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マネ、モネ、ルノワール…芸術家8人の関係と印象派の誕生

印象派の誕生~8人の主要な芸術家

安井裕雄
三菱一号館美術館 上席学芸員
概要・テキスト
クロード・モネ《印象、日の出》
出典:Wikimedia Commons
モネ、ルノワール、セザンヌといった印象派の画家たちはあまりに有名だが、その「印象派」を定義するのは簡単ではない。19世紀後半、フランスはパリで開かれた第1回展覧会を皮切りに、合計8回の展覧会を足場にして形成され展開した印象派という芸術運動。その誕生と、そこで中心的な役割を果たした8人の芸術家を解説する。
時間:17:06
収録日:2023/12/28
追加日:2024/12/21
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≪全文≫

●「印象派」と印象派展の関係


安井 それでは、「印象派の誕生」ということでお話をさせていただきます。安井裕雄と申します。よろしくお願いいたします。有名な印象派なのですけれど、ひとくちに印象派といっても、実は定義が難しいところです。

 印象派そのものは、1874年から1886年にかけて、合計8回展覧会を開催しているのですけれど、印象派に属する画家たちというのは、印象派展に出品したからといって、そのままオートマティックに全員が印象派になるわけではないのです。合計8回の展覧会、特に第1回目の参加者が30人だと記録上は残っておりますけれど、それ以外にも、出品者目録に名前のない、ある伯爵夫人というアマチュアの画家もおりまして、合計31人が参加しておりました。

 ことほどさように、印象派のグループというのは、定義そのものからして実は難しいものです。

 ただ、その中でも第1回から第8回の合計8回あった展覧会に、カミーユ・ピサロだけは8回とも出品しております。では他の画家はどうであったかというと、これがまちまちで、ドガの場合は7回、ベルト・モリゾの場合も7回です。それ以外に、印象派のいちばんの代表とも目されるクロード・モネの場合は5回しか出品しておりません。以下、ルノワール、シスレーが4回ずつで、セザンヌに至っては2回しか出品していないのです。

 印象派展といいますけれど、名称そのものが印象派と呼ばれた展覧会は第3回展のみでした。それ以外の回は全てまちまちな名前になっております。共同出資会社のことを「ソシエテ・アノニム(société anonyme)」といいますけれど、第1回展のみ、この(ソシエテ・アノニムの)展覧会であったということで記録に名前が残っております。

 ソシエテ・アノニムというのは、いい方を変えますと株式会社です。要は、1人年間の会費60フランずつを払いまして、その60フランで出品できる点数が割り当てられます。これが120フラン払いますと、倍の点数を出品できるというような形です。

 出品者も、先ほど31人が出品していたと申し上げたのですけれど、これがまたまちまちです。印象派、いわゆる当時のいちばん新しい表現を行っていた前衛画家だけ...
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