北朝鮮の脅威と日本の国益
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アメリカ国内では北朝鮮よりイランのほうが関心が高い
北朝鮮の脅威と日本の国益(8)米・中・韓の駆け引き
小原雅博(東京大学名誉教授)
北朝鮮の韓国への駆け引きは、米韓関係を引き裂き得る踏み絵のようなものである。現状では国連制裁に抵触するために経済的援助はできないが、今後のアメリカ、中国、韓国の出方次第では一気に情勢が変化し、融和方向にも緊張方向にも向かう可能性があるだろう。(全9話中第8話)
※インタビュアー:川上達史(10MTVオピニオン編集長)
時間:6分51秒
収録日:2019年8月21日
追加日:2019年11月10日
カテゴリー:
≪全文≫

●北朝鮮への経済援助は国際関係を大きく揺るがす


―― 最後に、日本の話をお伺いしたいと思います。デカップリング、すなわち離間論や分断工作という部分でいうと、先ほどの北朝鮮による韓国へのメッセージというのは、極めて怖いメッセージです。「お前ら、俺たちとうまくやろうとするならば、もっと経済協力しろ」、みたいなものです。もし韓国がそれに応えて経済協力をしたら、今度は米韓の間がめちゃくちゃなことになりますよね。だから「お前ら、どっちを取るんだ」という半ば踏み絵のような状態になっています。

小原 これまで韓国が歩み寄れなかったのは、アメリカがやっちゃダメだと言ったからです。

―― ということですね。

小原 それから、やっぱり経済協力の中の多くは、国連制裁に引っかかる可能性があるんです。そういう意味でいうと、やはりアメリカや国連安保理での議論が進まないといけません。実は中国とロシアは、この制裁は解除していいんじゃないかということで、安保理に働きかけているんです。もちろん、安保理では常任理事国が全員イエスと言わないかぎり動きません。ですからアメリカは今、制裁を解除すべきじゃないと主張し続けています。これには日本も強く釘を刺しているので、現状が維持されているんだと思います。

 そういう意味で言うと、今は静かに見えますけどね、これから半年、つまり2019年の年末までの各国が動き方によっては、来年は大変厳しい年になると予想されます。また緊張が高まる可能性があると思いますね。


●アメリカ国内の関心は北朝鮮よりイランに向いている


小原 ただドナルド・トランプさんはイランも抱えていますし、中国も抱えています。その中で、大統領選挙がいよいよ来るという時期に、北朝鮮問題でどの程度北の要求に応えられるのかという問題があります。つまり、下手すると、大統領選挙にも影響するのです。

 実は大統領選挙のことを考えると、トランプさんにとって北朝鮮はそんなに大きなテーマではないんです。もちろん、最も大事なのは経済です。これまでも大統領選挙を最終的に決めてきたのは国内経済でした。今、アメリカでは経済がちょっとおかしくなってきてますね。これは金利や米中の貿易戦争が関わっています。米中の貿易戦争は自分が仕掛けたものですが、どうやってこれをソフトランディングさせていくのかが非常に難しい。

 それ...

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