本当によくわかる経済学史
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ミルトン・フリードマン…金融政策の復権と自由市場の重要性
本当によくわかる経済学史(13)20世紀最大の経済学者フリードマン
柿埜真吾(経済学者/思想史家)
大恐慌の後、ケインズ的な「大きな政府」が主流だったところに登場したのが、ミルトン・フリードマンである。彼は過去のデータや歴史的実例に基づいて理論を検証し、改善していくという「実証主義」を唱えた。そして、ケインズ政策でいわれる「乗数効果」が必ずしも成り立たないことも解き明かした(恒常所得仮説)。フリードマンの分析はこれまで「つじつま」が合わなかった部分を、うまく説明できた。金融政策と自由市場の重要性を説いた彼の理論は、広く受け入れられるようになっていく。しかし、反対論者からの攻撃を受け、誤解されていることも事実だ。それはなぜか。彼の具体的な理論とともに解説する。(全16話中13話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:15分33秒
収録日:2022年6月8日
追加日:2023年3月1日
≪全文≫

●「大きな政府」に異を唱えたフリードマン


―― ナチスや共産主義にせよ、ケインジアンにせよ、戦後の大恐慌以降は「大きな政府」の傾向が続くことになります。流行り、と言うと怒られるかもしれませんが、それが1つの潮流になってくるわけですね。それに異を唱えたのが、ミルトン・フリードマンです。

柿埜 先ほどもお話ししましたが(第11話)、オーストリア学派の人たちはこの間もずっと異議を唱えてはいます。けれども、もはや誰も見向きもしない少数派に転落してしまったのです。大学に就職するのも苦労するようなレベルにまで落ちぶれてしまって、全然相手にされなくなってしまいます。

 そのような中で、「自由市場はやはり大事だ。政府が介入したら最終的にうまくいく、などということはない」ということを指摘したのが、20世紀最大の経済学者ともいえるミルトン・フリードマンです。

 フリードマンはどうやって「政府介入がうまくいかない」ことを主張したか。これは非常に簡単です。実際のデータや歴史的事実を見て、それを統計的に検証し、うまくいっていないことを示したのです。

―― 実証主義ということですね。

柿埜 そうです。フリードマンの大きな特徴は、抽象的な理論(地に足のついていないような理論)を唱えるだけではなく、それが実際に使えるかどうかという「経済学は現実を改善するための道具だ」という発想でものごとを見ている点です。彼は、歴史的な実例などを見ながら、実際に政府が介入してうまくいっていないことを示していきました。

 フリードマンは、シカゴ学派という、シカゴ大学を中心とする経済学者のグループの一員です。これはある意味で「シカゴ的な伝統」ということができると思いますが、現実の経済政策に生かすために事実を検証した上での理論が、彼の理論です。後で言いますが、これはオーストリア学派とかなり違う点です。

―― オーストリア学派はどちらかというと、思弁的、哲学的だったということですね。


●恒常所得仮説――公共事業の経済効果は大きくない


柿埜 フリードマンの研究は、イデオロギー的な何かというよりも、普通にやっていったらそうなるという話です。ケインズ的な発想では、「政府が支出を増やせば、その支出を受け取った人たちは――例えば公共事業を行って、その公共事業の給料を受け取っ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
三つの建国――その歴史的背景から迫るアメリカの原点
中西輝政
イラン戦争と終末論(1)イラン戦争の戦略的背景と米国の政策
なぜイラン戦争がこのタイミングなのか?戦略的背景に迫る
東秀敏
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉

人気の講義ランキングTOP10
老子の神髄(1)「絶対自由の境地」を求めて
『老子』が求める「絶対自由の境地」とは?…そして創造長寿へ
田口佳史
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉
ギリシア神話の基本を知る(1)「ゼウス以前」の神々の戦い
ギリシア神話…ゼウスの「父親殺し」とオリュンポス十二神
鎌田東二
ラカンの精神分析~心の謎を解き明かす(4)欲望と欲求と欲動
ほしいものが、ほしいわ。…欲望の無限運動が資本主義の基盤
斎藤環
日本神話の基本を知る~世界・人間・文化のはじまり
「国生み・国作り・国譲り・国治め」と「むすひ」の力
鎌田東二
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(6)リベラルアーツの本質
自分にしかできない自分の世界を味わうために、他の人とつながる
橋爪大三郎
キケロ『老年について』を読む(1)キケロの評価と「老年の心構え」
幸福な老年への智恵をキケロに学ぶ…惨めな老年の4つの理由とは
本村凌二
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(8)シオニズムとユダヤ教
シオニズムは伝統的なユダヤ教とは異質…イスラエル建国の背景
鶴見太郎
編集部ラジオ2026(19)橋爪大三郎先生のリベラルアーツ論
【10min解説】橋爪大三郎先生:AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か
テンミニッツ・アカデミー編集部