「進化」への誤解…本当は何か?
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長谷川眞理子(総合研究大学院大学名誉教授)

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古代ギリシアから議論されてきた生物の発生や進化の問題は、近代に入り実験的に検証されていくようになる。今回は、フランチェスコ・レディ、フランシス・ベーコン、カール・フォン・リンネといった学者たちの探究について解説していくが、その後に登場する「最初の科学的進化論者」ともいえるジャン=バティスト・ラマルクの理論も、まだ十分に科学的であるとはいえなかったようだ。(2025年5月15日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全9話中第3話)
※司会者:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:12分14秒
収録日:2025年5月17日
追加日:2026年1月12日
カテゴリー:
≪全文≫

●生物の起源の実験的探究が始まった


長谷川 それで進化学、進化の学説というものがどう変わってきたかということに入っていきたいと思うのです。

 最初にも言いましたように、天文学や物理学が空を見て観察するというのは、古代ギリシアの時代からずっとやってきました。ガリレオがすごいことを(やったり)、コペルニクスも(含め)10何世紀にもういろいろあるのですが、生物については長らく何も分かっていません。

 「生物は生物からしか生まれないのだ」「自然発生はしないのだ」というようなことの実験的な端緒は、フランチェスコ・レディぐらいです。びんの中に腐ったお肉を入れるという(実験の)ことで、それをいっぱい置いておいた。でもその半分にはガーゼでふたをする。もう半分にはふたをしないでおく。それで、何週間かたってからハエが出てきたかどうかを見たら、ガーゼで覆ったものからは(ハエが)出てこなかった。口を開けておいたものの中からウジが出てきて、ウジがハエになった。(つまり、びんの中に)入ってこないということは、ハエが入ってこられたところでしかハエは出ないというので、生物は生物からしか生まれないというようなことを最初に実験した人です。これが1600年代です。

 1561年生まれのフランシス・ベーコンという人は、後期ルネサンスから近代にかけてという人です。

 このベーコンという人は経験的な帰納法とかを考えた人で有名ですけれど、(彼の説によると)ハトとか、ニワトリとか、ブタとか、いろいろ人為選択して、もっときれいなハトとか、もっと卵の大きなニワトリとかをつくります。そういうものを見て、品種をつくり出すことが可能なのは変異があるからだと。(つまり)「同じニワトリでも、よく卵を産むのと産まないのがいるから、選択するともっといい卵(を生むよう)になるようなものができるのだ」「(それには)まずは変異があるのだ」ということに気がついたらしいのです。

 人為選択については昔からやっていました。だから、家畜とかそういうものをつくるときに人為淘汰をするということ自体、初めは偶然に生じた変異を何かの目的で選択していけば新たな品種をつくるということがあるのはよく見えているので、それでそういうことを指摘しているのだそうなのですが、本当...

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