世界中で生成AIの活用が一気に広がり、私たちの働き方に大きな変革が迫っている。IMF(国際通貨基金)の報告によれば、先進国の雇用の約60パーセントがAIの影響を受けると予測されている。かつての技術革新は主に肉体労働を代替してきたが、生成AIは知的分野に浸透し、ホワイトカラーや高収入の専門職を直撃するのが特徴だ。仕事への影響は二極化するという。AIとの共働で生産性を高め恩恵を受ける層がいる一方、業務の中核を代替され、職を失うリスクにさらされる層も存在する。具体的にはどんな仕事が影響を受けるのか。AIの進歩で深まる政策現場での議論とともに解説する。(全8話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
≪全文≫
●60%雇用が影響を受ける――ホワイトカラーを直撃するAIの波
―― それでは宮本先生、まずはどういう現状認識をいろいろな世界機関や研究者の方々がしているかというところですが、そこはいかがですか。
宮本 最初に、IMF(国際通貨基金)が2024年に出したレポートがありますので、その中身を簡単にご紹介したいと思います。
端的に申し上げると、ホワイトカラーの仕事がAIによって影響を受けるということです。IMFは「先進国では雇用の60パーセントがAIの影響にさらされる」と指摘しています。
繰り返しになりますが、従来の技術革新では、ブルーカラーや肉体的労働を伴う仕事が、ロボットや機械によって代替をされてきました。ところが、AIは知的な領域に入り込んでいるので、ホワイトカラーの仕事や、専門性の高い高収入の仕事にも影響をするのではないか、ということを示しているのです。
ただ、60パーセントが影響を受けると聞くと、60パーセントの人の仕事がなくなってしまうのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実はそうではありません。そのうちの半分は、AIをうまく活用し、AIと協働することによって生産性が高まり、結果としてお給料も上がる可能性がある。つまり、その半分ぐらいの人は、AIのメリットを享受できる形で影響を受けるということです。
他方で、残りの半分については、AIがその仕事の中核部分を代替してしまう可能性がある。そうなると、その仕事自体が消えてしまうかもしれませんし、別の仕事への移動を余儀なくされるかもしれない。そういう意味で、影響が大きいといわれています。これが、IMFが示した姿です。
―― はい。他の研究だとどんな形でございますか。
宮本 民間では、ゴールドマン・サックスが同じような分析をしており、結論はかなり似ています。
やはりホワイトカラーの仕事が影響を受けるということです。ゴールドマン・サックスは世界全体で約3億人の労働者がAIの影響を受ける可能性があると試算しています。特にこの分析では、どういった仕事がAIの影響を受けやすいのか、その確率を出しています。
こちら(スライド)を見ていただくと、オフィス、事務サポート、法務といった、いわゆるホワイトカラーの仕事はAIによって代...