「進化」への誤解…本当は何か?
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「進化論」対「創造論」…アリストテレスの目的論とは?
「進化」への誤解…本当は何か?(2)「進化論」対「創造論」
長谷川眞理子(総合研究大学院大学名誉教授)
古代ギリシア哲学の中で、生物の持って生まれた目的性を重視する目的論を展開したアリストテレスは異彩を放っていた。そして、その議論はキリスト教的な生物観と相性が良かった。西欧における進化論の発展と宗教的な背景を考える。(2025年5月15日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全9話中第2話)
※司会者:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:7分40秒
収録日:2025年5月17日
追加日:2026年1月6日
カテゴリー:
≪全文≫

●キリスト教の教えをバックアップしたギリシア哲学


長谷川 ところが、古代ギリシアのときもアリストテレスだけは違ったことを言っていたのです。

 アリストテレスは紀元前の384年生まれだから、もうだいぶ昔で、ルクレチウスより前に生まれた人です。その人は、アリストテレスは目的論で有名ですけれど、生き物には全て目的があるので、ランダムにできてきて絶滅するということはあり得ない。必ず目的があって、そこに来るのだということを言っていたので、違うのです。いろいろなものが出てきて、勝手に繁殖して、できなかったら消えたというようなことはないと言ったのです。

 アリストテレスは、「時間には始まりも終わりもない」、(つまり)時間は最初からあったと言っているので、生物も始まりはない。自然発生して、土の中からミミズは出る、とにかく自然発生をするのだと。いつもそうで、でも発生してくるには目的があって発生してくるので、そこでランダムに何かが起こって絶滅することはあり得ないということを言った人です。

 だから、アリストテレスは他の古代ギリシアの考えとは違うことを考えていたというわけです。

 古代と中世、まだ生物学を何も分かっていないときに2つの流れがあって、1つは「変わる」という考えです。それがアナクサゴラス、エンペドクレス、エピクロス、ルクレチウス、みんなそうだったのです。それはみな単純なものから複雑なものへ行くのだと、そして、うまくいかない試作品は絶滅するのだということを組み合わせて考えていました。だから、進化と適応ということを一応考えていました。名前がたくさんあるように、それが主流だったのだと思うのです。

 ところが、(もう一方の考えとしては)そうでなく、「初めから各種が存在して変化はしない」ということです。生き物は目的に合致しているから適応しているのだ。何か試作品があって、うまくいったのが残っているのではなくて、初めから目的があって、その目的に合致しているものがそもそも発生してくるのだと、初めから各種が存在して変化がなくて、生き物は目的に合致していると考える人がアリストテレスだけなのです。他にマイナーな人はいたかもしれないのだけれど、(その後も)残ってはっきり書かれているのはアリストテレスしかない...

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