AI時代の到来により、社会は急激な変革を迫られている。こうした中、政府が優先すべきは労働市場、教育、デジタルの三分野における改革である。AI時代には、「いらなくなる仕事」がどんどん生まれる。今のように「労働市場改革」に猛烈に反対する労組やメディアは、むしろ全労働者の邪魔者でしかなくなるだろう。また、AI社会では、「問題発見能力」が重要になるが、そのような能力が高い子供は、今の学校では「不登校」になりかねない。それを救えぬ文部科学省も邪魔でしかない。また、誰もがAIにアクセスできるインフラ整備や、不確実な未来を見据えた政策の備えも不可欠である。AIが多くのタスクを代替するからこそ、改めて「人間の価値」が問われるのである。(全8話中第8話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
≪全文≫
●政府は何をすべきか(1)労働市場改革
―― 続きまして「政府は何をすべきか」というところです。
宮本 一番大事なのは、「労働市場改革」だと思います。今回の講義でも何度も触れてきましたが、新技術が出てくると必ず新しい産業が出てきます。新しい仕事が生み出される一方で、失われてしまう仕事もあります。ですから、衰退産業から成長産業へと、うまく人が移れるような仕組みを作らなくてはいけない。
これは、労働市場を流動化させるといいますか、人々がより自分のキャリアに従って柔軟に移れるような可能性を広げるということです。そこがまず重要だと思います。それから新しい産業に移って行くときには、リスキリングやスキルアップが必要になりますので、その支援も重要になってくると思います。
―― 日本の場合ですと、例えば労働市場改革(において)、労働自由化、労働流動性を高めるという話をすると、労働組合が猛反対をしてきます。(ただ)今のお話を伺っていますと、10年とか20年のスパンではなくて、来年には人がもういらなくなってしまうかもしれないといった、本当に急な話なので、いつまでも昔の感覚で「反対」などとやっていると、かえってひどいことになりかねないですね。
宮本 そうですね。本当にそういう可能性は高いと思います。ちょうど今、日本は人手不足の状態ですので、こうした中で労働市場を流動化させても、失業が大きく増えるようなことは、想定されにくいと思います。
もちろん、その中で仕事を失ってしまう方もいらっしゃると思うので、セーフティーネットをしっかり張ることは重要です。ただ、(経済的な)タイミングとしては、労働市場改革を進めやすい時期だと思います。
ましてや、これは個人にとっても重要な話です。個人を軸に考えると、人々が柔軟な働き方ができるようにすること、それぞれの方が自分のライフスタイルに合わせてキャリアを追求できるようにすることが求められています。そのためにも、労働市場改革を早く進めていただきたいと思います。
―― 本当にそうですね。今、若い方ですと、もう転職するのが当たり前というような感覚の方も多いので、ある程度、上に立っていて、AIのこともよく分からないような方々が邪魔をしないでくださいということになるのかなと。むしろ、そういう意識のほうが...