ロバート キャンベル氏の朗読で堪能する英訳版『源氏物語』
日本語と英語で味わう『源氏物語』(5)英訳による『源氏物語』とその世界観
『源氏物語』は場面に応じて異なる文体を用いるところにその魅力がある。その文体を、アーサー・ウェイリーはどのように英訳していたのか。また、『源氏物語』は日常の淡々たる平和な生活を描いたものだが、その世界観がどう彼...
収録日:2024/02/18
追加日:2024/11/11
対談 | 林望/ロバート キャンベル
世界で初めて英訳された『源氏物語』と日英同盟への影響
日本語と英語で味わう『源氏物語』(4)『源氏物語』をめぐる日英の歴史
『源氏物語』が初めて英訳されたのは1882年、末松謙澄という日本人によるものだった。当時、末松や岡倉天心などがロンドンにいたが、その後、20世紀初頭にアーサー・ウェイリーによっても翻訳された『源氏物語』は、日本と同盟...
収録日:2024/02/18
追加日:2024/11/04
対談 | 林望/ロバート キャンベル
「胡蝶」の中の玉鬘…その文章の綴り方の妙は古今独歩
日本語と英語で味わう『源氏物語』(3)親子の物語と自然の描写
『源氏物語』は光源氏の色恋物語であると同時に親子の物語でもある。そして、そこには重要なテーマが二つあるという。一つは、光源氏にとっての「正妻」とは何かということ。もう一つは、この物語を彩っている、写実的で情感豊...
収録日:2024/02/18
追加日:2024/10/28
対談 | 林望/ロバート キャンベル
幸運の火打石――闇夜に不案内な土地を旅する者への忠告
『マカーマート』から読む政治家の運(4)幸運の火打石
時の運は決して持続的には働かない。運よく地位を上げた人も、次の瞬間は分からない。悲運に見舞われ挫折したリーダーをサポートすることこそ、人にとって「あらまほしき」ことなのだ。運が天から降ってくるのをただ待つよりも...
収録日:2024/10/02
追加日:2024/10/26
運の変化に逆ギレ!?運に恵まれた人に訪れる試練のとき
『マカーマート』から読む政治家の運(3)権力者を訪れる試練
法治国家の最高権力者は、政権を掌握したその日から権力を失うことを覚悟しなければならない。彼をその地位に導いたのは運であり、運の本質は気まぐれなものだ。『マカーマート』は万人に対し、「罪悪招く原因より身をば離るが...
収録日:2024/10/02
追加日:2024/10/26
平安時代から続く伝統…『源氏物語』の最大の特色は口承性
日本語と英語で味わう『源氏物語』(2)『源氏物語』が描いたリアリティ
時代を越えて読み継がれる『源氏物語』の魅力は、人間のリアリティがとことん描かれていることにある。愛読者だったという藤原道長はもちろん、白河上皇や本居宣長といった、その後の歴史的人物にも愛され、いろいろと論じられ...
収録日:2024/02/18
追加日:2024/10/21
対談 | 林望/ロバート キャンベル
日本政治史に残る大記録…5回目の挑戦で勝敗を分けたのは
『マカーマート』から読む政治家の運(2)リーダーの資質と時の運
政治家のように選挙で選ばれる人に毀誉褒貶はつきものだ。しかし、昨今の批判は若干的外れで、リーダーとしての資質を問う議論は少ない。「時の運」に支配される政治闘争においては、勝っても負けてもリーダーに必要なのは、仲...
収録日:2024/10/02
追加日:2024/10/19
石破新総裁誕生から考える政治家の運と『マカーマート』
『マカーマート』から読む政治家の運(1)中世アラブの知恵と現代の日本政治
人間とりわけ政治家にとって運がいいとはどういうことか。それを考える上で読むべき古典がある。それが中世アラブ文学の古典で教養人必読の書ともいえる、アル・ハリーリー作の『マカーマート』である。巧みなウィットと弁舌が...
収録日:2024/10/02
追加日:2024/10/19
謎多き紫式部の半生…教養深い「女房」の役割とその実像
日本語と英語で味わう『源氏物語』(1)紫式部の人物像と女房文学
日本を代表する古典文学『源氏物語』と、その著者である紫式部は、NHKの大河ドラマ『光る君へ』の放映をきっかけに注目が集まっている。紫式部の名前は誰もが知っているが、実はその半生や人となりには謎が多い。いったいどのよ...
収録日:2024/02/18
追加日:2024/10/14
対談 | 林望/ロバート キャンベル
ノイズを楽しむ――半身社会の「読書と教養のすすめ」
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(2)ノイズと半身社会の処方箋
「読書はノイズを含むもの」と語る三宅香帆氏。ノイズとは知りたいことの背景となる知識やその後ろにある歴史的文脈を教えてくれるものだが、仕事が忙しく余裕がなくなってくると、そうした周辺情報がまさにノイズだと感じてし...
収録日:2024/08/26
追加日:2024/10/13
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(三宅香帆著、集英社新書)では、日本人の本の読み方の変遷を追うとともに、明治以降、日本人が読んできた本を知ることで、日本の世相や文化史を克明に伝えている。本講義では2回にわ...
収録日:2024/08/26
追加日:2024/10/06
平安文学の危機と藤原定家による「漢字仮名交じり」の試み
文明語としての日本語の登場(6)鎌倉ルネサンス
公家から武家の世へと政権や人心が移る頃、乱れる日本語を通して公家文化の再復興につとめたのが、藤原定家である。釘貫氏が「鎌倉ルネサンス」と呼ぶ彼の活動は「定家仮名遣い」を産み、さらに写本のかたちで定着させていった...
収録日:2023/12/01
追加日:2024/04/12
日本人はいつから「漢字仮名交じり」を使うようになったか
文明語としての日本語の登場(5)仮名文字と文芸の成立
10世紀から11世紀に生まれた王朝文芸は、日本が世界に誇る文化遺産である。ここでは紫式部、清少納言、紀貫之などが筆をふるった文章が「平仮名」のみを用いた点に注目したい。当時の発音は仮名と結びついていたため、平仮名の...
収録日:2023/12/01
追加日:2024/04/05
万葉仮名から平仮名へ…「いろは歌」が示す日本語の変化
文明語としての日本語の登場(4)平安時代語と文芸の登場
平安時代に入ると、日本語の母音は八つから五つに減り、各種の音便ができる。単語は長く、発音はルーズになっていくのだ。文字の歴史は万葉仮名から平仮名と片仮名が生まれる画期的な時期を迎え、「いろは歌」が成立して手習い...
収録日:2023/12/01
追加日:2024/03/29
母音は8つ?『古事記』偽書説?…古代日本語をめぐる発見
文明語としての日本語の登場(3)奈良時代の日本語の特徴
カールグレンや有坂秀世の研究が明らかにした奈良時代語の特徴は大きく二つある。一つは「ハヒフヘホ」が「パピプペポ」と発音されていたこと。もう一つは母音が8種類あったことである。これらは明治期に「上代特殊仮名遣い」と...
