本当によくわかる経済学史
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
重商主義と重農主義…古典派経済学の前段階の主張とは?
第2話へ進む
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
政治と経済
柿埜真吾(経済学者/思想史家)
現代社会の「経済」を正しく理解するためには、実は、正しい「経済学史」を理解していることが大きな助けとなる。逆に、正しい「経済学史」を知らなければ、怪しげな経済理論にダマされてしまうことにもなりかねない。気鋭の経済学者にして思想史家でもある柿埜真吾氏が、資本主義の誕生から現代までの「経済学史」のポイントを一気呵成に総覧・解説する必見講座。今回は、後に続く講義の「ポイント」として、大きな歴史の中での「経済の流れ」を概観する。(全16話中1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分30秒
収録日:2022年6月8日
追加日:2022年11月16日
≪全文≫

●資本主義はそれまでの経済とどう違うか


―― 皆さま、こんにちは。本日は柿埜真吾先生に「経済学史」というテーマでお話をいただきたいと思います。柿埜先生、どうぞよろしくお願いいたします。

柿埜 よろしくお願いいたします。

―― 柿埜先生は、PHP新書から『ミルトン・フリードマンの日本経済論』と『自由と成長の経済学 「人新世」と「脱成長コミュニズム」の罠』を発刊されています。

 今回、「経済学史」というテーマでお話を伺いますが、問題意識としては、現代の経済を読み解く上で役に立つ経済学史とはどういうものなのか、あるいは日本で教科書に載っている経済学説の流れも大切ですが、それ以外にどのような点を見ておけばいいのか、ということなどをお聞きしたいと思います。

 まず、概略の講義になります。「産業革命」「資本主義」が18世紀を中心に始まります。ひと言で資本主義といいますが、資本主義はそれ以前の経済のあり方とどう違うのでしょうか。

柿埜 資本主義という言葉は、なかなか難しいものです。資本主義がそれ以前の経済と何が違うかというと、それ以前の経済は、ある意味で自給自足的な経済体制でした。その自給自足的な経済の上に、商業などといったものが少し乗っかっている。そういうものはたいていが政府のつくった特権的な企業が独占していました。そういう体制だったのです。

 そこに、新しい企業が出てきて、消費者に対して自分の商品を売り、他の企業と自由に競争するようになります。これが基本的に資本主義です。

 市場というものがあり、その市場で企業が消費者を獲得することを目指して、消費者に気に入ってもらうような商品を売る。そういった経済は「市場経済」といいます。つまり、資本主義は基本的には市場経済ということになります。

―― それこそ大昔から、例えば町の市場のようなものなどはあったでしょうが、その町の市場のようなものと、市場経済でいう市場とは、何がどのように違うのでしょうか。

柿埜 どこから資本主義が始まったかということについては、いろいろな説があるので、非常に難しい問題です。中東のスークのようなものがあったり、日本でも昔はそういった市が立ったりしていたわけですが、それと今の市場では、基本的なメカニズムは一緒です。ただ昔の市場は、非常に規制された市場で...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(1)国際秩序の転換点と既存秩序の崩壊
経済秩序や普遍的価値観を破壊し、軍事力行使も辞さぬ米国
佐橋亮
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
「新しい資本主義」の本質と課題(1)新自由主義と『21世紀の資本』
新自由主義からの時代背景から「新しい資本主義」を問う
柳川範之
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一

人気の講義ランキングTOP10
数学と音楽の不思議な関係(4)STEAM教育でつくる喜びを全ての人に
世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由
中島さち子
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(2)政府債務と預金残高の背景
なぜ日本の所得水準は低いのに預金残高は大きいのか
養田功一郎
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
松尾睦
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査
「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味
川口淳一郎
第2の人生を明るくする労働市場改革(1)日本の労働市場が抱える問題
シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題
宮本弘曉
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(8)満州事変と世界大恐慌
「100年戦争」と考えて戦争に突入した日本の現実
片山杜秀
弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(1)弥生時代はいつ始まったのか
なぜ弥生時代の始まりが600年も改まった?定説改訂の背景
藤尾慎一郎
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子