「教養とは何か」を考えてみよう
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レジリエンスとライプニッツから考える教養と他者の問題
「教養とは何か」を考えてみよう(7)レジリエンスと「死者」
教養のもう一つのキーワードとして「レジリエンス」という言葉を挙げたい。「回復力」とか「忍耐力」という意味の言葉だが、他者との出会いによってつまずいたわたしたちは、立ち直っていく過程で教養を磨いていると考えることもできる。そうであれば、そのために必要な他者として、「究極的な他者」である「死者」について話は進んでいく。(全15話中第7話)
時間:9分10秒
収録日:2020年10月26日
追加日:2021年6月8日
≪全文≫

●他者との出会いから立ち直るのは「レジリエンス」


津崎 面白いのは、“cultura animi”にしても“Bildung”にしても、どうしても僕たちは、自分で自分のことを高めていくんだという自己完結モデルで語りがちでしょ?

五十嵐 うんうん。

津崎 だけど、さっちゃんの話を聞いていくと、そういった、教養を身につけていく過程に「他者」との出会いがある。もっと言ってしまうならば、他者との出会いによってつまずいて、そこから立ち直っていく。

五十嵐 そうそう。

津崎 心理学で最近よく言われる「レジリエンス」という用語があるよね。もとは物理学で使われている。

五十嵐 こうでしょ(手でバネのような感じを示しながら)。

津崎 鋼などに強い力が加わったとき、戻ろうとする力のことを、レジリエンス、つまり「回復力」とか「忍耐力」と呼んでいて、心理学にも適応されている。例えば教養を、そういう「レジリエンスを持っていること」とも定義づけてみたいと思う。


●「究極的な他者」とは何か


津崎 他者の問題でさらに言ってしまうと、「究極的な他者」って何だと思う?

五十嵐 わたし。

津崎 さっちゃん。

五十嵐 究極的な他者とはすべての人のことで、自分の「他者性」みたいな感じで思っている。究極的な他者というものがいるんじゃなくて、他者性というか、「まだ知らない」ということ。だけど、それは当たり前……。

津崎 そう、「まだ知らない」がキーワードだよね。

五十嵐 そう、「まだ知らない」。どうしてかというと、例えばわたしはマイクを「まだ知らない」。それは、わたしが知ろうとして近づいていっても、マイクは絶えず動いていて、絶えず変わり続けているから。だから知ることができない。自分のこともそう。

津崎 人が教養を身につけようと思い始めるときに、ないしは実際に教養を身につけていこうとしている人たちにとって、何らかの意味での「他者」との出会いが必要であるというところまで話がきたね。

 それは日常のさまざまな他人である場合もあるだろう。でも、僕はもうちょっと、他者とはこんなもんじゃないかと思っている。それは何かというと、「死者」。

五十嵐 うん。


●本当に「知らない他者」は二つしかない


津崎 絶対的な他者というのは、今目の前にいるさっちゃんも、もち...

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