収録日:2023/12/01
追加日:2024/03/22
古代日本語の発音はなぜわかるのか…ヒントは中国の唐詩
文明語としての日本語の登場(2)文字社会の成立―漢字と発音―
日本で奈良時代に文字が使われるようになったのは、律令国家の成立が社会的急務だったからである。戸籍や税務など、公文書は文字によって成り立ち、国家社会の秩序維持は文字に依拠している。では当時の発音はいかにすれば復元...
収録日:2023/12/01
追加日:2024/03/15
「和歌」と「宣命」でたどる奈良時代の日本語とその変遷
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
日本語の発音は、漢字到来以来一千年の歴史を通してどう変わってきたのか。また、なぜ日本語は「文明語」として世界に名だたる存在といえるのか。二つの疑問を解き明かす日本語学者として釘貫亨氏をお招きした。1回目は古代日本...
収録日:2023/12/01
追加日:2024/03/08
欲と情――「もののあはれ」を二分する本居宣長の議論とは
『源氏物語』ともののあはれ(5)「欲」のあはれと「情」のあはれ
「もののあはれ」の原理的探究を行った本居宣長。『源氏物語』の「あはれ」を理解するには、宣長の「あはれ」論への理解が欠かせない。『排蘆小船(あしわけのおぶね)』『石上私淑言』『源氏物語玉の小櫛』『紫文要領』といっ...
収録日:2023/08/04
追加日:2023/11/30
本居宣長の説く「もののあはれ」の意味…心の動きとため息
『源氏物語』ともののあはれ(4)「もののあはれ」とは何か
本居宣長は、歌も物語もその本質は「あはれ」というひと言で説明できると説いたわけだが、では「もののあはれ」とはいったいどのようなものなのか。また、なぜ宣長は「あはれ」に着目したのか。友人からの問いかけから始まった...
収録日:2023/08/04
追加日:2023/11/23
本居宣長が喝破!『源氏物語』と和歌は本質的に同じ
『源氏物語』ともののあはれ(3)『源氏物語』の本質と本居宣長の画期
光源氏の禁忌的な恋を描いた『源氏物語』。その物語を、日本の知識人はどのように理解し、批評してきたのだろうか。儒教や仏教の宗教的な教訓に導くことにその意義を見いだした言説が優勢な中で、「もののあはれ」、その深い感...
収録日:2023/08/04
追加日:2023/11/16
光源氏の恋の動機…母の喪失と満たされない思い
『源氏物語』ともののあはれ(2)光源氏の喪失感と許されぬ恋
当時からして多分にスキャンダラスな内容が綴られた『源氏物語』。主人公である光源氏は、なぜ禁忌とされる義母との恋に突き進んだのか。そこには幼くして母を亡くした光源氏の満たされない思いがあった。『源氏物語』の本文を...
収録日:2023/08/04
追加日:2023/11/09
『源氏物語』の謎…なぜ藤壺とのスキャンダルが話のコアに?
『源氏物語』ともののあはれ(1)雅な『源氏物語』の再発見
紫式部が著した『源氏物語』は、日本最大の古典文学として、長らく日本人に読み継がれてきた。しかし、その物語は、世に出た当初から高い評価を得ていたわけではなく、本居宣長をはじめ、さまざまな解釈をされてきた。そこで今...
収録日:2023/08/04
追加日:2023/11/02
志賀直哉、太宰治、小林秀雄…対立する『ハムレット』批評
深掘りシェイクスピア~謎の生涯と名作秘話(6)現代への影響と文化的財産
シェイクスピア作品は現在もさまざまな形式で翻訳され、また再演され続けて、その解釈や批評も更新されている。中でも『ハムレット』に関しては、ドイツ・ロマン主義を代表する文豪ゲーテをはじめ、A・W・フォン・シュレーゲル...
収録日:2023/04/12
追加日:2023/08/17
理屈抜きで感動!シェイクスピア・マジックのネタばらし
深掘りシェイクスピア~謎の生涯と名作秘話(5)時空間を操るシェイクスピア・マジック
あまりにも奔放でいい加減なのに感動を呼ぶ「シェイクスピア・マジック」とは何か。今なお再演され続ける数々の不朽の名作を生み出したシェイクスピアだが、具体的にどのような点に彼の作品の魅力、画期性があるのだろうか。近...
収録日:2023/04/12
追加日:2023/08/10
最も素晴らしい愚行は恋愛…シェイクスピアの喜劇世界
深掘りシェイクスピア~謎の生涯と名作秘話(4)シェイクスピアの喜劇世界と人間の愚かさ
「人間の最も素晴らしい愚行は恋愛」――シェイクスピアは、“人間の愚かさ”を嘆くのではなく、喜劇を通じてそれを寿いだ。それは、過ちを犯すことこそ人間の本質と考えた、当時の人文主義的な思想とも重なる。過ちの極致にあるの...
収録日:2023/04/12
追加日:2023/08/03
『リア王』と『マクベス』でシェイクスピアは何を描いたか
深掘りシェイクスピア~謎の生涯と名作秘話(3)『リア王』『マクベス』が描く人間の本質
シェイクスピアの四大悲劇のうち、『リア王』と『マクベス』を取り上げる今回。王座を退いた男の悲哀を描いた『リア王』、王になる野望の前で葛藤するさまを描いた『マクベス』。それぞれを読み解きながら、シェイクスピアが表...
収録日:2023/04/12
追加日:2023/07/27
『ハムレット』への誤解…理性と情熱の間で揺れる主人公
深掘りシェイクスピア~謎の生涯と名作秘話(2)『ハムレット』が描く「理性と情熱」
シェイクスピアの代表作といえば『ハムレット』である。ハムレットのことを「憂鬱な悩める貴公子」とイメージしている方が多いかもしれないが、そこには大きな誤解があると言う河合氏。冷たい理性と熱い情熱の対比こそこの作品...
収録日:2023/04/12
追加日:2023/07/20
シェイクスピアの謎…なぜ田舎者の青年が世界的劇作家に?
深掘りシェイクスピア~謎の生涯と名作秘話(1)シェイクスピアの謎
なぜ田舎者で無教養の青年シェイクスピアが世界的劇作家になれたのか。『ハムレット』や『リア王』など、数々の有名な戯曲を著したイギリスの劇作家シェイクスピアだが、実はその生涯には謎が多い。今回はまず、シェイクスピア...
