはアメリカ・ファーストですから、同盟国の利益よりはもちろんアメリカの利益が最優先ですね。したがって、北朝鮮がICBMさえ開発せず、実戦配備しなければ良いと考えています。極端なことをいえば、「もうICBMは作りません」というようなことをはっきりさせれば、アメリカの安全保障にとっては、あるいはトランプさんはそれでいいのです。もちろん、在韓米軍、在日米軍、グアムとか、いろいろあるのですが、しかしそれでは、実は日本とか韓国の安全保障の利益というのは損なわれるわけです。つまり、短距離、中距離のミサイルは残るわけです。


●デカップリングは「核の連鎖」を招きかねない


小原 これを、よくカップルを引き離すという意味の「デカップリング」といいます。

―― 分離工作ですね。

小原 韓国や日本がこの犠牲になってしまうと、こ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
資産運用の思考法…経済や市場の動きをどう読むか
市場予測のポイント…短期・中期・長期の視点と歴史的洞察
養田功一郎
会計検査から見えてくる日本政治の実態(1)コロナ禍の会計検査
アベノマスク、ワクチン調達の決算は?驚きの会計検査結果
田中弥生
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
トランプの誤謬…米国製造業を壊した犯人は米国の経営者
島田晴雄
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
地政学入門 ヨーロッパ編(1)地図で読むヨーロッパ
ヨーロッパとは?地図で読み解く地政学と国際政治の関係
小原雅博

人気の講義ランキングTOP10
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
編集部ラジオ2026(28)自由喪失の危機に考えるハイエク-1
斎藤幸平氏に物申す…自由喪失の危機に読みたい自由主義の近現代史
テンミニッツ・アカデミー編集部
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
徳川家康の果断と深謀~指導者論と組織論(1)率先し陣頭指揮する
徳川家康の「天下泰平」デザインとは?…陣頭指揮とカリスマ性
片山杜秀
生成AI「Round 2」への向き合い方(8)「責任あるAI」への課題と覚悟
責任あるAI――マイクロソフトが掲げるコンセプトと覚悟
渡辺宣彦
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介