刀匠・松田次泰に聞く―日本刀のつくり方
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
腕のいい職人の仕事はどんな場面を撮っても絵になる
刀匠・松田次泰に聞く―日本刀のつくり方(4)水打ち
水蒸気爆発で金肌(酸化鉄)を吹き飛ばす「水打ち」を、刀匠・松田次泰氏は極めて無造作に行う。従来は酸化鉄を完全に除去することが重要だと教えられてきたが、松田氏は自身の経験から「それほど刀の出来を左右するものではない」という判断を得たからだ。全てが手作業ゆえに軽重のつけにくい刀づくりの工程も、火と鉄の科学である。(全7話中第4話)
時間:10分17秒
収録日:2017年3月22日
追加日:2018年1月6日
カテゴリー:
≪全文≫

●水蒸気爆発で金肌を吹き飛ばす「水打ち」


質問 今、わら灰を半分ぐらい叩かれましたが、何のためですか?

松田 「水打ち」といって、水蒸気が爆発する力で金肌を取っているのです。私たちの年代の現代刀匠は普通、こんな雑な仕事はしないでしょう。もっと一から十まで丁寧です。真っ平らにしてから水打ちをしますし、酸化膜は絶対に残さないようにします。

 私も親方から「金肌は絶対に残すな」と言われてきましたが、今では結構残っています。出来とはあまり関係ないことが分かってきたからです。弟子時代から今まで、とても無駄な仕事をしてきたものだと思いますし、今の私の仕事は、その頃と比べると、とても雑に見えると思います。

 面白いことに、職人の仕事は、本当に上手な人の動きだと、どんな場面を撮っても絵になります。仕事の姿が格好悪いのは、下手な証拠です。それから、研ぎ師などは特にそうですが、上手な人の仕事は「眠くなる」ということがあります。リズムが一定していて変化がないからでしょう。砥石の音がコットンコットンと、見ていると眠くなってきます。やっている本人でさえ眠くなります。

 私たちの修行時代は、「職人の仕事は、途中の段階もきれいでなければならぬ」と習いました。だから、こういう雑な仕事をすると、非常に叱られます。と言って、私は雑にやっているわけではなく、意味がないからあまり手間をかけていないのです。

 やり方の分からないことに取り組んでいると、途中で「ああじゃないか」「こうじゃないか」という迷いがとても多くなります。だからうまくできないのですが、一方で「仕事はきれいにしないといけない」ということになっているのです。


●理屈が分かれば、仕事のやり方が変わる


松田 理屈が分かってくれば、手を抜くということではなく、影響の大小で大事な部分とそうでないところが切り分けられます。もちろん全部大事といえば大事ですが、現代刀の仕事と比べると、それほど手間をかけなくていいところと手間をかけるべきところが分かってきます。

 今のように、一つ一つを丁寧に積んでいくという仕事を他では見かけません。私に言わせると、それが大事なはずだけどな、と思います。

 私のやり方をテレビで放映して、他の刀鍛冶は真似するかというと、まずやりません。人の仕事を見て盗むということは、若い人がやるとまず失敗します...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
AI時代に甦る文芸評論~江藤淳と加藤典洋(1)AIに代わられない仕事とは何か
江藤淳と加藤典洋――AI時代を生きる鍵は文芸評論家の仕事
與那覇潤
『源氏物語』ともののあはれ(1)雅な『源氏物語』の再発見
『源氏物語』の謎…なぜ藤壺とのスキャンダルが話のコアに?
板東洋介
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(1)なぜ今『太平記』を読むべきなのか
『太平記』は乱世における人間の処し方が学べる古典文学
兵藤裕己
司馬遼太郎のビジョン~日本の姿とは?(1)1923年生まれの3人の作家
司馬遼太郎と日本人…まず遠藤周作、池波正太郎との比較で考える
片山杜秀

人気の講義ランキングTOP10
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
「ホメロス叙事詩」を読むために(7)オデュッセウスの冒険
ホメロスの『オデュッセイア』が描く苦難と誘惑の冒険譚
納富信留
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
日本の財政の真実を検証する(3)金利上昇の深刻な影響
金利が上昇した未来を10年スパンで見てみると…何が起きるか?
宮本弘曉
ギリシア神話の基本を知る(1)「ゼウス以前」の神々の戦い
ギリシア神話…ゼウスの「父親殺し」とオリュンポス十二神
鎌田東二
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