「教養とは何か」を考えてみよう
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福沢諭吉が『学問のすゝめ』で説いた教養の効用
「教養とは何か」を考えてみよう(12)教養は役に立つのか
日本で「教養」という言葉が使われ始めたのは明治末期のことである。その後、教養には「学問と芸術によって知性や人間性などの人格を高めていく」という意味が付加されていく。今は一般に実生活では役立たないもののように捉えられる節もあるが、そうではなく、それは実学においても重要で、わたしたちにとって不可欠なものだ。実はかつて福沢諭吉が「修身」という言葉で、教養の効用を説いていた。(全15話中第12話)
時間:11分23秒
収録日:2020年10月26日
追加日:2021年7月13日
≪全文≫

●日本で「教養」という言葉が出てきたのは明治時代


津崎 そうすると、「教養」という漢字をちょっと崩したくなってくるよね。だって教えるとかじゃないし。養う部分はいいにせよ、ね。

 「教養」という言葉が日本で自覚的に使われ始めたのはいつぐらいか知っている?

五十嵐 知らない。

津崎 調べてみると、1904年から05年に毎日新聞に連載されていた木下尚江という人の『良人の自白』のなかで使われている。教養という言葉自体は『後漢書』という中国の古典の文献に出てくるらしいんだけれども、1904年から05年といったら比較的新しい言葉だよね。まだ100年ちょっとしかたっていない。

五十嵐 明治時代か。たしかに。

津崎 そう。その後1912年に大正になって、和辻哲郎や阿部次郎や安倍能成という人たちが、「教養」という言葉に「人格を学問と芸術によって、知性や人間性を高めていくこと」なんていう意味を付加していった。

 本来であれば単に教え授ける「教授」と同じで、子どもに教えていくような意味だったものに、「人格をつくり上げていく」という意味が付加された。「大正教養主義」とか言うじゃない?

 でも、教養というものは、「わたしの人格を学問と芸術によってつくり上げていく」ことだという、いわゆる一般の定義から少し外れて、「他者と友である」ということになってくると、教養というよりは……。

五十嵐 「他者と」というか「他者の」かな。

津崎 「他者の友」ということになってくると、別の日本語を当てたくなるよね。だって、それは教えるとかなんとかいうことではないし、養うということではあるかもしれないけれども。

五十嵐 うん。たしかに。でも、教わるということはあるかも。

津崎 かもしれない。


●福沢諭吉が『学問のすゝめ』で説いた「修身」は不可欠


津崎 同じような言葉に、身を修める「修身」とか、同じ修めるに養うの「修養」という言葉があるね。

 福沢諭吉が『学問のすゝめ』のなかで、「実学とはこうである」ということを言っていて、一般に「教養は役に立たない」と言われるけど、彼は「修身」という言葉をそのなかで使っているね...

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