司馬遼太郎のビジョン~日本の姿とは?
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
『ペルシャの幻術師』が出世作の司馬遼太郎、実は日本嫌い
司馬遼太郎のビジョン~日本の姿とは?(4)日本嫌いと大陸ロマン
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
「蒙古語」と呼ばれていたモンゴル語を専門にした学生時代の司馬遼太郎。当時、エリートコースにうまく乗れなかった挫折感もありモンゴル語を選んだ司馬だったが、彼が夢見たのは大陸で自由な旅をする「馬賊」になりたいということである。そうした遊牧民に憧れる司馬は実は日本嫌いで、敗戦により余儀なく新聞社勤務を続ける中、小説『ペルシャの幻術師』を書く。それが出世作となるが、当時の日本人に大陸ロマンは受けない。そこで起こったのは、池波正太郎同様の転換だった。(2023年3月16日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「いまこそ読まれるべき司馬遼太郎~その過去、現在、未来」より、全6話中第4話)
時間:12分50秒
収録日:2023年3月16日
追加日:2023年6月11日
≪全文≫

●モンゴル語専攻の理由と時代背景


 司馬遼太郎さんという人は、学校の受験に失敗したこともあり、外国語専門学校に進みます。とはいえこれもエリートが行く専門学校です。今の東京外大の源になるのが東京外国語学校であり、大阪にあった大阪外国語学校が戦後は大阪外大になり、今は大阪大学の中の外国語学部に代わっています。(彼は)そこへ行って、当時は「蒙古語」と呼ばれていたモンゴル語を専攻することにしたわけです。

 なぜモンゴル語を専攻したのかというと、(先述したように)司馬遼太郎さんは日本の受験でうまくいかず、当時の帝大に進むエリートコースにはうまく乗れなかったという挫折感が一つにはあったと思います。それから、彼はもともと大阪の人なので、瀬戸内海から海へ出て大陸と自由に商売する姿をいろいろと見ています。1923年生まれの人ですから、子どもの頃はまさに河本大作の張作霖爆殺から満州事変に向かっていく時期、つまり日本の大陸進出期にあたり、馬賊やそういうものにいろいろな夢を掻き立てられたはずです。

 そんな時代に世界大恐慌が始まり、満州事変が起こる。1923年生まれの司馬遼太郎さんは、1931年の満州事変の時は8歳でした。つまり、物心ついて世界というものを眺めていくときが日本の大陸進出の時代と重なっていたのです。その中で司馬遼太郎という人は、日本で学歴がうまくいかないので「じゃあ外国語で」となる。つまり、その頃に外国語を勉強して専攻してというハイティーンということになると、1930年代末から1940年代ですから、いよいよ太平洋戦争が近づき、その中で日中戦争を続けている時代なので、大陸で具体的に仕事がたくさんあるわけです。


●日本嫌いが「馬賊」に託した夢


 外国語学校で大陸で使える言語を勉強すれば、日本はいろいろな商売をしたり、役所もあったりするので、満州国のエリアでも、そこから外れて日本がいろいろ影響力を及ぼし占領しているようなエリアでも、たくさん会社もあるから、いろいろな仕事があったわけです。だから、中国語をやっていれば、いろいろな仕事に就けます。ところが、司馬遼太郎さんはそちらを選ばないで、満州語でもなく、モンゴル語というものを選びました。

 これによって、司馬遼太郎さんの関心が決まります。なぜなら、先ほど「馬賊」ということばを出しましたが、司馬遼太郎さんには、馬に乗って自由に旅をす...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
日本画を知る~その技法と見方(1)写実・写意・写生
日本画で大切な「写意」「写生」の深い意味とは?
川嶋渉
おみくじと和歌の歴史(1)おみくじは詩歌を読む
おみくじは「吉凶」だけでなく「和歌や漢詩」を読むのが本当
平野多恵
ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か
ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景
池上英洋
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
ピアノの歴史は江戸時代に始まった
野本由紀夫
和歌のレトリック~技法と鑑賞(1)枕詞:その1
ぬばたまの、あしひきの……不思議な「枕詞」の意味は?
渡部泰明
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純

人気の講義ランキングTOP10
独裁の世界史~未来への提言編(1)国家の三つの要素
未来を洞察するために「独裁・共和政・民主政」の循環を学べ
本村凌二
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIは間違いが分からない…思考で大事なのは訂正可能性
中島隆博
歌舞伎はスゴイ(4)歌舞伎のサバイバル術(後編)
江戸時代の歌舞伎にも大波乱が…どうやって生き残ったか
堀口茉純
「進化」への誤解…本当は何か?(6)木村資生の中立説
欧州では不人気…木村資生の中立説とダーウィンとの違い
長谷川眞理子
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(2)秀吉の実像と「太閤神話」
秀吉・秀長の出自は本当は…実像は従来のイメージと大違い
黒田基樹
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
門田隆将
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典