「教養とは何か」を考えてみよう
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
レヴィ=ストロースの「ブリコルール」と「教養がある人」
第2話へ進む
「哲学カフェ」再現講義第二弾「教養とは何か」語り尽くす
「教養とは何か」を考えてみよう(1)「あの人って教養あるよね」とは
「教養」について話すのは面はゆい。話す当人が「自分の教養を疑ってもみない」人間であるように見えてしまうからだ。そうした厚顔さは教養と相容れないものだが、その理由はどこにあるのだろう。わたしたちはどのような人に「教養」を感じるのか。前回の「『幸福とは何か』を考えてみよう」シリーズに続き、哲学講師二人が筑波大学で行われている「哲学カフェ(※)」の雰囲気のもと、教養について対話を重ねていく。(全15話中第1話) ※「哲学カフェ」:筑波大学では身近なテーマについて哲学講師を交えて話し合う「ソクラテス・サンバ・カフェ」(通称「哲学カフェ」)が毎月開かれている。中学生以上の一般市民ならだれでも参加でき、高校や中学での「出張」も行われてきた。
時間:10分54秒
収録日:2020年10月26日
追加日:2021年4月27日
≪全文≫

●「教養について話す」という無理難題


津崎 皆さん、こんにちは。筑波大学人文社会系でフランス哲学について研究したり教育したりしている津崎良典と申します。今日は、五十嵐先生とご一緒して、いろいろと楽しいお話を──楽しいかな(笑)

五十嵐 うん、きっと楽しい。

津崎 楽しいお話をしていきたいと思います。よろしくお願いします。

五十嵐 同じく筑波大学の人文社会系で現代思想の研究をしております、五十嵐沙千子と申します。前回「幸福とは何か」で、マイク(編注:津崎良典先生のこと)と皆さんとご一緒に楽しい時間を持たせていただきました。今日もきっと楽しい(笑)時間になると思います。よろしくお願いいたします。

津崎 よろしくお願いします。今日は、さっちゃん(編注:五十嵐沙千子先生のこと)と、イマジニアの「テンミニッツTV」の番組では2回目の収録になりますね。前回は──さっちゃんも今言ってくれたように──、「幸福について話してほしい」というリクエストがあったけど、今日はなんと!

五十嵐 教養。

津崎 もう毎回無理難題でここで失礼したい気分だけど(笑)、今日は「教養について話してほしい」ということで。困るよねえ、そんなこと言われても。

五十嵐 え、だって(津崎先生は)教養ありありでしょ。

津崎 というか、「教養について話してほしい」「じゃ、これから、教養について話しますね」ということほど教養のないことはないと思わない?

五十嵐 え、どうして?

津崎 だって、「教養について話してほしい」「分かりました」というのは、自分は教養があるというのが前提でしょう。「教養が自分のなかにあるから、教養について話してほしいというリクエストがあったんだな」「教養について何ほどかのことを、この人は知っている。だから教養について話す」というか。

五十嵐 でも教養について知ってなくても、「教養について考えている」ということでもいいかも。「教養、欲しいな」とか「ああいう人は教養があるからいいな」と思うことは、やっぱりあると思うんです。


●「ザ・教養」を身につけても教養人になれない


津崎 どうしてあるというふうに思う? 僕がというわけではなく、もうちょっと一般的に話してもいいと思うんだけど、「あの人って教養があるよね」というのは、どういうときだろう?

五十嵐 うーん。ものを知っている人...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
小林秀雄と吉本隆明―「断絶」を乗り越える(1)「断絶」を乗り越えるという主題
小林秀雄と吉本隆明の営為とプラグマティズムの格率
浜崎洋介
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
「50歳からの勉強法」を学ぶ(1)大人の学びの心得三箇条
大人の学び・3つの心得=自由、世間が教科書、孤独を覚悟
童門冬二
法隆寺は聖徳太子と共にあり(1)無条件の「和」の精神
聖徳太子が提唱した「和」と中国の「和」の大きな違いとは
大野玄妙
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
歴史の探り方、活かし方(5)史実・史料分析:秀吉と秀次編〈下〉
『武功夜話』は偽書か?…疑われた理由と執筆動機の評価
中村彰彦
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
編集部ラジオ2025(29)歴史作家の舞台裏を学べる
歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方
テンミニッツ・アカデミー編集部
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治