これからの社会・経済の構造変化
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利益か社会課題解決か…かつての日本企業の美点を取り戻せ
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日本の社会と経済の構造変化…スピードの遅さをどう克服するか?
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
柳川範之(東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授)
いま世界が大きな転換期を迎えている。これから日本社会と経済の構造も大きく変わっていくことは間違いない。では、どのように変わっていくのか。柳川範之先生が、そのヒントを鋭く探っていく講義シリーズ。インターネットやAI技術の発展で社会の情報伝達構造は大きく変わった。誰もが即座に情報を得られる「フラット化」の時代に、従来の日本の組織の「ヒエラルキー」や「無謬性の原則」ではあまりにスピードが遅すぎる。また、従来の民主主義の意思決定システムもスピードの遅さが懸念される。これは民主主義が技術革新を十分に取り入れられていないことを意味する。独裁などに陥るのではなく、いかに民主主義をバージョンアップして意思決定スピードを上げられるのだろうか。(全4話中第1話)
時間:10分22秒
収録日:2025年12月9日
追加日:2026年1月28日
≪全文≫

●情報伝達構造の大転換―フラット化がすべてを塗り変える


 今回は少し大きなタイトルで、これからの社会・経済の構造変化ということで、少し私が考えている大きな流れというか、大きな変化の特徴をお話しできればと思っております。質疑応答もあるので、1時間ぐらいお話しさせていただいて、その後、皆さんからまたご質問をお受けできればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 今回、申し上げたいここでの話は技術革新が起きている中で、意思決定システムが本当は変わっていかなければいけないのに、かなり遅れている、あるいはそれをどう変えていいかよく分からないという課題を抱えていると考えるからです。

 ここ(スライド)に書きましたけれど、情報伝達構造のイノベーションが起きて、社会のシステムは明らかに構造変化を起こしているのだと思うのです。それが皆さんに分かりやすい話でいけば、企業組織は変えなければいけないということでDXといわれているわけです。DXということは、本当はDigital Transformationなので、組織そのものを変えていかなければいけないのですけれど、なかなか日本企業の場合、組織そのものを変えるというよりは技術導入だけで終わってしまっているという現状問題はあるのです。

 ただ現状問題は脇に置いておくと、情報伝達構造が変わったから、組織は変わらなければいけないし、権限の配分構造をすごく変えていかないと企業は生き残れないとみんな思っているわけです。

 それはネットができて、これは政府の会議でもよく言ったのですけれど、メールでみんなにccで全て情報が送れるようになった以上、ヒエラルキーな情報伝達構造はあまり意味がないのです。

 昔は、覚えていらっしゃる方もいるのかもしれませんけれど、今でもある会社はありますけれど、順番に(例えば)係長が判を押して、課長が押して、部長が押して、役員が押して、社長が最後判を押して、それでようやく全員の意思決定が(終わる、つまり)、これでいいですね、みたいになっていくということです。こういうことでいくと、(それでも)社長が全部の判を押すわけにいかないから、社長が判を押すレベル、部長が判を押すレベル、課長が判を押すレベルと決めるけれど、いずれにしてもヒエラルキー...

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