収録日:2023/04/12
追加日:2023/07/13
『街道をゆく』で旅を続ける司馬遼太郎の夢
司馬遼太郎のビジョン~日本の姿とは?(6)ウラル・アルタイ語族と司馬史観
司馬遼太郎の大陸ロマンには「ウラル・アルタイ語族」という当時の学説があった。東欧や北欧にまで点在する「自由民的な精神の同胞」を信じ、中国的な定住志向に安住しがちな日本人に、「自由な飛躍」こそ日本の真の姿という夢...
収録日:2023/03/16
追加日:2023/06/25
徳川家康ではなく織田信長…司馬文学が描く「別の可能性」
司馬遼太郎のビジョン~日本の姿とは?(5)移動と破壊と自由の実現
『ペルシャの幻術師』に始まった司馬文学は、『草原の記』で終わる。大陸ロマンを奉じた司馬遼太郎にとって、馬賊への憧れから転じた「移動と破壊と自由の実現」という夢を日本の歴史小説で仮託させたのが「英雄が自由な創意で...
収録日:2023/03/16
追加日:2023/06/18
『ペルシャの幻術師』が出世作の司馬遼太郎、実は日本嫌い
司馬遼太郎のビジョン~日本の姿とは?(4)日本嫌いと大陸ロマン
「蒙古語」と呼ばれていたモンゴル語を専門にした学生時代の司馬遼太郎。当時、エリートコースにうまく乗れなかった挫折感もありモンゴル語を選んだ司馬だったが、彼が夢見たのは大陸で自由な旅をする「馬賊」になりたいという...
収録日:2023/03/16
追加日:2023/06/11
司馬遷を意識…“司馬遼太郎”の由来と海音寺潮五郎との縁
司馬遼太郎のビジョン~日本の姿とは?(3)司馬遼太郎ワールドと司馬遷
『国盗り物語』『関ケ原』『城塞』『竜馬がゆく』『燃えよ剣』など、司馬遼太郎は透徹した歴史家の目で読者にも俯瞰する視野を与える作品を次々と描き出していく。いわゆる英雄を一人ひとり描かれた物語を面白く読むうち、大き...
収録日:2023/03/16
追加日:2023/06/04
『竜馬がゆく』『坂の上の雲』明治百年を画期した名著秘話
司馬遼太郎のビジョン~日本の姿とは? (2)明治百年と司馬文学の歴史的意義
国民作家として書く作品のことごとくがブームを巻き起こしてきた司馬遼太郎。「明治百年」である1968(昭和43)年、『龍馬がゆく』が大河ドラマとして放映開始となったが、同年から『坂の上の雲』という小説も連載が開始されて...
収録日:2023/03/16
追加日:2023/05/28
生誕100年、司馬遼太郎、遠藤周作、池波正太郎の世界に迫る
司馬遼太郎のビジョン~日本の姿とは?(1)1923年生まれの3人の作家
司馬遼太郎生誕100年の今年(2023年)、小学生の頃から愛読者だった片山杜秀氏が司馬文学の魅力と限界、今日への影響を語り尽くす。まず同年生まれの作家として挙げられるのが遠藤周作と池波正太郎。戦前に教育を受け、20代前半...
収録日:2023/03/16
追加日:2023/05/21
大伴旅人の「梅花の宴」序文に込めた日本文化への想い
万葉集の秘密~日本文化と中国文化(5)「梅花宴序」と多文化社会
日本文化は中国的なものやグローバル文化とは切っても切り離せないが、一方で「われわれの文化を大切にしなければいけない」という想い、ローカルなものを生かそうという姿勢も持っていた。それは、『万葉集』巻5、元号「令和」...
収録日:2022/09/13
追加日:2023/04/11
宮沢賢治の浄土教的世界観の根底にあった「隠し念仏」とは
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む(6)キリスト教と隠し念仏
『銀河鉄道の夜』にはキリスト教的モチーフが多く登場する。この物語へのキリスト教の影響、そして宮沢賢治とキリスト教の関係はどうなのか。ファンならずとも気になるところである。
本講義収録後の質疑応答コーナーに、宮沢...
収録日:2022/07/28
追加日:2023/04/10
「ほんとうの神さま」の謎…宮沢賢治が込めたメッセージ
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む(5)「ほんとうの神さま」論議
銀河鉄道の中で描かれる「ほんとうの神さま」論議。はじめ、ジョバンニと女の子が語りあい、やがてクリスチャンらしき若者の「神さま」とジョバンニが考える「ほんとうのたった一人の神さま」との差違が語られる。はたして、「...
収録日:2022/07/28
追加日:2023/04/03
「ほんとうの幸福をさがす」ジョバンニの決意と青の世界
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む(4)「ほんとうの幸福」
ブルカニロ博士がジョバンニに見せるふしぎな世界は、仏教に基づく人間意識の変遷を表すものだと鎌田氏は言う。色彩や光が与える効果も相まって、非常に謎めいたメッセージが届けられるが、そこには仏教的な世界観による宮沢賢...
収録日:2022/07/28
追加日:2023/03/27
カムパネルラは消えたのか…ブルカニロ博士との対話の意味
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む(3)ブルカニロ博士と法華経の世界観
「永久の未完成これ完成である」という言葉通り、宮沢賢治は自作の推敲を繰り返した。『銀河鉄道の夜』では4次にわたる大幅な加筆訂正削除がなされている。決定稿となった第4次稿で消え去った謎の人物に、「ブルカニロ博士」が...
収録日:2022/07/28
追加日:2023/03/20
銀河鉄道の旅をする少年ジョバンニの孤独が意味するもの
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む(2)ジョバンニの孤独
『銀河鉄道の夜』の深い魅力は、少年ジョバンニの孤独な魂の旅にある。それは、ただの独りぼっちではなく、ばらばらにちぎられた孤独である。宮沢賢治は独りであることにどのような意味を託したのだろうか。今回の講義では「ジ...
収録日:2022/07/28
追加日:2023/03/13
未完の長編『銀河鉄道の夜』の魅力と宮沢賢治の思想に迫る
宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を読む(1)あらすじと賢治の原稿
宮沢賢治が遺した未完の長編『銀河鉄道の夜』は、多くの人のこころを揺さぶりつづけてきた。その魅力のありどころ、少年少女期の読書では分からなかった背景や宮沢賢治の思想について、『宮沢賢治「銀河鉄道の夜」精読』(岩波...
収録日:2022/07/28
追加日:2023/03/06
『源氏物語』紫上の死…紫式部が描くもっとも幸せな最期
『源氏物語』を味わう(8)最愛の人・紫上に対する鎮魂歌
光源氏の正室・女三の宮は、頭中将の息子・柏木とのあいだに不義の子を産むことになる。源氏は女三の宮を女として顧みることなく、ここでも紫上は最終的に救われる。やがて死を迎える紫上だが、何の苦しみもなく、源氏をはじめ...
