本当によくわかる経済学史
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
限界効用理論とは?…「労働価値説」はいかに否定されたか
本当によくわかる経済学史(6)労働価値説から限界革命へ
柿埜真吾(経済学者/思想史家)
マルクス主義が「主流」になれなかった大きな理由は、彼らが依拠した「労働価値説」への異議が噴出したことにあった。実は「労働価値説」は古典派経済学もマルクス主義も依拠していたが、経済学の「主流」では、「限界効用理論」が主張されて、「労働価値説」に代わって前面に出されるようになった。この「限界効用理論」と、同時期に登場した「一般均衡理論」の登場によって、経済学は一段と進歩することになる。(全16話中6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分56秒
収録日:2022年6月8日
追加日:2022年12月21日
≪全文≫

●「労働価値説」に向けられた批判


―― そのような流れを受けて、マルクスも依拠した「労働価値説」の問題性が指摘されていくことになるのですね。

柿埜 先ほどもお話しした通り(第5話)、異端の経済学者はたくさんいたわけですが、異端派の経済学者たちは、どうしても主流になれませんでした。どうして主流になれなかったかというと、魅力的な選択肢、代替案がなかったからです。

―― それは、どういうことですか。

柿埜 「古典派におかしいところがある」といえば、それはおかしいところはあったかもしれません。というか、確かにありました。だけど、「具体的にどう考えればいいのか」ということに関して、それほど説得力のある選択肢を示せたわけではなかったのです。

―― なるほど、そういうことですね。

柿埜 マルクス主義も「とにかく資本主義は悪い」というのだけど、社会主義は具体性がなくボンヤリとしていました。そのような状況で、古典派はずっと続いたのですが、「そもそも古典派やマルクス主義が依拠している『労働価値説』がおかしいのではないか」ということが、だんだんと指摘されるようになってくるわけです。

 ジョン・スチュアート・ミルは、労働価値説に関して「もう経済学が書くべきことは何もない。完全な理論ができている」と満足げに書いていたのですが、彼がそう書いてほんのしばらくして、それは全部ひっくり返されてしまいます。

―― だいたいそういうことを書くと、ひっくり返されることになるのが世の常ですね。

柿埜 自己満足していた労働価値説がおかしいのではないかという意見が出てきて結局、これがひっくり返るわけです。特に1870年代に「限界革命」といわれる一連の動きの中で、そういったことがはっきり指摘されるようになってきます。

 実は本当は、それ以前から正しい主張(限界理論)はあったのですが、あまり表に出てこなかった。それが強く前面に出されるようになります。


●「限界」とは、「追加の1単位」のこと


―― これ(限界理論)は分かりづらい話ですね。

柿埜 「限界」という単語自体が分かりづらい。これはメンガーの弟子であるヴィーザーがつくったのですが、経済学専門用語なので分かりづらいのです。

 先ほど(第4話)、「水とダイ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾
半導体から見る明日の世界(1)世界的な半導体不足と日本の可能性
なぜ世界の半導体不足は起きた?台湾TSMCと日本復活への鍵
島田晴雄
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ(1)二人の思想家
モンテスキューとルソー…二人の思想家の共通の敵とは?
川出良枝
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(35)鶴見太郎先生の公開収録を振り返る
【10min紹介】鶴見太郎先生の公開収録を振り返る・・・お寄せいただいた声
テンミニッツ・アカデミー編集部
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
「満洲」から考える日本とアジア(8)日貨排斥と満洲事変の原因
なぜ満洲事変が起きたか…激烈な日本排斥と朝鮮人迫害、さらに一方的な条約無効化に直面した日本人の決断と失敗
宮脇淳子
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
50代からの親の介護~その課題と準備(2)マネジメントとしての介護
介護を「プロジェクト」と捉え、マネジャーに徹すべし
太田差惠子
現在の宇宙の姿(2)太陽系から星の世界へ
太陽系とその外に広がる星の世界との関係
岡村定矩
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