印象派の誕生~8人の主要な芸術家
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
マネ、モネ、ルノワール…芸術家8人の関係と印象派の誕生
印象派の誕生~8人の主要な芸術家
安井裕雄(三菱一号館美術館 上席学芸員)
モネ、ルノワール、セザンヌといった印象派の画家たちはあまりに有名だが、その「印象派」を定義するのは簡単ではない。19世紀後半、フランスはパリで開かれた第1回展覧会を皮切りに、合計8回の展覧会を足場にして形成され展開した印象派という芸術運動。その誕生と、そこで中心的な役割を果たした8人の芸術家を解説する。
時間:17分06秒
収録日:2023年12月28日
追加日:2024年12月21日
カテゴリー:
≪全文≫

●「印象派」と印象派展の関係


安井 それでは、「印象派の誕生」ということでお話をさせていただきます。安井裕雄と申します。よろしくお願いいたします。有名な印象派なのですけれど、ひとくちに印象派といっても、実は定義が難しいところです。

 印象派そのものは、1874年から1886年にかけて、合計8回展覧会を開催しているのですけれど、印象派に属する画家たちというのは、印象派展に出品したからといって、そのままオートマティックに全員が印象派になるわけではないのです。合計8回の展覧会、特に第1回目の参加者が30人だと記録上は残っておりますけれど、それ以外にも、出品者目録に名前のない、ある伯爵夫人というアマチュアの画家もおりまして、合計31人が参加しておりました。

 ことほどさように、印象派のグループというのは、定義そのものからして実は難しいものです。

 ただ、その中でも第1回から第8回の合計8回あった展覧会に、カミーユ・ピサロだけは8回とも出品しております。では他の画家はどうであったかというと、これがまちまちで、ドガの場合は7回、ベルト・モリゾの場合も7回です。それ以外に、印象派のいちばんの代表とも目されるクロード・モネの場合は5回しか出品しておりません。以下、ルノワール、シスレーが4回ずつで、セザンヌに至っては2回しか出品していないのです。

 印象派展といいますけれど、名称そのものが印象派と呼ばれた展覧会は第3回展のみでした。それ以外の回は全てまちまちな名前になっております。共同出資会社のことを「ソシエテ・アノニム(société anonyme)」といいますけれど、第1回展のみ、この(ソシエテ・アノニムの)展覧会であったということで記録に名前が残っております。

 ソシエテ・アノニムというのは、いい方を変えますと株式会社です。要は、1人年間の会費60フランずつを払いまして、その60フランで出品できる点数が割り当てられます。これが120フラン払いますと、倍の点数を出品できるというような形です。

 出品者も、先ほど31人が出品していたと申し上げたのですけれど、これがまたまちまちです。印象派、いわゆる当時のいちばん新しい表現を行っていた前衛画家だけ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
日本画を知る~その技法と見方(1)写実・写意・写生
日本画で大切な「写意」「写生」の深い意味とは?
川嶋渉
『源氏物語』を味わう(1)『源氏物語』を読むための基礎知識
源氏物語の基礎知識…人物関係図でみる物語の流れと読み方
林望
万葉集の秘密~日本文化と中国文化(1)万葉集の歌と中国の影響
『万葉集』はいかなる歌集か…日本のルーツと中国の影響
上野誠
『古今和歌集』仮名序を読む(1)日本文化の原点となった「仮名序」
『古今和歌集』仮名序とは…日本文化の原点にして精華
渡部泰明
ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か
ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景
池上英洋

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(3)秀吉出世譚の背景
武闘派・秀吉として出世…織田家中で一番の武略者の道
黒田基樹
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(2)コンピュータの歴史
量子コンピュータの転機となった1990年代の発見とは何か
武田俊太郎
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