日本画を知る~その技法と見方
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
絵画のカテゴリーには「画家の目線」が関係する
日本画を知る~その技法と見方(3)画家の目線とカテゴリー
川嶋渉(京都市立芸術大学 副学長 美術学部美術科(日本画専攻)教授)
日本画家で京都市立芸術大学美術学部日本画研究室教授・川嶋渉氏が、絵画のカテゴリーと画家の目線の関係について論じる。川嶋氏は、「山水画」「花鳥画」とは、単に山や風景、花や鳥といったモチーフで区別されるものではないと言う。モチーフそのものよりモチーフとの距離感が関係するのだ。(全3話中第3話)
時間:5分48秒
収録日:2017年11月13日
追加日:2018年1月31日
カテゴリー:
≪全文≫

●絵画のカテゴリーとは画家とモチーフの距離感の違い


 「日本画」は、もともと明治時代に使われるようになった言葉です。それ以前にもたくさんの絵はありましたが、それらは、もちろん(中国)大陸から伝わった画法や技法、もしくは思想の下で展開されてきたもので、日本画は中国とはまた別の展開がなされてきました。

 例えば、有名なものとして、「琳派」をご存知でしょうか。自然のモチーフを装飾的に描いたとして非常に有名であり、世界的にも「RIMPA」という言葉が使われるようになっています。この「装飾的に描く」ということですが、中国から伝わったものの中に、「山水画」または「花鳥画」があります。

 山水画は、いわゆる山の景色を描いたものとお思いでしょうし、花鳥画は花や鳥といった自然のものを描くというイメージでしょう。もちろん、そういったものが描かれているものを山水画、花鳥画といったカテゴリーに分けてきたのですが、実は山水画家が花鳥を描かないのかと言うと、そういうわけではありません。では、花鳥画家も山をモチーフにしないのかと言えば、実はそうではありません。もう少し深く掘り下げていくと、山水画ではモチーフと画家との距離が非常に遠いのです。


●モチーフとの距離が遠い山水画、近い花鳥画


 そのモチーフとの距離だけに視点を当ててみましょう。山を、非常にエネルギーのあるもの、もしくは神様のようなものとして崇めた時代は、山を描くことには非常に意味がありました。単に山が大好きだと思って描いてきたわけではないのです。その中に非常に神秘的なものを感じた画家は、ある程度の距離を縮めて描かずに非常に遠くの景色として、近寄り難い存在として山を描いてきました。そのようにして生まれたのが山水画です。ですから、山水画ではモチーフと画家との距離が非常に遠い。逆に花鳥画では花や鳥、もしくは小動物、虫といったものを描くので、画家とモチーフの距離が非常に近い。例えば、手に取って愛でる距離なのですね。


●花鳥画の目線で風景を描いてみる


 私は普段、花も描きます。当然、風景も描きますし、水辺の景色といったものも描きます。花鳥画の目線で、例えば水辺の景色、風景を描いたらどのようになるだろうか、というようなこともします。山水画家が花の作品を描くのですが、これは非常に遠いモチーフとして描くということよりも何か一つの塊...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か
ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景
池上英洋
ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯
ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
江崎昌子
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
ピアノの歴史は江戸時代に始まった
野本由紀夫
バッハで学ぶクラシックの本質(1)リベラルアーツと音楽
中世ヨーロッパの基礎的な学問「7自由学科」の一つが音楽
樋口隆一
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(1)読書と教養からみた日本の近現代史
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』で追う近現代史
三宅香帆
『源氏物語』ともののあはれ(1)雅な『源氏物語』の再発見
『源氏物語』の謎…なぜ藤壺とのスキャンダルが話のコアに?
板東洋介

人気の講義ランキングTOP10
老子の神髄(1)「絶対自由の境地」を求めて
『老子』が求める「絶対自由の境地」とは?…そして創造長寿へ
田口佳史
中国春秋戦国時代と始皇帝(4)秦と周辺国の激烈な戦い
秦と周辺国の激戦の真実に迫る…各国の兵力と秦の戦略とは?
鶴間和幸
編集部ラジオ2026(23)上半期人気ランキングBest30
【編集部ラジオ】令和8年上半期人気ランキングBest30
テンミニッツ・アカデミー編集部
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(4)5人の皇帝と現代中国
特筆すべき5人の皇帝…中国史を知らなければ現代中国もわからない
宮脇淳子
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
日本の財政の真実を検証する(4)日本の台所事情と財政の本義
「1秒間に41万円?」…この数字はいったい何を意味するか?
宮本弘曉