平和の追求~哲学者たちの構想
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平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
川出良枝(東京大学名誉教授/放送大学教養学部教授)
2.「コスモポリタニズム」の理想と「国家連合」というプラン
2025年12月9日配信予定
3.「国連」の発想の源は?…一方、小共和国連合=連邦構想も
2025年12月15日配信予定
4.ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
2025年12月16日配信予定

5.タイトル未定
2025年12月22日配信予定
6.タイトル未定
2025年12月23日配信予定
7.タイトル未定
2025年12月23日配信予定
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平和は、いかにすれば実現できるのか――古今東西さまざまに議論されてきた。リアリズム、強力な世界政府、国家連合・連邦制、国連主義……。さまざまな構想が生み出されてきたが、ここで考えなければならないのは「平和」だけで良いのかという問題である。いかなる平和が望ましいのか。平和と自由をどう両立できるか。今回の講義では、哲学者たちが平和実現のためにどのような構想を考えたのかを追っていく。まず17世紀の哲学者トマス・ホッブズの思想から導き出される「平和」を考える。(2025年8月2日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全7話中第1話)
※司会者:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:13分32秒
収録日:2025年8月2日
追加日:2025年12月8日
≪全文≫

●現在の国際関係に通底する「リアリズム」


―― 本日でございますが、川出良枝先生に「平和の追求」というテーマでお話をいただきます。本当にこのままで国連は大丈夫なのか、世界の平和がどうなるのかといったことがいま、非常に大きな問題になっています。そもそもこの平和について、平和をいかに維持するかということについて、例えばヨーロッパの哲学者をはじめ皆さんがどのように考えてきたのかということを中心にお話をいただく、講義をしていきたいと思います。

 川出先生は『平和の追求:18世紀フランスのコスモポリタニズム』(川出良枝著、東京大学出版会)という本もお書きになっていて、この本の内容もベースにしながら、今日は分かりやすくご説明をいただく形です。川出先生、どうぞよろしくお願いいたします。

川出 ありがとうございます。皆さん、こんにちは。日本と関連する諸国にとって、平和の問題、戦争の問題を考える機会でもございますので、こういうテーマでお話しさせていただけるのは非常に光栄に思っています。

 私の専門は、現在の国際連合についてバリバリ研究しているかというと少し違いまして、あくまでも西洋政治思想史です。ただ、西洋政治思想の流れの中で、平和はどうやって実現すべきかということについて、いろいろな考え方を練り上げてきました。それが、今日の問題を考えるときにも大きな示唆を与えるものではないかと思っています。そういった観点から今日のお話をさせていただきたいと思います。

 さて、まずちょっとした質問です。

 すでに皆さんの中には、社会的にもご活躍し、あるいは国際的に海外でお仕事をされている方がいらっしゃるかもしれません。かつて大学のときに国際政治学、国際関係論などを勉強したことがあるかもしれません。勉強したことがなくても、外交といったことに関心がある方であれば聞いたことあるであろう概念に、「リアリズム」があります。「リアリズム」はいろいろなところで使われる概念ですが、国際政治にまつわる概念として「リアリズム(現実主義)」「リアリスト(現実主義者)」というタームがよく用いられます。国際政治におけるリアリズムとはどんなものか、どなたか回答にチャレンジしてください。

[回答]
理想主義と現実主義(リアリズム)がよくいわれます。理想主義は話し合いによって解決を図ろうとするものに対し、リアリ...

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