収録日:2022/02/22
追加日:2022/08/08
情動に訴えるのではなく、思想性と理性と教養を回復しよう
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(9)ポピュリズムに陥らないために
近衛文麿のポピュリズム政治が登場した背景には政党政治の弱体化があった。それは石原慎太郎が登場し人気を得た時代状況とも通じるものがある。そして現代だが、どの政党も思想性を失い、玉虫色の政策を掲げるばかりだと感じら...
収録日:2022/03/18
追加日:2022/08/03
光源氏の最愛の人・紫上、幸不幸が反転する激動の後半生
『源氏物語』を味わう(7)光源氏の裏切りと紫上の救済
光源氏の最愛の人だった紫上の一生は、幸福と不幸があざなえる縄のようにやって来るものだった。10歳で源氏のもとへ連れてこられたが、手厚くかわいがられて育った。源氏が明石の君とのあいだに子どもをなしたのは紫上にとって...
収録日:2022/02/22
追加日:2022/08/01
日中戦争、大政翼賛会…近衛に学ぶポピュリズムの自縄自縛
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(8)大衆の人気に頼る政治家の失敗
近衛文麿は大政翼賛会を作りトップダウンによる強力政治を目指したが、政治の世界に仲間が多くいたわけではなく、実は大衆の情念によって生まれた政治家でしかなかった。そのため、自分の言葉に縛られ、自滅へと追いやられるこ...
収録日:2022/03/18
追加日:2022/07/27
「夕顔の夢よ、もう一度」ユーモア物語「末摘花」の面白さ
『源氏物語』を味わう(6)ユーモア物語としての「末摘花」
『源氏物語』には「もののあはれ」を感じる場面だけでなく、爆笑また爆笑といった場面もあちこちに出てくる。常陸宮の姫君である「末摘花」の話もその一つである。ボロ屋敷に忍び込み、末摘花の仲を結んだ光源氏が翌朝、彼女の...
収録日:2022/02/22
追加日:2022/07/25
『「NO」と言える日本』と「英米本位の平和主義を排す」と
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(7)石原慎太郎と近衛文麿の政治手法
政治家としての石原慎太郎を見る際に比較したいのが近衛文麿である。近衛は第一次大戦後の平和に向けた国際情勢の中で、日本がつねに英米の劣後に置かれることを危惧し続けた。石原慎太郎もまた、第二次大戦後に日本がつねにア...
収録日:2022/03/18
追加日:2022/07/20
『源氏物語』の名脇役・明石の入道の紅涙を絞る名場面とは
『源氏物語』を味わう(5)脇役の存在と「もののあはれ」
いい映画には名脇役の存在が欠かせないように、『源氏物語』にも味のある脇役がいろいろと出てくる。その一人が明石の入道だ。地方官だが、いずれ都で大きな権力を得たいと思っている彼は、そのために妻も娘も孫も都にいる光源...
収録日:2022/02/22
追加日:2022/07/18
「石原と小田実って全然同じ人間だよ」…保守とは何か?
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(6)保守主義かファシズムか
一般的には石原慎太郎は保守だと思われている。だがさまざまな著作や発言を見ると、決してそうとはいえないのではないか。今回は三島由紀夫の天皇観と対比しながら、石原慎太郎の天皇観や、なぜ石原慎太郎が保守と見えるのか、...
収録日:2022/03/18
追加日:2022/07/13
「実事」とすら書かない、『源氏物語』に秘めた色恋の話
『源氏物語』を味わう(4)色恋とエロスの物語
『源氏物語』には、男と女のエロティックな色恋の場面があちこちに出てくる。そうした行為を昔の人は「実事」と表現したが、『源氏物語』にはそうした具体的なことすら書かれていない。男が女の閨に入れば、それは当たり前のこ...
収録日:2022/02/22
追加日:2022/07/11
慎太郎がスポーツや五輪を強調した理由…大衆の欲望の解放
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(5)セクト化する三島と大衆動員する石原
三島由紀夫と石原慎太郎は同じ「保守」という括りにされることが多いが、2人は大きく異なっている。三島はつねに自身の美学・観念が先行していたのに対し、石原は現実の生活者・大衆の欲望を感じ取って表現した。さらに政治に対...
収録日:2022/03/18
追加日:2022/07/06
美しい形容詞の使い分け…『源氏物語』の表現を味わう
『源氏物語』を味わう(3)形容詞からの楽しみ方
『源氏物語』はストーリーだけでなく、文章にも微細な表現の妙がある。その一つが形容詞の使い方で、人物によって形容詞を使い分けている。さらに同じ光源氏でも、批判的な意味を込めたいときには使う形容詞を変えているのだ。...
収録日:2022/02/22
追加日:2022/07/04
『潮騒』と『太陽の季節』…美への憧憬vs煽情的な太陽族
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(4)三島と石原の芸術性は対極的
三島由紀夫と石原慎太郎はほぼ同時代に活躍した作家であるといえる。しかし、二人の作品を見ると、似たモティーフを用いつつも、その扱い方が全く異なることが見て取れる。交流があり影響し合った二人が、それぞれ何に重きを置...
収録日:2022/03/18
追加日:2022/06/29
「千古不易の恋」を描いた光源氏と女性たちの『源氏物語』
『源氏物語』を味わう(2)光源氏をめぐる女性たちの物語
『源氏物語』の本質は、光源氏をめぐる女性たちの物語である。登場して間もなく物の怪に殺される夕顔、ボロボロの屋敷に住んでいる末摘花、最後まで一番好きだった紫上、あわよくばものにしようとしたライバルの娘・玉鬘など、...
収録日:2022/02/22
追加日:2022/06/27
価値紊乱者たれ…「生命的な実感」の重視と旧世代への反逆
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(3)価値紊乱者・石原慎太郎と戦後派の時代
『太陽の季節』で芥川賞作家となった石原慎太郎が好んで使用した言葉に「価値紊乱」がある。これは単に価値を乱す(壊す)だけでなく、その先に新しい価値を創造するというもの。石原慎太郎の小説や政治に見られる、当時のオー...
収録日:2022/03/18
追加日:2022/06/22
源氏物語の基礎知識…人物関係図でみる物語の流れと読み方
『源氏物語』を味わう(1)『源氏物語』を読むための基礎知識
『源氏物語』は光源氏と源氏の息子たちを中心に描いた70~80年におよぶ長い物語である。非常にボリュームがある上、原文は難解で大半の人は読むのが困難だ。それでも現代までこの物語が残ったのは、読めた人たちが面白いと思い...
収録日:2022/02/22
追加日:2022/06/20
学生闘争の街頭封鎖に知事の力で対峙せよ…国家革新の論理
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(2)都知事・石原慎太郎への時代的経緯
石原慎太郎氏の著書『慎太郎の政治調書』を読むと、国会議員に初当選した当初から都知事を視野に入れていたことが窺える。その理由は、学生運動が盛んだった当時の時代状況も大きく関係している。国会議員ではなく都知事として...
