刀匠・松田次泰に聞く―日本文化と日本刀
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
刀の本来の目的は「守り刀」として家や個人を守ること
刀匠・松田次泰に聞く―日本文化と日本刀(3)守り刀
今や、日常的に日本刀を見る機会は少ないが、「日本刀を持つには、免許や講習が必要なのでは?」と思っている人も多いのではないだろうか。実際には、日本刀は誰でも保有できるし、購入できる。そのあたりの事情を刀匠・松田次泰氏にうかがってみた。(全3話中第3話)
時間:6分59秒
収録日:2017年3月22日
追加日:2017年12月8日
カテゴリー:
≪全文≫

●刀の本来の目的は、「守り刀」として家や個人を守ること


質問 現代の日本社会では、日本刀は危険であるとか、普通の人間は持てないという認識が一般的だと思います。その点について教えてください。

松田 刀には、必ず『銃砲刀剣類登録証』が付いています。銃刀法で許される銃器というと、皆さんはほとんど散弾銃やライフルを連想されますが、実は「銃刀法」でいう「銃」は古式銃のことです。慶応3(1867)年までに日本にあった銃のことで、それは登録制であり、それ以後は銃を持つ「人」に許可を与えます。そのため、精神鑑定も必要になってきます。

 一方、刀の登録は「物」に対して行われるので、誰が持ってもいいのです。登録証の付いていない刀など、現在の日本では考えられません。

 ただ、私は千葉県の登録審査委員ですので、いまだに「倉庫や物置を探していたら刀が出てきた。どうしたらいいですか?」と質問されることがあります。こういう場合は、まず近くの警察署へ持っていって「発見届」という書類を交付してもらいます。警察で「没収」などと言われることは絶対にありません。「どこから出てきたのか?」「今頃どうして刀が出てきたのか?」と聞かれる場合もありますが、最近の警察官は親切ですから、「まずは教育委員会に持っていってください」と教えてくれるでしょう。

 その後、県の場合は県庁から通知が来ます。指定された日時に指定の場所へ発見した刀を持っていくと、私たちのような登録審査委員が「この刀は日本刀である」という証明をします。

 どこを見て証明するのかというと、日本刀の場合は材料です。洋鉄でつくられた刀は日本刀とは認められていないので、却下になります。軍刀には一部、量産するため、洋鉄でつくられた時期があります。そのときにそれらをはじくことになるのですが、昔の刀なら、どんなに錆身であろうと何だろうと、「日本刀である」と分かれば、それに対して許可証を発行します。

 そういうことですから、まず、日本刀は誰が持っていてもいいことを認識してください。また、家にある場合、「刃物だから危ない」という扱いではなく、そこにあるということは代々受け継がれているものだということなので、ぜひ大事にしていただきたい。これは、その刀がいいものだとか、美術的価値があるとかないとかは関係ありません。本来の刀の目的は、「守り刀」として、家...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
『古今和歌集』仮名序を読む(1)日本文化の原点となった「仮名序」
『古今和歌集』仮名序とは…日本文化の原点にして精華
渡部泰明
ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か
ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景
池上英洋
万葉集の秘密~日本文化と中国文化(1)万葉集の歌と中国の影響
『万葉集』はいかなる歌集か…日本のルーツと中国の影響
上野誠
おみくじと和歌の歴史(1)おみくじは詩歌を読む
おみくじは「吉凶」だけでなく「和歌や漢詩」を読むのが本当
平野多恵
百人一首の和歌(1)謎の多い『百人一首』
『百人一首』の歌が選ばれた理由とは?今も残る3つの謎
渡部泰明
クラシックで学ぶ世界史(1)時代を映す音楽とキリスト教
音楽はなぜ時代を映し出すのか?…音楽と人の歴史の関係
片山杜秀

人気の講義ランキングTOP10
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方
布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方
西野精治
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
経験学習を促すリーダーシップ(3)成功の再現性と教え上手の指導法
教え上手の指導法に学ぶ!成功の再現性を高める4ステップ
松尾睦
2025年、どん底日本を脱却する大戦略(1)日本が凋落した要因を総覧する
日本凋落の「7つの要因」と「10の復活大戦略」
島田晴雄