刀匠・松田次泰に聞く―日本文化と日本刀
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
鎌倉時代の刀は「再現できなかった」から価値があった
刀匠・松田次泰に聞く―日本文化と日本刀(2)名刀に挑む
刀匠・松田次泰氏が、奥深い日本刀の世界を語る。そこには、日本刀ならではの美術品的価値や、鎌倉時代の刀を目標にしてそこに挑んできた苦労など、刀匠だからこそ尽きない想いがある。(全3話中第2話)
時間:12分15秒
収録日:2017年3月22日
追加日:2017年12月7日
カテゴリー:
≪全文≫

●日本の美術品が持つ思想・哲学を外国人が評価できるのか


質問 外国製の刀が日本に入って来るという問題に対して、日本刀を海外に打って出るということも多分に考えられます。日本刀を外国に出す意味について、どのようにお考えになっていますか。

松田 そのあたりにまた1つ問題があるのです。外国で評価されたものが逆輸入されたら日本でも評価されますよ、と皆が言うのです。でも、実はそんなに簡単なものではありません。外国でできた芸術品は、外国で評価されると日本でも簡単に評価されます。ところが、日本でできた美術品を外国人がいくら評価しても、日本で評価されるとは限らないのです。

 そこに何が問題としてあるかというと、日本でできたものというのは、そのできた当時の思想や哲学が、明確に反映されるのです。それを外国の人が理解できるのかという問題です。


●異文化理解で必要なのはお互いを認め合うこと


松田 今、一番問題になっているのが相撲です。私は白鵬関の土俵入りの刀をつくっていて、白鵬関にも何回か会っています。すごくいい人です。とても人に気を遣いますし、何とか日本の文化を理解したいということで、非常によく勉強しています。ですから、しめ縄や神棚、土俵などがあって、「これはどうしてですか」と聞くと、ちゃんと説明してくれます。でも、本当に分かっているのかと思って、少し突っ込んで聞くと、逆に聞き返してきます。一生懸命勉強したいからです。

 ですから、日本でできたものは、やはり、こういう言い方をしたらいけないのかもしれないけれど、日本人にしか理解できないのではないか、と思ってしまいます。それは逆に外国の文化もそうで、建築の場合、私が外国のお城や庭などシンメトリーのものを見ても、美しいとは全然思いません。では逆に、日本の庭園などを外国人が見て理解できるかというと、説明書に書いてあるから分かるかもしれませんが、本当に理解しているのかどうかが分かりません。

 でも、別にそれはそれでいいのではないかと思います。そこは真似をしなくても、日本のことは日本人に任せてくれればいい話であって、外国のことはその国の人がやればいいのです。つまり、お互い認め合って、買ったり売ったりしていけばいい話だと思います。

 日本刀ですが、実は外国にいいものはほとんど流れていません。明治時代に結構外国に出ていっているよ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
『源氏物語』を味わう(1)『源氏物語』を読むための基礎知識
源氏物語の基礎知識…人物関係図でみる物語の流れと読み方
林望
ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯
ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
江崎昌子
クラシックで学ぶ世界史(1)時代を映す音楽とキリスト教
音楽はなぜ時代を映し出すのか?…音楽と人の歴史の関係
片山杜秀
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か
ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景
池上英洋
日本美術論~境界の不在、枠の存在(1)具象と抽象の共存
日本美術の特徴を示す矛盾した2つの要素とは?
佐藤康宏

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
経験学習を促すリーダーシップ(3)成功の再現性と教え上手の指導法
教え上手の指導法に学ぶ!成功の再現性を高める4ステップ
松尾睦
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一