なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ノイズを楽しむ――半身社会の「読書と教養のすすめ」
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(2)ノイズと半身社会の処方箋
三宅香帆(文芸評論家/京都市立芸術大学非常勤講師)
「読書はノイズを含むもの」と語る三宅香帆氏。ノイズとは知りたいことの背景となる知識やその後ろにある歴史的文脈を教えてくれるものだが、仕事が忙しく余裕がなくなってくると、そうした周辺情報がまさにノイズだと感じてしまい、本よりスマホのほうを選ばせる原因にもなる。こうしたタイパ・コスパ傾向にある現在において、本を楽しむ、教養に浸るためには、どうすればいいのだろうか。その方法について、鍵となることばとして「半身」というホットワードを挙げて、楽しみとしての教養についてとともに語る。(全2話中第2話)
時間:12分25秒
収録日:2024年8月26日
追加日:2024年10月13日
≪全文≫

●ノイズとは知りたいことの背景知識やその後ろにある歴史的文脈


―― 冒頭で申し上げましたが、多分この本の主題の一つと思われるものに「ノイズ」の話があります。

 これは、本のテーマである「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」とも非常に結びついてくると思います。例えば私より上の世代の人では、「いや、自分は読んでいました」という方もいると思いますし、あるいは「スマホができたから、スマホに時間をとられて読めないのではないですか」という答えもあると思います。しかし、先生がこの本で訴えていらっしゃるのは、案外それだけではないということですね。

三宅 そうですね。読書というのはやはりある程度ノイズを含むものです。それは知りたいことの周辺知識だったり、背景文脈を教えてくれるものだと思いますが、仕事に忙しかったり、自分のことしか考える余裕がなくなったりしていると、そのような周辺知識を得るような情報を「ノイズだな」と感じてしまう人が増えているのではないでしょうか。

―― 今のノイズということについて、もう少し分かりやすくご説明いただくと、どういうイメージになりますか。

三宅 そうですね。例えば私の場合、知りたいことがあったときに、その知りたいことの背景知識だったり、後ろにある歴史的文脈を教えてくれるのが一番の特徴だと思っています。その情報というものが、余裕のあるときには面白い話、理解を深められる知識として受け入れられるのだけれど、忙しいときだと、その背景知識はいらないと感じてしまい、ノイズに感じてしまう人が増えているのではないでしょうか。


●「半身」で働くことで、社会の方向性を変える


―― ここは「テンミニッツTV」というメディアの特性もあって、いろいろお聞きしたいところなのですが、「でも、文脈は大事ですよね」という方も多いと思います。多分、歴史的な文脈が分かっていないと、ちゃんとした判断はできないのではないか、というイメージを持つ方も多いと思います。ところが、もうそういう考え方はなかなか難しい時代になってしまったということですか。

三宅 そうですね。

―― (そうした中、)例えば「文脈が大事だよ」と訴えるとすると、どういうイメージになるのでしょうか。もうこれは訴えようがないのか。(あるいは)どこをどういうふうにすれば、文脈...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
ピアノの歴史は江戸時代に始まった
野本由紀夫
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
おみくじと和歌の歴史(1)おみくじは詩歌を読む
おみくじは「吉凶」だけでなく「和歌や漢詩」を読むのが本当
平野多恵
日本画を知る~その技法と見方(1)写実・写意・写生
日本画で大切な「写意」「写生」の深い意味とは?
川嶋渉
『源氏物語』を味わう(1)『源氏物語』を読むための基礎知識
源氏物語の基礎知識…人物関係図でみる物語の流れと読み方
林望
『古今和歌集』仮名序を読む(1)日本文化の原点となった「仮名序」
『古今和歌集』仮名序とは…日本文化の原点にして精華
渡部泰明

人気の講義ランキングTOP10
聖徳太子「十七条憲法」を読む(1)十七条憲法を学ぶ現代的意義
聖徳太子の「和」は議論の重視…中華帝国への独立の気概
賴住光子
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(3)「現場の熱」こそ多角化の要点
新規事業を成功させるリーダーとは…上意下達はなぜダメか
水野道訓
こどもと学ぶ戦争と平和(1)私たちに必要な想像力と戦争体験
なぜ戦争が起こるのだろう…大切なのは想像力と生の声
小原雅博
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
哲学から考える日本の課題~正しさとは何か(1)言葉の正しさとは
「正しい言葉とは何か」とは、古来議論されているテーマ
中島隆博
おもしろき『法華経』の世界(10)未来への智慧と希望
「未来応化=どんな未来も大丈夫」…ブレない臨機応変の力
鎌田東二
AI時代と人間の再定義(6)道徳の起源から考えるAIと感情の問題
道徳の起源は理性か感情か?…AI時代に必要な思考の身体性
中島隆博
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(5)共存・共生のための理性
共生への道…ジョン・ロールズが説く「合理性と道理性」
齋藤純一
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(6)曼荼羅の世界と未来のネットワーク
命は光なのだ…曼荼羅を読み解いて見えてくる空海のすごさ
鎌田東二