本当によくわかる経済学史
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限界効用理論とは?…「労働価値説」はいかに否定されたか
本当によくわかる経済学史(6)労働価値説から限界革命へ
柿埜真吾(経済学者/思想史家)
マルクス主義が「主流」になれなかった大きな理由は、彼らが依拠した「労働価値説」への異議が噴出したことにあった。実は「労働価値説」は古典派経済学もマルクス主義も依拠していたが、経済学の「主流」では、「限界効用理論」が主張されて、「労働価値説」に代わって前面に出されるようになった。この「限界効用理論」と、同時期に登場した「一般均衡理論」の登場によって、経済学は一段と進歩することになる。(全16話中6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分56秒
収録日:2022年6月8日
追加日:2022年12月21日
≪全文≫

●「労働価値説」に向けられた批判


―― そのような流れを受けて、マルクスも依拠した「労働価値説」の問題性が指摘されていくことになるのですね。

柿埜 先ほどもお話しした通り(第5話)、異端の経済学者はたくさんいたわけですが、異端派の経済学者たちは、どうしても主流になれませんでした。どうして主流になれなかったかというと、魅力的な選択肢、代替案がなかったからです。

―― それは、どういうことですか。

柿埜 「古典派におかしいところがある」といえば、それはおかしいところはあったかもしれません。というか、確かにありました。だけど、「具体的にどう考えればいいのか」ということに関して、それほど説得力のある選択肢を示せたわけではなかったのです。

―― なるほど、そういうことですね。

柿埜 マルクス主義も「とにかく資本主義は悪い」というのだけど、社会主義は具体性がなくボンヤリとしていました。そのような状況で、古典派はずっと続いたのですが、「そもそも古典派やマルクス主義が依拠している『労働価値説』がおかしいのではないか」ということが、だんだんと指摘されるようになってくるわけです。

 ジョン・スチュアート・ミルは、労働価値説に関して「もう経済学が書くべきことは何もない。完全な理論ができている」と満足げに書いていたのですが、彼がそう書いてほんのしばらくして、それは全部ひっくり返されてしまいます。

―― だいたいそういうことを書くと、ひっくり返されることになるのが世の常ですね。

柿埜 自己満足していた労働価値説がおかしいのではないかという意見が出てきて結局、これがひっくり返るわけです。特に1870年代に「限界革命」といわれる一連の動きの中で、そういったことがはっきり指摘されるようになってきます。

 実は本当は、それ以前から正しい主張(限界理論)はあったのですが、あまり表に出てこなかった。それが強く前面に出されるようになります。


●「限界」とは、「追加の1単位」のこと


―― これ(限界理論)は分かりづらい話ですね。

柿埜 「限界」という単語自体が分かりづらい。これはメンガーの弟子であるヴィーザーがつくったのですが、経済学専門用語なので分かりづらいのです。

 先ほど(第4話)、「水とダイ...

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