北朝鮮の脅威と日本の国益
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北朝鮮問題を「悪人の論理」と「弱者の論理」から考える
北朝鮮の脅威と日本の国益(3)「悪人」か「弱者」か
政治と経済
小原雅博(東京大学名誉教授)
北朝鮮の非核化問題をめぐっては、「悪人の論理」と「弱者の論理」という2つの考え方がある。「悪人の論理」に基づけば、制裁や武力攻撃が必須である。それに対して「弱者の論理」に基づくと、解決のためには平和体制の構築が求められることとなる。(全9話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(10MTVオピニオン編集長)
時間:12分30秒
収録日:2019年8月21日
追加日:2019年10月18日
カテゴリー:
≪全文≫

●北朝鮮側の体制保証要求をどう考えるべきか


―― もう1つ、話の整理のためにお聞きすると、「敵視政策をやめなさい」という北朝鮮の要求についてのお話がありました。北朝鮮が言うのは、「われわれの体制保証をしなさい」ということです。前提として、朝鮮戦争は1950年に勃発し現状では休戦協定が結ばれたけれども、戦争状態は続いているという状況がある。だから米韓の合同軍事演習なども、ある意味ではそういう前提の下で行われている。そうした環境の中で、北朝鮮が言うところの「体制保証をせよ」「敵視政策をやめろ」という要求は、果してどういう意味を持つものなのかというところなんですが、ここを、どのように見ておられますか。

小原 まさに休戦協定というのは、法的には戦争が終わったことを意味してなくて、戦争状態が続いているということですね。そういう中で、今言われたように、韓国からすれば北朝鮮の攻撃があるかもしれません。そうでなければ、なぜ核・ミサイル開発をしているんだ、ということです。だから、韓国からすれば、あるいは日本やアメリカからしても、これは非常に脅威です。

 他方で北朝鮮側からすれば、アメリカという大変強大な軍事力を持つ国家から、自分たちの安全が脅かされているという認識になります。そうなってくると、米韓の合同軍事演習というのはアメリカと韓国からすれば北朝鮮の攻撃に対する防衛のためにやっているわけなんだけど、北朝鮮側からすると、われわれを攻撃するために準備をしているんではないかと思わせるものです。ここには、そうした相互の不信感があるわけですね。

―― 戦争状態ですからね、ある意味では。

小原 だから、まずはそうした不信感を和らげていく必要があるじゃないかということです。その中で今議論が出ているのが、終戦宣言という話です。これは政治的な効果しかない、法的な拘束力はないものです。とりあえず、戦争は終わったんだということを宣言して、そこからさらに正式な平和条約へと進めていけば、国と国の関係をお互いに認め合って、外交施設や大使館も開いて、また、いろんな話し合いを常時して、協力関係も進めていけるじゃないか。そういうことになっていけば、敵視政策が少しずつ解除できるのではないか、と。たぶん、そうしたプロセスが重要だと思うんですね。


●「悪人の論理」に基づく武力行使の可能性


―― でも、平和条...

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