日本画を知る~その技法と見方
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
日本画で大切な「写意」「写生」の深い意味とは?
日本画を知る~その技法と見方(1)写実・写意・写生
川嶋渉(京都市立芸術大学 副学長 美術学部美術科(日本画専攻)教授)
日本画家で京都市立芸術大学美術学部日本画研究室教授・川嶋渉氏が、日本画の世界で大切にすること、方法について解説する。日本画では「写意」を非常に重視するが、その写意を出力するためには「写生」が欠かせない。川嶋氏は、実はこの聞き慣れているはずの写生という言葉には深い意味があると言う。(全3話中第1話)
時間:12分14秒
収録日:2017年11月13日
追加日:2018年1月29日
カテゴリー:
≪全文≫

●ありのままを写す「写実」、本質を写す「写意」


 皆さん、こんにちは。日本画家の川嶋渉と申します。よろしくお願いいたします。京都市立芸術大学でも日本画を教えています。

 日本画の世界でとても大切にしている言葉に、「写意」という言葉があります。一方、写意に対し、絵画の中でよく使われる言葉として「写実」があります。これは一般的にも多く使われている言葉なので、皆さんよく理解していると思いますが、「実を写す」と書きます。この「実」とは、「真実」のことです。絵の中にありのままを写す、ということが、非常に多くの人の心を捉え、共感を生むということで、非常に大切にされている言葉です。

 もう一つの写意ですが、これは日本画を含む東洋絵画の中で使われてきた言葉で、「意を写す」と書きます。「意」とは、例えば、自分の意見であるとか、ものの意味や本質までも描き写そうではないか、という意味で使われています。では、この写意を画家たちや学生たちが果たしてどうやって日本画の中に出力しようとしているのか、ということを少しお話ししたいと思います。


●「写生」とは、ものの本質に迫るための方法


 「実を写す」ということであれば、例えば、事細かく物事の現象を写し取ればいいのでしょうが、写意とは自分の意見やものの本質に迫ろうとするわけです。そのときに日本画家がとても大切にしていた行為の中で、一番代表的なものが「写生」です。

 写生とは、子どもの頃の「写生大会」などといった時に使われてきた言葉ですが、本当の意味はもう少し深いところにあります。写生は「生まれる、写す」と書きますが、この「生まれる」とは一体何が生まれるのか、ということですね。

 写生とは、現場に出向き、その対象物としっかり対峙し、その姿を写し取ることはもちろんですが、そのときに生まれた何かを、スケッチブックの中に写し取るということなのです。ですので、例えばその時に風が吹いていたとか、いい花の香りがしたね、といったことまでもしっかりと記憶に留め、ただ記憶だけではなく、画中にどうやって入れていこうか、ということになっていくのです。

 写生は、私たちが学生の時にも「写生をしなさい、写生をしなさい」と、口が酸っぱくなるほど何度も先生から言われ、教わってきた言葉ですが、これは「現場に出向きなさい」ということです。学生はかっこいい作品...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(1)なぜ今『太平記』を読むべきなのか
『太平記』は乱世における人間の処し方が学べる古典文学
兵藤裕己
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(1)政治家・石原慎太郎の源流と核の問題
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿…対比で見えてくる現代的課題
片山杜秀
AI時代に甦る文芸評論~江藤淳と加藤典洋(1)AIに代わられない仕事とは何か
江藤淳と加藤典洋――AI時代を生きる鍵は文芸評論家の仕事
與那覇潤
古関裕而・日本人を応援し続けた大作曲家(1)恩師との出会い
六甲おろし、栄冠は君に輝く、長崎の鐘…古関裕而の魅力
刑部芳則
『源氏物語』ともののあはれ(1)雅な『源氏物語』の再発見
『源氏物語』の謎…なぜ藤壺とのスキャンダルが話のコアに?
板東洋介

人気の講義ランキングTOP10
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(1)シラス論と日本の政治
独裁ができない戦前日本…大日本帝国憲法とシラスの論理
片山杜秀
編集部ラジオ2026(26)お盆とあの世を考える
【10min解説】特集で考える《お盆とあの世》の本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
資本主義の再定義…哲学で考える(3)害なき利とコミュニティの時代
強欲資本主義は死んだ…他者を助けることのできる他者を助ける
中島隆博
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
日本の財政の真実を検証する(7)AIと長寿化&質疑応答
AI時代にこそ「熟達者の経験」が生きる&現状の日本経済の実情は
宮本弘曉
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
中国春秋戦国時代と始皇帝(4)秦と周辺国の激烈な戦い
秦と周辺国の激戦の真実に迫る…各国の兵力と秦の戦略とは?
鶴間和幸
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
昭和の名将・根本博…台湾での恩義の戦い(3)共産軍を殲滅――金門島での戦い
共産軍2万を金門島で殲滅…ただし一般人の命を守る軍人の本義を重視
門田隆将