「教養とは何か」を考えてみよう
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モンテーニュが説いた「歴史を勉強すること」の意義
「教養とは何か」を考えてみよう(15)【深掘り編】学んだ価値観にハマるリスク
三つ目の問いは、学びが深まるにつれて一つの価値観に凝り固まってしまい、バランスのとれた見方を失うことのリスクについてである。それは思想を深める者にとって避けるべき危険なのか、他者と意見を交わし合うことは、そのためにどう役立っていくのか。質疑応答編その3。(全15話中第15話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分29秒
収録日:2020年10月26日
追加日:2021年8月3日
≪全文≫

●自分だったらどうするかという判断力を鍛えるために歴史を勉強する


―― 三つ目の質問は、前回の五十嵐先生のお話に非常に通じるところだと思うんですけれども、好きなことを学んでいく形になっていくと、得てして一つの体系にどっぷりつかっていくことがあると思います。

 一番極端な典型例を言ってしまいますと、イデオロギー的な部分であったり、宗教的な部分もそうかもしれませんが、例えばマルクス主義的な歴史観を学んだ人は、ずっとマルクス主義的な歴史観の価値観で、それに合うような話をどんどん自分の周りで理論化していくというケースがあります。

 それが一種の鎧というものなのかもしれないけれども、自分のアイデンティティとも結びついていて、「世の中はこう見るべきだ」とずっと思ってしまっているケースがあるかもしれません。もちろん保守主義的な歴史観を持っている人からすれば、逆のふくらませ方もあるかもしれないわけです。

 仏教を学んでいる人やキリスト教を学んでいる人にもそういうところがあるかもしれない。でも、今日の「抛下」というキーワードは、「離さなきゃいけない」「見直さなきゃいけない」局面があるというお話でした(第9話)。

 ただ、ある程度学んだ人であれば、例えばマルクス主義の歴史観の弱点は、批判されるとしたらここだということも分かっているでしょうし、逆の立場でもそうだと思います。そうなると、非常に相対主義的になってしまい、自分のなかで何が正しいのか少し分からなくなり、どう思って生きていけばいいのかを見失ってしまう危険性もあるように思うのです。

 学ぶときにどういう心がけで学んでいって、例えば自分とは違う理論、自分とは違う価値観についてどういうような形で対峙をし、向かい合っていって、その上で自分自身の価値観としてどう考えていくべきか。これについてもしヒントがあれば、ぜひ教えてください。

津崎 うーん。今マルクス主義の話が出たから、マルクス主義に限定すると、有名なのはカール・ポパー(Karl Popper)の「反証可能性」という考え方があります。

 カール・ポパーに言わせれば、マルクス主義とフロイト主義というのかな、これらは科学=サイエンスではない。なぜならば、あらゆる反証や批判を受けつけず、すべてを文字通りきれいに説明できる。そのことに酔っていると言えばいいのかな。

 科学というの...

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