これからの社会・経済の構造変化
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なぜいまファミリー企業への注目が世界的に高まっているか
これからの社会・経済の構造変化(3)新しいファミリーガバナンスの時代
柳川範之(東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授)
「ステークホルダー資本主義」の重要性が増す現在、旧来的と思われがちなファミリービジネスの価値が再び注目されている。長い時間をかけて企業理念や感性を共有することが、企業の前進を助ける。これから求められる「新しいファミリーガバナンス」のあり方について解説する。(全4話中第3話)
時間:10分11秒
収録日:2025年12月9日
追加日:2026年2月4日
≪全文≫

●なぜ今、ファミリービジネスが注目されているか


 その点でいくと、私はここのところもう10年以上、ファミリービジネスの研究をしているのですけれど、(それは、)日本のファミリー企業の強さを改めてしっかり把握して、なぜ強いのか、どういうところが大きなポイントなのかをしっかり見せていく必要はあるのではないかと思っているからです。

 世界的にもある程度注目をされていることで、ファミリー企業は一般的に、ガバナンスとしては、あるいは企業の経営のスタイルとしては前近代だといわれてきたのですけれど、今はまったくそんなことはありません。世界中のビジネススクールで、ファミリー企業に関する講座がずいぶん開かれているのです。

 ハーバード(大学)でも『ハーバード・ビジネス・レビュー』でファミリー企業に関する研究、そのハンドブックが出されています。ご存じの通り、ヨーロッパのビジネススクールでは、ファミリービジネスが多いということもあるのですけれど、かなりの講座が開かれているということで、世界的にファミリー企業に注目が集まってきています。それはファミリー企業のパフォーマンスが一般的にいいからです。

 ただ、ファミリー企業と一口でいっても、それは定義の仕方が若干甘いのではないかと思います。いわゆる初代のファミリー企業だとベンチャー、スタートアップの成功者が入っているので、そこにはセレクションバイアスがある。(つまり)成功した会社だけが生き残っているので、初代のベンチャー企業が結局ファミリー企業のパフォーマンスを押し上げているのではないでしょうか。

 そうすると、2代目、3代目と子孫が経営をしている企業を調べてみると、日本のファミリー企業で世界的に特徴的なのは、この2代目、3代目が継いでいるファミリー企業のパフォーマンスが非ファミリー企業に比べていいことです。これが日本企業の特徴で、有名なファイナンスの論文にも載っています。

 なぜなのかということは、その後の研究がいろいろあるわけなのですけれど、1つは優秀な婿養子を取っていることが大きな原因なのではないかという研究もあったりもします。

 それがなぜなのかということをここで掘り下げることはポイントではなく、先ほどから申し上げているようなステークホルダー・キャピタリズムだとか、社会課題解...

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