平和の追求~哲学者たちの構想
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「コスモポリタニズム」の理想と「国家連合」というプラン
平和の追求~哲学者たちの構想(2)世界市民と国家連合
川出良枝(東京大学名誉教授/放送大学教養学部教授)
18世紀フランスではコスモポリタニズムの概念が復興し、「世界市民」という発想が勃興する。この発想からくる「平和」を具現化する方法の1つとして生まれたのが、「国家と国家を連合させる」というアイデアだった。のちにその別方向としてアメリカの国の形にもつながるこのアイデアが生まれた背景について解説する。(2025年8月2日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全7話中第2話)
※司会者:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:10分45秒
収録日:2025年8月2日
追加日:2025年12月9日
≪全文≫

●賛同が得られなかったホッブズ的解釈


川出 さて、(ホッブズの議論は)なんとなく説得されそうな迫真の議論ではあります。ただ、18世紀に平和を追求した論者の多くは、こうしたホッブズ的解釈の道筋に異を唱えました。ここがポイントです。

 どうしてか。先ほどのホッブズのような議論を念頭に置くと、そうした世界単一国家は、非常に強大な国家が武力によって各地域を征服して1つにまとめあげてしまうというルートだって当然、あるわけです。そしてまた、さまざまな多様な国家、いろいろなものの考え方、いろいろな文化がある現状を全て真っさらにしてしまって、巨大な政府に統一される。これは諸国民の自由や多様性の否定となるのではないか。そうした懸念が同時に浮かび上がってくるわけです。

 歴史的な話になりますが、具体的には18世紀において、ルイ14世というフランスの絶対君主が、まさにそういう形でヨーロッパを事実上統一するのだという野心を持っていたので、すごくリアルなのです。「ルイ14世が起こす戦争はこりごりだ。でも、ならばルイ14世が本当に武力で全ヨーロッパを征服して、そのような形で平和になって、それでいいのだろうか」という、ちょっとしたジレンマなのですね。

 なので、世界単一国家による平和に異を唱えつつ、平和の実現を考える。つまり、世界が1つの国家になるという解決策とは別の形で平和を追求していかなければいけない。そういう考え方が登場していくというところにポイントがあるわけです。


●18世紀フランスで復興した「コスモポリタニズム」


川出 さて、平和の話のはずが、なんとなくきな臭い戦争の話になりました。しかし、そういった議論が主流な中で登場してきた、それに対するアンチとして、「コスモポリタニズム」という考え方もあったというお話をしたいと思います。

 コスモポリタニズムとは、コスモポリタンが「世界市民」という意味なので、「世界市民主義」という意味です。世界市民として生きること。このニュアンスをなかなか日本語でうまく伝えるのが難しいのですが、日本国民であったり、フランス人(国民)であったりというだけではなく、世界市民であるということです。日本の市民であるだけではなく、世界の市民であるという考え方です。

 言い方を変えると、国を超える人類の一体性を強調する...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(序)『ばけばけ』と『神国日本』
ラフカディオ・ハーンの遺著『神国日本』の深い意義とは?
賴住光子
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
世界の語り方、日本の語り方(1)なぜ「語り方」なのか
今後身に付けるべき知性として「新しい語り方」を考える
中島隆博
キケロ『老年について』を読む(1)キケロの評価と「老年の心構え」
老年が惨めと思われる4つの理由とは…キケロの論駁に学べ
本村凌二
「自分をコントロールする力」の仕組み(1)自制心と目標の達成
自制心の重要性…人間は1日4時間も何かを「欲求」している
森口佑介
「教養とは何か」を考えてみよう(1)「あの人って教養あるよね」とは
「哲学カフェ」再現講義第二弾「教養とは何か」語り尽くす
津崎良典

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(11)日本史から読むメンタルヘルス
【10min解説】與那覇潤先生《日本人とメンタルヘルス》
テンミニッツ・アカデミー編集部
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
三日坊主、部屋が片付かない…なぜできないか行動分析学で考える
島宗理
お金とは何か?…金本位制とビットコイン(3)ビットコインの革新と矛盾
暗号通貨は従来の通貨と何が違うか…ビットコインの矛盾点
養田功一郎
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
織田家中一の武略者…『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の知られざる実像
黒田基樹
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(序)『ばけばけ』と『神国日本』
ラフカディオ・ハーンの遺著『神国日本』の深い意義とは?
賴住光子