インフレの行方…歴史から将来を予測する
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戦後日本のハイパーインフレの真実…その時、何が起きたのか
インフレの行方…歴史から将来を予測する(2)明治以降の物価推移とインフレ率
養田功一郎(元三井住友DSアセットマネジメント執行役員/YODA LAB代表/金融・経済・歴史研究者)
幕末インフレと明治維新を経て近代化した日本は、経済拡大に伴う物資需要増加に供給力が追いつかず、インフレ基調が定着する。第一次大戦後、世界大恐慌で物価は下落するが、高橋是清の財政政策により世界に先駆けて復活。ところが、第二次大戦後には厳しいハイパーインフレに見舞われる。預金封鎖や新円切り替えなども行なわれ、人々の現金資産は、ほぼ無価値になっていき、資産家の総入替えともいうべき状況さえ起こった。(全6話中第2話)
時間:8分36秒
収録日:2026年1月7日
追加日:2026年2月19日
≪全文≫

●インフレ率が上昇する明治以降の日本


 続いては、明治初期から第二次世界大戦までの期間になりますが、そこに移る前に、グラフ作成上の説明を少ししたいと思います。

 これまで見てきた幕末の物価推移を表したグラフの右側になりますが、明治以降は「円」という新たな単位が作られ金本位制の通貨制度になります。

 よって、この連続グラフを作成する上では、江戸時代の金基準の物価水準と明治以降の物価を接続しています。

 その上で、次のページの明治以降の物価推移グラフを見ていきたいと思います。

 明治以降、この間は江戸中期とは違い基本的に物価上昇率は高くなります。主な背景としては、富国強兵・殖産興業で需要が拡大するものの、供給が追いつかなかったということがあると思います。特に第一次世界大戦時は主戦場が欧州で、戦場から離れた日本は世界の工場としての役割が期待され需要が急拡大しましたが、供給が追いつかず大幅な物価上昇となりました。

 そしてその後、第一次世界大戦における好景気の反動と相次ぐ金融恐慌の発生で、最終的には世界恐慌に向け物価は大きく下落します。なぜこれほどの物価下落が発生したのかといえば、不景気が続いたということに加え、当時は一時的に離脱したとはいえ金本位制であったため、大規模な財政拡大、金融緩和などの政策が取れず、通貨量が拡大しなかったことが大きな要因だと思っています。仮にこの当時、現在のような大規模緩和が行えれば、これほどの物価下落は発生しなかったと考えています。


●高橋是清が始めた「国債の日銀引き受け」


 そしてその後、まさに高橋是清が大蔵大臣となり、俗に「高橋財政」と呼ばれる時期になると、日銀引き受けによる国債発行で財政を拡大。好景気、インフレへ反転します。この時、日本は世界に先駆けて復活した、ともいわれていますが、時を同じくして満州事変が起きており、軍事需要が拡大したことも一因でしょう。

 ところが、財政支出の効果もありインフレ率が高くなってきたところで、高橋は財政規律を重視し軍事費の削減が必要と考えます。ただ、それもあってか二・二六事件で暗殺されてしまい、その後は日中戦争の開始とともに、高橋が始めた国債の日銀引き受けシステムが都合よく使われてしまいます。...

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