「教養とは何か」を考えてみよう
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
レヴィ=ストロースの「ブリコルール」と「教養がある人」
「教養とは何か」を考えてみよう(2)「壊れたペン」と教養の関係
「オネットム」はパスカルの定義した「素晴らしい人間」像であり、「教養人」と重なる部分も多い。それは、自分の心をオープンにして他者とつながることができる人のことだ。その能力があれば、「壊れたペン」でも「壊れたペン」にはならず、何かに意味付けして使うことができる。それが「教養がある人」ではないだろうか。(全15話中第2話)
時間:13分04秒
収録日:2020年10月26日
追加日:2021年5月4日
≪全文≫

●教養は自分と世界の間に立つ「障害」を乗り越えること


五十嵐 今のパスカルの話は、結局「あの人はあれができる人だよね」ということじゃなく、「あの人」が思い出される。いろんなところで「あの人」に思い当たるというのがマイクのおっしゃったことだと思うんだけど、それってまさに前回のハイデガーの道具の話だと思ったんだけど。

津崎 どうつながるのかな。

五十嵐 「honnête」な「homme」でしょ。

津崎 femme(ファム、女性)でもいいんだけれども。

五十嵐 うん。“honnête”は「正直」ということで、別の言い方をすると「つくっていない」というか、自分と自分の心をオープンにして、そのままつながることができるということ。それはある意味、理想なんだけど、普通の人はそれができなくて、人にこう思われるんじゃないかとか、こうしたらこうなるんじゃないかと思って、自分をつくっちゃうでしょ。

津崎 うんうん。

五十嵐 つくっちゃうのはどうしてか。それはうまく人とつながることができないからだと考えると、教養って自分を拡大することではなく、前回の話で言うと、キーボードが使えないという障害とか、例えば敬語が使えないと、人と話すときに敬語のことばっかり気になって話がうまくできないとか、パソコンが使えないと文章を打てないとか、そういうふうにわたしたちは世界のなかでいろんな障害を持つけど、教養がある人はそういう自分と世界とか自分と相手との間の障害や邪魔になるものを持っていないというよりも、それをもう乗り越えていて、自由に自分のままで世界とつながること、相手とつながることができるようになっている人なんじゃないかな。

 だから、「壊れたペン」はもう一つも持ってなくて、どんな場に行ってもどんな人と話しても──天皇陛下の席に行っても、ホームレスの人と一緒にご飯を食べるときでも──どんなときでも「オネット」で、自分のまま全面的に自分と相手、というように一緒に楽しめる。

津崎 面白い。

五十嵐 一緒に生きられる。そういう人を教養ある人というのかもしれない。だから、ドイツ語を習うのもフランス語を習うのも、ドイツ語ができるようになったことが教養なんじゃなくて、ドイツ語を習ったということさえ忘れて、ドイツ人となんの妨げもなく人間と人間としてつながっていける、「オネット」なわたしでいられる。そういうことが教養な...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎
キケロ『老年について』を読む(1)キケロの評価と「老年の心構え」
幸福な老年への智恵をキケロに学ぶ…惨めな老年の4つの理由とは
本村凌二
「自分をコントロールする力」の仕組み(1)自制心と目標の達成
自制心の重要性…人間は1日4時間も何かを「欲求」している
森口佑介
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
「幸福とは何か」を考えてみよう(1)なぜ幸せになりたいのですか
「幸福」について語り合う「哲学カフェ」を再現
津崎良典
『タテ社会の人間関係』と文明論(1)誤解を招いた「タテ社会」の定義
誤解された『タテ社会の人間関係』…日本社会の本質に迫る
與那覇潤

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(21)中西輝政先生:アメリカの本質
【10min解説】独立250年、アメリカの理念と本質とは?
テンミニッツ・アカデミー編集部
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(2)三大要素は「皇帝」「都市」「漢字」
中国皇帝の実像は都市ネットワークを握る「最大の資本家」だった
宮脇淳子
日本の財政の真実を検証する(2)なぜ財政危機は起きていないか
なぜ財政危機は起きていないのか…国債の金利のトリックを読み解く
宮本弘曉
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政
老子の神髄(4)生成化育と突破力
生成化育――「自ずと然り」のメッセージと「突破する力」の歓喜
田口佳史
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
ラカンの精神分析~心の謎を解き明かす(1)精神分析の概念とその起源
なぜ心の病にかかるのか?ラカンの精神分析とその起源
斎藤環