司馬遼太郎のビジョン~日本の姿とは?
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
『竜馬がゆく』『坂の上の雲』明治百年を画期した名著秘話
司馬遼太郎のビジョン~日本の姿とは? (2)明治百年と司馬文学の歴史的意義
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
国民作家として書く作品のことごとくがブームを巻き起こしてきた司馬遼太郎。「明治百年」である1968(昭和43)年、『龍馬がゆく』が大河ドラマとして放映開始となったが、同年から『坂の上の雲』という小説も連載が開始されている。日露戦争を描いた後は、「『街道をゆく』の人」として紀行文作家にシフトしていくことになるのだが、司馬遼太郎にとって明治百年、あるいは幕末から明治維新という時代はどのような意味を持つものだったのか。保守の人びとにも革命志向の若者にも支持された司馬文学の特色を探ってゆく。(2023年3月16日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「いまこそ読まれるべき司馬遼太郎~その過去、現在、未来」より、全6話中第2話)
時間:12分04秒
収録日:2023年3月16日
追加日:2023年5月28日
≪全文≫

●明治百年を画期した『竜馬がゆく』と『坂の上の雲』


 『竜馬がゆく』がNHKの大河ドラマになったのは1968年の「明治百年」のことでした。昭和43年=明治百年であることから明治維新があらためて注目されていました。当時は学生運動の時代ですが、おとな、国家、社会、保守的な人たち、戦後の日本の秩序を支えていこうという人たちにとっても、明治国家からの連続性(が叫ばれました)。

 戦争に負けて、そこで終わったのではなく、明治以来の日本人は結局ずっと坂の上の雲(を追いかけていたということを書いた)。『坂の上の雲』という小説も、1968年から産経新聞に連載が始まっています。これもやはり明治百年記念で連載が始まった小説です。明治に青春を送り、日露戦争の時代、日本を西洋列強に負けない国に導いていく若者たち(秋山兄弟)と正岡子規を主人公に置いた青春小説的な形で日露戦争を描く。日露戦争に至るまでの明治の青春を描くのですが、文学者や陸軍の人、海軍の人などがいろいろ合わさって出てきます。

 このような形で、1968年から『坂の上の雲』という小説の連載が始まります。1923年生まれの司馬遼太郎さんは1968年には45歳ですが、それ以前の30代から本当に精力的な活躍を続けて幕末ものなどでかなりの代表作ができていた作家だったわけです。

 話は戻りますが、司馬遼太郎さんは明治百年のときに日露戦争を描く大連載小説を始めたりしました。その前にやはり幕末維新というものを描いて、しかもそれを非常にポジティブな、エネルギーあふれる形で希望に満ちて描くというのが、司馬遼太郎さんの得意技でした。


●保守の人びとにも革命志向の若者にも支持された司馬文学


 だから、例えば明治維新は素晴らしく、明治国家の続きの戦後日本も素晴らしいと考えたい自民党の人たちや財界のえらい人たちにとっても、司馬遼太郎さんはとてもいい作家に見えた。また、坂本龍馬や新撰組などは革命的な暴力と絡まる明治維新の動乱期の中で若者が自己実現していこうという話です。新撰組の人たちもやはり若者ですから、幕府につくか(幕府を)倒そうとするかはともかくとして、新しい世の中を目指していたのです。

 では、司馬遼太郎さんはなぜ新撰組が好きだったのでしょうか。これは、「幕府を助けたい人たちがよかった」というようなイデオロギーにもとづくわけではありません。司馬遼太郎さんは...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
バッハで学ぶクラシックの本質(1)リベラルアーツと音楽
中世ヨーロッパの基礎的な学問「7自由学科」の一つが音楽
樋口隆一
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
ピアノの歴史は江戸時代に始まった
野本由紀夫
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(1)政治家・石原慎太郎の源流と核の問題
都知事、非核三原則…1970年・30代の慎太郎が書いていたこと
片山杜秀
『源氏物語』ともののあはれ(1)雅な『源氏物語』の再発見
『源氏物語』の謎…なぜ藤壺とのスキャンダルが話のコアに?
板東洋介
クラシックで学ぶ世界史(1)時代を映す音楽とキリスト教
音楽はなぜ時代を映し出すのか?…音楽と人の歴史の関係
片山杜秀
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
「和歌」と「宣命」でたどる奈良時代の日本語とその変遷
釘貫亨

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(13)心の「柔軟性」を高めるヒント
【10minでわかる】心の「柔軟性」を高めるヒント
テンミニッツ・アカデミー編集部
昭和の名将・樋口季一郎…ユダヤ人救出編(3)救った人数とゴールデンブックの謎
樋口季一郎のユダヤ難民救出数は?ゴールデンブックの謎は?
門田隆将
「逆・タイムマシン経営論」で磨く経営センス(1)人口問題の本質
「逆・タイムマシン経営論」は本質を見抜くための方法論
楠木建
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(9)ユダヤ人の多様性
ユダヤ人は一枚岩ではない…米国ユダヤ人のイスラエルへの違和感
鶴見太郎
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
生き抜くためのチカラ~為末メソッドに迫る(4)人生の勝敗を考える
幸せの鍵「なにげなさ」とは何のことか
為末大
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
戦前、陸軍は歴史をどう動かしたか(1)総力戦時代の到来
日英同盟の廃棄、総力戦…世界秩序の激変に翻弄された日本
中西輝政
不便益システムデザインの魅力と可能性(1)「便利・不便」「益・害」の関係
「不便益」とは何か――便利の弊害、不便の安心
川上浩司