「教養とは何か」を考えてみよう
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「リベラル・アーツ」と「自由」の関係を歴史的に振り返る
「教養とは何か」を考えてみよう(9)リベラル・アーツと脱我
「本来のわたし」とは、どこまでを指すのだろうか。対外的に意味をなすための名前も地位も「わたし」を守るための鎧だとすると、わたしは鎧に奪われてはいないだろうか。その鎧を捨てたり抜け出したりして自由になるためには「勇気」が必要だ。それもまた、教養の一つの定義なのだろうか。ここではさらに「自由」というキーワードにも関係する「リベラル・アーツ」について、歴史的に振り返ってみたい。(全15話中第9話)
時間:13分13秒
収録日:2020年10月26日
追加日:2021年6月22日
≪全文≫

●鎧に奪われた「本来のわたし」を取り戻す


五十嵐 外側にいろんな外敵がいて、そこからわたしという身体やわたしという領域を守るんじゃなくて、「本来のわたし」というか、「本来のわたし」を宿しているわたしは弱いから、外で生きていくために、いろんな鎧や服、名前や地位やお金というのをまとわないと、生きていけない。

 だけど、それは本当は「わたし」ではない。本当はわたしではないのに、そのことを忘れてしまって、周りにある鎧や何かがわたしだと思っている。だから、わたしはわたしじゃなくて鎧として生きているのに、もうそれを忘れてしまっている。

 そこで、わたしはもう鎧にわたしを奪われているというか、わたしがわたしを勝手に失っちゃっているのが通常のわたしの在り方なんじゃないか。そう思ったときに、わたしを守るとはどういうことかというと、やっぱり“politior”というか。周りのものというのは、わたしが必要だと思うからこそ身につけてきたものなんだけど、わたしが自分で獲得して身につけている対外的なもの──外から認めてもらえるための印や鎧や「キラキラ」──を、わたしが「捨てていく」という言い方は違うんだけど、そこからわたしがどう出ていけるか。どうやって「わたし」を獲得していけるかということ、そのことを「教養」というんじゃないか。そう思うと、教養とは身につけるものじゃなくて、身についていくもの。別の言い方をすると、教養というのはある意味で「勇気」というか。

津崎 そうだよねえ。「勇気」、なるほど。身につけるという発想は、どうしても買ってきたりした出来合いのものがそこにある感じなんだけど、結果として身についたという感じなんだね。


●わたしが存在するのは存在する意味があるから


津崎 結果として教養を身につけるための条件は一体何かといったら、それは勇気を持って自分を獲得する、取り戻す、見つける、ということ?

五十嵐 うん。前回の「規矩」というのは、結局「規矩を身につける」ということだと思っていて、それにはわたしであるしかない。どうしてかというと、「わたしである」しか目の前のその人と出会うことができないから。

 だって、わたしが生まれてきたということは、わたしが生まれる必然性があったということだから。ほら、鎧だらけ、キラキラだらけで生きていたら、わたしじゃない。


スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
西洋哲学史の10人~哲学入門(1)ソクラテス 最初の哲学者
ソクラテス:「フィロソフィア」の意味を問う最初の哲学者
貫成人
キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか
「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?
竹内修一
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
道徳と多様性~道徳のメカニズム(1)既存の道徳の問題点
多様性の時代に必要な道徳とは…科学的アプローチで考える
鄭雄一
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二

人気の講義ランキングTOP10
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