インフレの行方…歴史から将来を予測する
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5つのシナリオ分析…10年後の日本の物価水準はどうなる?
インフレの行方…歴史から将来を予測する(4)10年後の物価…5つのシナリオ
養田功一郎(元三井住友DSアセットマネジメント執行役員/YODA LAB代表/金融・経済・歴史研究者)
10年後の物価水準を探るため、5つのシナリオを想定して検討する。直近2年のインフレ率が10年続く場合、イギリスと日本の物価水準が10年後に同率になる場合、加えて日銀介入を経て成長率・インフレ率ともに鈍化する場合、G20並みのインフレ率になる場合、トルコのような高インフレ率の場合の5つだが、どんなシナリオを描くのか、また蓋然性が高いのはどのシナリオなのか、詳しく解説する。(全6話中第4話)
時間:9分43秒
収録日:2026年1月7日
追加日:2026年2月26日
≪全文≫

●10年後の物価水準を知るために


 さて、それではここからは、これまでの分析を踏まえ、今後10年後の日本の物価水準がどの程度になっているか、いくつかのパターンに分けて予測していきたいと思います。

 まず、この間の経済成長などのシナリオを描いた後、物価水準を予測するボトムアップ的方法もありますが、今回は他国のインフレ率や物価水準と比較しながら、先に今後のインフレ率について何種類かのパターンを作成したいと思います。そして、それぞれのパターンが実現するときに、日本は一体どんな経済環境なのかを考える逆説的な手法としたいと思います。

 シナリオを作成して物価予測をしても結局は数字の置き方により予想に大きな幅が生じてしまいますので、比較可能な各国のインフレ率や物価水準と直接比べながら、いくつかのパターンを作成し、その上で消去法で考えるほうがかえってリアリティがあると考えたためです。


●シナリオ1:直近2年のインフレ率が10年続く


 さて、想定するパターンは全部で5通りありますが、それぞれについてみていきましょう。

 まずは〈1〉、2023年から2025年の直近2年のインフレ率が各国とも今後10年間続く場合を想定します。グラフ右側の赤い部分は、その直近2年間のインフレ率が今後も10年間続くことを表しています。この想定では、日本は2.7パーセント程度のインフレ率が継続します。

 すると、日本の物価指数は2015年を100とすると2035年で150程度、現在の115と比べると約1.3倍の物価水準になります。これは薄く青みがかった線、韓国の2015年から2035年の物価上昇率と同じになる計算です。

 ここで二つ、注意点を申し上げたいと思います。

 まず一つ目、韓国と同じ水準になるといっても、日本の物価が韓国の物価水準に追いつくという意味ではありません。その他の国々との関係も同じです。

 先ほど申し上げたように、これはあくまでも各国の物価水準が2015年で100とした場合に各国毎の通貨ベースで物価水準がどのぐらいになるかを表すものです。したがって、韓国と同じというのは、あくまでも2015年から2035年までの累積上昇率が同じ程度になるという意味です。また、日本から見た各国の物価は、ここに為替レートの影響も加わりますので、その点にご留意く...

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