収録日:2022/03/18
追加日:2022/06/15
都知事、非核三原則…1970年・30代の慎太郎が書いていたこと
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(1)政治家・石原慎太郎の源流と核の問題
石原慎太郎と、三島由紀夫・近衛文麿を対比させると、日本の芸術のあり方から、政治問題の核心までが、見事なまでに浮かび上がる。第1話で紹介するのは、1970年に発刊された石原慎太郎の『慎太郎の政治調書』という著書である。...
収録日:2022/03/18
追加日:2022/06/08
アリストテレス、ニーチェ…哲学者によるギリシア悲劇批評
ギリシア悲劇への誘い(7)ギリシア悲劇を論じた歴史
紀元前5世紀に隆盛したギリシア悲劇は後世に大きな影響を与え、ギリシア喜劇作家のアリストファネスは、『蛙』という作品で2人の偉大なる悲劇詩人の死を嘆いた。その後、哲学者たちによって作品が理論的に批評され、そのエッセ...
収録日:2021/03/30
追加日:2022/03/08
ギリシア悲劇における合唱隊“コロス”の役割と意味
ギリシア悲劇への誘い(6)コロスの歌とその役割
ニーチェも指摘するように、ギリシア悲劇は合唱隊である“コロス”の歌から始まったとされている。『オイディプス王』に登場するコロスは町の長老たちという設定で、その構成においてはストーリーを展開させ、さらには観客を代弁...
収録日:2021/03/30
追加日:2022/03/01
『オイディプス王』にみる「悲劇的アイロニー」の面白さ
ギリシア悲劇への誘い(5)悲劇的アイロニーと反実仮想
「トラジック・アイロニー(悲劇的アイロニー)」の構造は、とりわけ『オイディプス王』において完璧に表れている。そのアイロニーの構造は劇中人物が知らないことを観客がすでに知っているということだが、盲目の預言者テイレ...
収録日:2021/03/30
追加日:2022/02/22
西洋文学の最高傑作ソフォクレス『オイディプス王』の魅力
ギリシア悲劇への誘い(4)『オイディプス王』を読む
今なお西洋文学の最高傑作と名高いソフォクレスの『オイディプス王』。古くから伝わるオイディプス伝説をもとに時代的側面を反映させながら、主人公のオイディプスが否応なく巻き込まれる運命と、それに対峙する人間の苦悩を描...
収録日:2021/03/30
追加日:2022/02/15
プラトン対アリストテレス、模倣の是非をめぐる悲劇論争
ギリシア悲劇への誘い(3)悲劇をめぐる哲学論争
ギリシア悲劇は文学の領域にとどまらず、哲学にも大きな影響を与えた。プラトンは「模倣(ミメーシス)」は本物から離れているとして悲劇を否定したのに対して、アリストテレスは逆にその概念を用いて悲劇を肯定した。師弟関係...
収録日:2021/03/30
追加日:2022/02/08
ギリシア悲劇と喜劇の違い…ギリシア悲劇の3つの特徴
ギリシア悲劇への誘い(2)ギリシア悲劇とは何か
ギリシア悲劇は、現代の演劇やミュージカルと大きく異なる形式を持っているだけではなく、同時代に盛んになったギリシア喜劇とも、作劇上の違いがある。ギリシア悲劇に見られる特徴から、当時のギリシア社会の一端を垣間見るこ...
収録日:2021/03/30
追加日:2022/02/01
二千年の時を超えて読めるギリシア「三大悲劇詩人」の作品
ギリシア悲劇への誘い(1)ギリシア悲劇を観る
「三大悲劇詩人」といわれるアイスキュロス、ソフォクレス、エウリピデス。彼らは紀元前5世紀のアテナイで活躍し、ギリシア悲劇を完成させた。それぞれの作品は現代まで受け継がれ、さまざまな言語に翻訳されて上演、映画化され...
収録日:2021/03/30
追加日:2022/01/25
楠木正成や菅原道真の末路から分かる、根付かない能力主義
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(6)後世に与えた影響
能力主義によって台頭してきた楠木正成だが、彼も結局は討ち死にしてしまった。しかし、この時代に後醍醐天皇がめざした「天皇と民が直接結びつく」という考えが、のちの明治以降の日本の原型となっていく。(全6話中第6話)
※...
収録日:2020/08/26
追加日:2020/12/06
後醍醐天皇が目を付けたのは楠木正成の交易ネットワーク
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(5)楠木正成の意外な人物像
『孟子』の思想は鎌倉時代に生きる人々に強い影響を与え、『太平記』を通して幕末の志士にまで影響を及ぼすことになった。その思想の影響を受けた一人、楠木正成はいったいどのような人物だったのか。じつは彼は、流通経済や鉱...
収録日:2020/08/26
追加日:2020/11/29
在野草莽の楠木正成と後醍醐天皇の関係が導く倒幕の論理
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(4)『孟子』の思想が与えた影響
後醍醐天皇の鎮魂の物語と源平交代史が折り重なった『太平記』。さらには、物語に組み込まれた『孟子』の思想が、この書を濃密に色づけていくことになる。江戸時代、はては幕末から明治にかけても大きく影響することになった『...
収録日:2020/08/26
追加日:2020/11/22
建武の新政と千種忠顕、文観、阿野廉子らは本当に悪か?
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(3)2つの評価が交差する「建武の新政」
元の記述に足利政権が改訂の筆を入れたために、複雑な物語となった『太平記』。具体的に、どのような人物についてどのような描き方をされているのだろうか。それを読み取ることで、さらに『太平記』の物語の特長が浮かび上がり...
収録日:2020/08/26
追加日:2020/11/15
後醍醐天皇の鎮魂物語だった『太平記』改訂の秘密
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(2)『太平記』の複雑な成立過程
人物の評価が一面的である『平家物語』に比べ、登場する人物のさまざまな側面を描き出している『太平記』。そのような特徴を持つに至った大きな原因は、その複雑な成立過程にあった――。いかにして『太平記』は出来上がっていっ...
収録日:2020/08/26
追加日:2020/11/08
『太平記』は乱世における人間の処し方が学べる古典文学
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(1)なぜ今『太平記』を読むべきなのか
『太平記』の名は多くの人が知るところだろう。だが、『太平記』がどのような書物であるかを詳しく知っている人はそう多くない。実は『太平記』は、日本の古典文学の中でも特異な性質を持ち、後の日本に実に大きな影響を与えた...
収録日:2020/08/26
追加日:2020/11/01
人生の苦難を経たオデュッセウスと妻の再会に込められた問い
「ホメロス叙事詩」を読むために(6)帰郷する人間ーその2
オデュッセウスとペネロペイアの再会は、英雄よりも妻の知略が目立つ場面に仕立てられている。神々や人々に騙され、裏切られてきたペネロペイアは、そう簡単に目の前の男を夫と認めるわけにはいかなかったからだ。妻は夫と二人...
