刀匠・松田次泰に聞く―日本刀のつくり方
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
なぜ刀づくりには砂鉄と炭が必要なのか
刀匠・松田次泰に聞く―日本刀のつくり方(3)酸化・還元
折り返し鍛錬では、玉鋼を「沸かす」ために、火花の状態を見る。透明な青紫色から朱色に変わり、黄色みを帯びて火花を放つのが鋼の溶ける温度に達したしるしだ。「鉄の華」「沸き華」とも呼ばれる火花を、刀匠・松田次泰氏はできるだけ短時間に抑えるよう工夫をしている。(全7話中第3話)
時間:10分28秒
収録日:2017年3月22日
追加日:2018年1月5日
カテゴリー:
≪全文≫

●東工大実験で分かった「1300度」ライン


質問 今はあまり火花が出ていませんが、「折り返し鍛錬」の工程ではもう少し温度は上がるのですか。

松田 「折り返し鍛錬」では温度が上がって、火花が相当出てきます。ただ、この火花はわらなどが燃えて出るものなので、温度はそれほど高くありません。普通の刀鍛冶より20~30度低いことが、東京工業大学の実験で分かりました。

 実験では火床(ホド)の中にセンサーを入れ、鋼を出したときの酸素分圧と温度を測定しました。叩いてしまうとセンサーが壊れるので、3回折り返し、5回折り返し、7回折り返しの時点でサンプルをつくるようにして、どのぐらいの温度で折り返しを行っているのかを調べました。

 同じことを他の現代刀匠にも頼んでやってもらったところ、大体1300度が境になります。彼らは1300度よりかなり高い線で3回折り返し、5回折り返し、7回折り返すという結果が出ました。うちの場合は1300度より20~30度低い数字が出ています。

 大学の先生は「大体同じですね」と言いますが、私にすれば同じではなく、相当低いという実感を得られました。今回のように撮影に来られたときは、少しだけ温度を高めにして火花を上げるようにします。それでも火花は少ない方でしょう。


●「酸化・還元」の「還元」を用いる焼き物と刀


松田 これで、先端の方は大体2.5キロぐらいになりました。それを二つ付けると5キロほどで1本になります。この火床の大きさから言うと、2.2~2.3キロぐらいの段階で「下鍛え」を始めます。それ以上大きくなると、仕事がしにくくなるのです。また、鍛えに入ると炭がたくさん必要になりますが、鉄の量に応じて炭の量も増えていきます。

 火を使うと、酸化・還元反応が起こります。火床は絶えず還元状態にしておきます。なるべく鉄を脱炭させないよう、炭を小さくして、こんもりこもらせるわけです。そうすると一酸化炭素が出てきます。それが還元状態です。

 焼き物などでは、色を出すのに酸化と還元を使い分けています。今は釉薬を使うのが主流で、その極致が中国の青磁ですが、備前焼や信楽焼など釉薬を使わない焼き物の産地では酸化と還元を使い分けてきました。

 焼き物の場合は、どうやって還元状態をつくるかということが非常に大事にされます。還元状態は非常に弱く、火の勢いもないからです。それを「強還元」という状態、...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
百人一首の和歌(1)謎の多い『百人一首』
『百人一首』の歌が選ばれた理由とは?今も残る3つの謎
渡部泰明
『ロビンソン・クルーソー』とは何か(1)読み続けられる18世紀の小説
なぜ『ロビンソン・クルーソー』は“最初の近代小説”なのか
武田将明
印象派の解体と最後の印象派展(1)セザンヌと印象派
印象派の画家に大きな影響を与えたセザンヌの構築的筆触
安井裕雄
『源氏物語』を味わう(1)『源氏物語』を読むための基礎知識
源氏物語の基礎知識…人物関係図でみる物語の流れと読み方
林望
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
「和歌」と「宣命」でたどる奈良時代の日本語とその変遷
釘貫亨

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(5)中島隆博先生「AIと人間」を紹介
【10分解説】中島隆博先生《AI時代と人間の再定義》
テンミニッツ・アカデミー編集部
印象派の解体と最後の印象派展(1)セザンヌと印象派
印象派の画家に大きな影響を与えたセザンヌの構築的筆触
安井裕雄
新撰組と幕末日本の「真実」(2)土方歳三像の真相と江戸の生活事情
土方歳三のイメージはどこまで本当?驚くべき「江戸の常識」
堀口茉純
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
印象派の誕生~8人の主要な芸術家
マネ、モネ、ルノワール…芸術家8人の関係と印象派の誕生
安井裕雄
こどもと学ぶ戦争と平和(1)私たちに必要な想像力と戦争体験
なぜ戦争が起こるのだろう…大切なのは想像力と生の声
小原雅博
印象派とは~画家たちの関係性から技法まで(1)印象派への誤解
風景画家だけの集まり…?誤解された印象派の本当の姿
安井裕雄
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
「Fukushima50」の真実…その素顔と誇り(6)日本人の現場力のすごさ
日本は助かる運命にあった…わが国は現場力で保っている国
門田隆将
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之