収録日:2020/07/03
追加日:2020/10/25
行方不明だったオデュッセウスの帰郷に待ち受けるドラマとは
「ホメロス叙事詩」を読むために(6)帰郷する人間ーその1
トロイア戦争とその後の漂流を合わせて20年間も家を後にしていた英雄オデュッセウス。その帰郷は「帰ってきたぞ」「お帰りなさい」と単純には進まない。長年の領主不在の間に、その地位と妻を狙う求婚者たちが彼の屋敷に住み込...
収録日:2020/07/03
追加日:2020/10/18
コロナ禍で注目…ダニエル・デフォーの『ペストの記憶』
『ロビンソン・クルーソー』とは何か(7)『ペストの記憶』とデフォーの文学
最終回では、デフォーの『ペストの記憶』を紹介していく。カミュの『ペスト』のような首尾整った名作ではないが、それだけにこの作品には、虚実の境を往復しつつ読者に訴えるものがあった。それはコロナ禍にさらされたわれわれ...
収録日:2020/07/22
追加日:2020/10/13
ホメロスの『オデュッセイア』が描く苦難と誘惑の冒険譚
「ホメロス叙事詩」を読むために(5)オデュッセウスの冒険
ホメロスの二つ目の叙事詩『オデュッセイア』は、トロイア戦争終結後、10年間さまよい続ける英雄オデュッセウスの旅を描いている。前半では怪物や魔女の誘惑と闘争が語られ、後半は故郷に帰ってからの悶着が復讐劇をなす。喜劇...
収録日:2020/07/03
追加日:2020/10/11
デフォーの人生に影響を与えたカルヴァン派の「予定説」
『ロビンソン・クルーソー』とは何か(6)デフォーの人生
『ロビンソン・クルーソー』の著者ダニエル・デフォーはどんな人生を歩んできたのか。重要なポイントは、デフォーの家族がイングランドで多数派の信奉する「国教会」という宗派ではなく、「長老派教会」という教会の信者だった...
収録日:2020/07/22
追加日:2020/10/06
『イリアス』の主人公アキレウスの怒りは何を意味するのか
「ホメロス叙事詩」を読むために(4)『イリアス』の世界ーその2
『イリアス』の物語では、人間同士と同様に神々も戦っている。実際に手出しをすることはないが、大事な場面で贔屓の側につき、相手を騙しにかかるのだ。混戦状態に陥った持久戦は、アキレウスとヘクトルという両英雄の戦いで決...
収録日:2020/07/03
追加日:2020/10/04
世界文学の歴史に大きな影響を与えた「デフォーのついた嘘」
『ロビンソン・クルーソー』とは何か(5)ロビンソンのリアリズム
『ロビンソン・クルーソー』の著者ダニエル・デフォーが求めたのは整合性や一貫性でなく、人間や世界の矛盾だった。そこに新時代のリアルが生まれ、引き継がれていったわけだが、なかでも論争を呼んだのが「足跡」をめぐる回収...
収録日:2020/07/22
追加日:2020/09/29
叙事詩イリアス…トロイア戦争最後の50日間を描いた傑作
「ホメロス叙事詩」を読むために(4)『イリアス』の世界ーその1
戦争叙事詩『イリアス』の魅力は、ドラマチックな攻防を描く点だけではない。エンターテインメントでもあれば学びでもあり、人類の知恵が凝縮された作品である。その構成の妙は、10年間の長い戦争のなか、英雄アキレウスが「怒...
収録日:2020/07/03
追加日:2020/09/27
改作との比較から見えた『ロビンソン・クルーソー』の本質
『ロビンソン・クルーソー』とは何か(4)ロビンソンの近代性
『ロビンソン・クルーソー』が筋で読ませる小説ではないとすれば、果たしてロビンソン像は一貫していただろうか。ここでは「難破船から文明の利器を持ち帰る」シーンを題材に、矛盾に満ちた主人公の姿と、それを矯正しようとし...
収録日:2020/07/22
追加日:2020/09/22
ホメロスの叙事詩は1人が書いた?…ホメロス問題の真相
「ホメロス叙事詩」を読むために(3)ホメロス問題と詩の魅力
2700年間伝えられてきたホメロスの叙事詩には、さまざまな謎が潜んでいる。その一つは、『イリアス』の1万5千行、『オデュッセイア』の1万2千行という膨大な詩を、果たして一人の人間が書き、暗記して朗唱したのかという「ホメ...
収録日:2020/07/03
追加日:2020/09/20
『ロビンソン・クルーソー』の面白さは人物に比重があるのか
『ロビンソン・クルーソー』とは何か(3)面白いフィクションの条件
一般的にフィクションを面白くするための条件として、「筋」と「人物造形」という二つの要素が重要だといわれる。読者を引きつけ、物語の続きを聞きたくさせるのは理にかなった筋であり、魅力的・個性的な人物なのだ。その条件...
収録日:2020/07/22
追加日:2020/09/15
『イリアス』の背景にあるトロイア戦争発端の物語とは
「ホメロス叙事詩」を読むために(2)神々と人間ーその2
『イリアス』の背景には、「黄金のりんご」と「パリスの裁定」という有名な物語がある。結婚式に呼ばれなかった女神がイタズラのために「最も美しい女神に」と書いた黄金のりんごを宴の席に落とし、3人の女神が相争うところに裁...
収録日:2020/07/03
追加日:2020/09/13
『ロビンソン・クルーソー』はなぜ300年間読まれてきたのか
『ロビンソン・クルーソー』とは何か(2)言行不一致の人
18世紀に出版された『ロビンソン・クルーソー』が、流れる時に埋もれず300年間読み続けられてきたのは、なぜだろうか。デフォー自身は、小説をどう思い、人間や人生をどう観察する人だったのか。その秘密を解く鍵として、「言行...
収録日:2020/07/22
追加日:2020/09/08
ギリシア神話の基礎に不死の神と人間の死という対比がある
「ホメロス叙事詩」を読むために(2)神々と人間ーその1
ホメロスの世界を学ぶには、彼らが信仰し礼拝していたギリシアの神々を知ることが必要だ。ゼウスをはじめとする神々は人々にとってリアルな存在だったが、彼らが「不死」の存在である点は人間との大きな違いとして明記したい。...
収録日:2020/07/03
追加日:2020/09/06
なぜ『ロビンソン・クルーソー』は“最初の近代小説”なのか
『ロビンソン・クルーソー』とは何か(1)読み続けられる18世紀の小説
『ロビンソン・クルーソー』といえば、無人島。知恵と工夫と冒険心あふれるヒーローとして、だれもが認識している。しかし、実際にその小説を読んだ人は意外に少ないのではないだろうか。この小説が出版された時代背景や著者の...
収録日:2020/07/22
追加日:2020/09/01
2700年前のホメロスの叙事詩が感動を与え続ける理由
「ホメロス叙事詩」を読むために(1)ホメロスを読む
「ホメロス叙事詩」といえば、西洋古典中の古典。あまりの名高さに本棚にあっても「積ん読」してしまっている方も多いのではないだろうか。このシリーズ講義では、さまざまな勘どころ・読みどころを押さえ、日本語で読む『イリ...
収録日:2020/07/03
追加日:2020/08/30
本村凌二が語る「競馬」の楽しみ方とおすすめの本
私のおすすめ本~馬と競馬をめぐる意外な側面~
ローマ史の研究者として有名な本村凌二氏には、『馬の世界史』『競馬の世界史』という著書がある。馬と競馬、その歴史と人をめぐる意外な側面を、ご案内いただこう。
収録日:2018/08/29
追加日:2019/02/12
日本人は想像力がない?小説家の役割は「物申す」こと
真山仁の小説論(3)小説家の役割
「想像力」は小説や映画を楽しむためだけではなく、将来世代の日本社会のためにも求められている。そうした中で小説家が担うべき役割とはいかなるものなのか。小説家・真山仁氏が自身の取り組みを踏まえて論じる。(全3話中第3話)
収録日:2018/04/10
追加日:2018/07/19
小説は"人はなぜ生きるのか"を問い続けるヒント
真山仁の小説論(2)不条理とどう向き合うか
小説の面白さは不条理とどう向き合うかについて想像力を喚起させるところにあると、小説家・真山仁氏は説く。重要なのは物語に善悪をつけることではなく、想像力を喚起させることだ。小説家の腕もそこにかかっている。(全3話中...
収録日:2018/04/10
追加日:2018/07/16
読み手の琴線に触れる技術が失われてきている
真山仁の小説論(1)想像力と技術の不足
活字離れが叫ばれる昨今の日本だが、書き手側にも問題があると、『ハゲタカ』シリーズ(2018年7月19日よりテレビ朝日系列でドラマ化)の著者である小説家・真山仁氏は語る。それは、いったいどういうことなのか。真山氏が、「想...
収録日:2018/04/10
追加日:2018/07/12
社会派でありながら娯楽映画に仕立てた裕次郎映画
歴史家が語る『裕次郎』(4)『太陽への脱出』と「骨」
古代ローマ史を専門とする早稲田大学国際教養学部特任教授の本村凌二氏が著書『裕次郎』について解説するシリーズレクチャー。最終回の今回取り上げる『太陽への脱出』は、単行本では「必死に耐えながらも傷ついてゆく男の宿命...
収録日:2017/08/23
追加日:2017/09/29
裕次郎映画に描かれる時代背景がリアルな共感を生んだ
歴史家が語る『裕次郎』(3)裕次郎映画とその時代背景
「古代ローマ史の泰斗が『同時代史』を描いた」と話題になっているのが、『裕次郎』(講談社)。2017年7月に発刊された早稲田大学国際教養学部特任教授の本村凌二氏の近刊である。今回は、著作で取り上げた10本の映画から、時代...
収録日:2017/08/23
追加日:2017/09/28
歴史上の人物にもひけをとらない魅力を持っていた裕次郎
歴史家が語る『裕次郎』(2)同時代史として書いた本
西洋古代史、ローマ史を専門とする早稲田大学国際教養学部特任教授・本村凌二氏が、2017年7月に上梓した自著『裕次郎』を通して、石原裕次郎の魅力を語る。その語りには、同時代を生きた裕次郎を、歴史家として取り上げてみたい...
収録日:2017/08/23
追加日:2017/09/27
昭和30年代に現れた国民的ヒーロー石原裕次郎
歴史家が語る『裕次郎』(1)原点は「嵐を呼ぶ男」
早稲田大学国際教養学部特任教授で西洋古代史、ローマ史を専門とする本村凌二氏が、昭和の大スター「石原裕次郎」を取り上げる。10歳の時に観た映画「嵐を呼ぶ男」をきっかけに、60年間ずっと裕次郎のファンであり続けた本村氏...
収録日:2017/08/23
追加日:2017/09/26
『聖書』創世記の一文に記された結婚の意味とは
末井昭、「結婚」を語る(2)『聖書』に学ぶ夫婦のかたち
結婚の全ての意味が『聖書』の一文に記されていると、編集者で作家の末井昭氏は語る。「人は、その父母を離れ、妻と結び合い一体となるのである」という一文がそれだ。「人」とは誰か。「父母を離れ」にはどんな意味があるのか...
収録日:2017/07/18
追加日:2017/08/14
末井昭が書いたハウツー本ではない「結婚」の本
末井昭、「結婚」を語る(1)結婚の意味
衝撃作『自殺』から3年半、編集者で作家の末井昭氏が新刊を発表した。新たに挑んだテーマは「結婚」だ。嘘もごまかしもなく正直に生きる恋人と出会って、結婚について真剣に考え始めた末井氏。執筆にあたって「読んだら絶対結婚...
収録日:2017/07/18
追加日:2017/08/08
司馬遷が李陵を弁護して受けた宮刑の屈辱
『歴史とは何か』を語る(12)李広と李陵と司馬遷の悲劇
司馬遷が宮刑を受け、男性機能を奪われたのはなぜか、ご存じだろうか。李広と李陵、そして司馬遷の悲劇から、歴史学者・山内昌之氏が歴史的世界を眺める。『歴史とは何か』を語るシリーズ・第12回。
収録日:2014/12/03
追加日:2015/08/17
伯夷、叔斉、顔回の悲劇と、盗蹠の大往生ー歴史の不条理
『歴史とは何か』を語る(11)司馬遷の歴史叙述と世界観
「われいずくにか適帰せん。ああ徂かん、命の衰えたるかな」。かの有名な一節で知られる古代中国の逸話を手掛かりに、善人が報われるとは限らない歴史の不条理に対する司馬遷の、そして歴史学者・山内昌之氏の義憤が語られる。...
収録日:2014/12/03
追加日:2015/08/13
司馬遷の「天道是か非か」と「歴史とは何か」
『歴史とは何か』を語る(10)天道、是か非か
古今東西の歴史には、悪ながら栄えた人物も、善にして非業の人物も、無数にいる。『史記』『旧約聖書』『太平記』にそうした例を見つつ、司馬遷が発した永遠の問い「天道、是か非か」をめぐって、歴史の不条理と、司馬遷の歴史...
収録日:2014/12/03
追加日:2015/08/10
司馬遷「史記」は孔子「春秋」の精神を継いだ書
『歴史とは何か』を語る(9)『春秋』と『史記』の応報
「単純な善悪によって人々が成功するかどうか決まらない」ことを、世界で初めて教えてくれたのは司馬遷だという。それはなぜか。歴史学者・山内昌之氏が想いを込めて語る『歴史とは何か』を語るシリーズ・第9回。
収録日:2014/11/26
追加日:2015/08/06
宇宙に宣言をすれば必要な答えがやって来る
守護神(目に見えないもの)の働きを認める―宇宙につながる方法
「宇宙が全ての大本だとすると、その影響下に守護神、守護霊、ご先祖様、天使などの分かりやすい形で、背後で守ってくれているものがある」と、作家・浅見帆帆子氏は語る。浅見氏のいう「宇宙につながる感覚」とはいかなるもの...
収録日:2015/01/27
追加日:2015/04/18
トラブルやハプニングも必然かつベストな出来事
「起こることはすべてベスト」の理由
夢を実現しようとするとき、トラブルが起こった──そんな事態さえ、ポジティブに捉えることが可能なら、人生は随分と生きやすい。そして、「今」の意識が「未来」をつくる。起こることを全てプラスに転じ、「運のいい人」になる...
収録日:2015/01/27
追加日:2015/04/17
自分の本音の通りに生きることは、実はとても楽なこと
感じる力~直感で夢を実現する(3)「本音」は未来からの情報――日常生活で実験を!
直感力を磨くと、求めている答えを「夢が教えてくれるようになる」という。なぜそうなるのか。直感の実践はあなたに何をもたらすのか。作家・浅見帆帆子氏が語る。
収録日:2015/01/27
追加日:2015/03/15
潜在意識から出たワクワクする夢に「引き寄せの法則」が働く
感じる力~直感で夢を実現する(2)直感の育て方
「ワクワクできることだけがうまくいく」という。それはなぜなのか?そして、直感力を磨く方法である「宣言」と「お試し」とは?作家・浅見帆帆子氏が独自の成功メソッドを伸びやかに語る。
収録日:2015/01/27
追加日:2015/03/14
自分の「好き」や「ワクワク」を大切する
感じる力~直感で夢を実現する(1)すべてを直感で選ぶ
人生の全てに当てはまる「うまくいくコツ」とは?「直感」に着目して、夢を実現していく方法にたどり着いた作家・浅見帆帆子氏が語る成功のメソッド。
収録日:2015/01/27
追加日:2015/03/13
天皇の系譜が直系で続かなかった理由とは?
神皇正統記と日本人のアイデンティティ(3)政治の成功に必要なこと
政治には何が必要か。そして、政治の成功に必要な要素とは何か。『神皇正統記』全編を貫く北畠親房の志や、王朝交替思想にも触れながら、彼が本書において密かに語ろうとしたこととは何かに迫る。シリーズ「日本の歴史書に学ぶ...
収録日:2014/03/27
追加日:2014/10/06
第2次世界大戦での天皇の位置について知ることができる
昭和天皇実録~公開の歴史的意義
一般公開された『昭和天皇実録』とはいかなる書物なのか?10世紀以降に一時途絶えることもありながら、天皇の最初の祖とされる神武天皇から脈々と受け継がれてきたこの国史は、昭和天皇の生涯だけでなく、激動の時代「昭和史...
収録日:2014/09/03
追加日:2014/09/13
『神皇正統記』の内容とは…3つの重要な要素
神皇正統記と日本人のアイデンティティ(2)正直・慈悲・決断
『神皇正統記』の歴史観・世界観を支えるのは「正直・慈悲・決断」の三要素である。この三つに照らした本書における北条泰時への評価や、承久の乱に対する解釈に触れつつ、建武の新政の挫折の原因について、北畠親房がいかなる...
収録日:2014/03/27
追加日:2014/08/28
「神皇正統記」は日本人のアイデンティティを問う書物
神皇正統記と日本人のアイデンティティ(1)日本国とは何か
中世の代表的な史論書として、後世の日本人の歴史観にも大きな影響を与えたと言われる『神皇正統記』。作者の北畠親房や本書の特徴、執筆の背景等について、山内昌之氏が解説する。シリーズ「日本の歴史書に学ぶ」第2弾(1/...
収録日:2014/03/27
追加日:2014/08/21
江戸城を造ったのは太田道灌? それとも大工と左官?
失われている「保守の知恵」~友好の井戸を掘った人たち(6)-2 城山三郎
城山三郎・藤沢周平にあって司馬遼太郎にないものとは何か。また、剛柔あわせもつ城山三郎と渡辺淳一との意外な関係とは。近しく親交のあった佐高信が語る城山三郎の人と作品。(後編)
収録日:2014/02/07
追加日:2014/07/07
「護憲」と「勲章拒否」という二つの原点
失われている「保守の知恵」~友好の井戸を掘った人たち(6)-1 城山三郎
青年期に戦争という国家による裏切りを体験した作家・城山三郎。国家と社会と大義への復讐戦として、城山が生涯かけて貫いた信念とは? 盟友の佐高信が語る。(前編)
収録日:2014/02/07
追加日:2014/07/07
源頼朝の死因?北条時頼の廻国?…『吾妻鏡』の謎と魅力
吾妻鏡とリーダーの要諦(4)事実と虚構のはざまから
「いざ鎌倉」で知られる謡曲『鉢木』の佐野源左衛門と、水戸黄門の諸国漫遊はルーツを同じくした? 理想化された「武家の世界」伝承が、事実と虚構のはざまを一人歩きするにいたるプロセスを、山内昌之氏が追いかける。シリー...
収録日:2014/02/26
追加日:2014/04/24
「吾妻鏡」が徳川家康に与えた影響とは?
吾妻鏡とリーダーの要諦(3)徳川家康への影響と効果
『吾妻鏡』は、後世にいろいろな効果を及ぼしていく。第一に数えられるのは徳川家康への影響だ。将軍頼朝を補佐した「御門葉」は、徳川では「御三家」に姿を変え、官職では「二人制」の知恵が引き継がれる。シリーズ「日本の歴...
収録日:2014/02/26
追加日:2014/04/24
『吾妻鏡』は鎌倉幕府の何を描くための歴史書だったか?
吾妻鏡とリーダーの要諦(2)その執筆の意図を探る
『吾妻鏡』は鎌倉幕府の正史ではなく、編年体で書かれた将軍年代記であり、「源氏に厳しく北条に甘い」という特徴を持つ。そこに込められた書き手の意図と、必然とも言える『吾妻鏡』終止符の意味を解き明かす。シリーズ「日本...
収録日:2014/02/26
追加日:2014/04/17
吾妻鏡―中世を掌握した鎌倉武家政権の一大年代記
吾妻鏡とリーダーの要諦(1)魅力と謎に満ちた書物
鎌倉時代の武家政権の歴史を扱った書として知られる『吾妻鏡』。実は現代の政治家にこそ読んでほしいと、山内昌之氏がその魅力と謎に迫る。シリーズ「日本の歴史書に学ぶ」第一弾。(1/4)
収録日:2014/02/26
追加日:2014/04/17